出資法・貸金業規制法改正に向けた国会対応について

 自民党金融調査会と公明党金融問題調査委員会は、7月6日、共同で「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」をまとめた(以下「与党案」)。8月下旬にも与党や金融庁「貸金業制度等に関する懇談会」(以下「金融庁懇談会」)の最終取りまとめが行われる予定であり、少額短期貸付等の特例金利の取り扱いなどが焦点となっている。
 このため、今後の法案化や法案審議(修正を含む)にあたっては、以下の考え方を基本に、状況に即した対応を行うものとする。

1. 利息制限法の引き上げは断じて容認しない。
 
(1) 金融庁懇談会や与党案でも、出資法の上限金利を利息制限法の水準まで引き下げ「みなし弁済規定」を撤廃する方向になっているが、今後の貸金業界および関係議員の巻き返しによっては、政治的妥協により両上限金利の中間で手打ちする可能性も排除できない。利息制限法の引き上げによる金利の一本化は、現在の大手貸金業の貸出金利水準を「灰色」から「シロ」へと法認し、さらには過払い請求の法的根拠までもなくす大改悪であり、断じて認められない。
(2) 与党案では、利息制限法まで引き下げる際に考慮すべき点として、利息制限法の制限金利を「物価変動を考慮して金額刻みを引き上げる」、「20%へ一本化する」などの意見も指摘されている。しかし、現行の制限金利(10万円未満20%、10万円以上100万円未満18%、100万円以上15%)は制定時1954年における銀行の平均貸出金利9%を踏まえて定めたものであり、現在、銀行の平均貸出金利が年2%を割っていること、消費者金融利用者は1社あたりの平均借入額が398,000円であることを考え合わせると、「金額刻みの引き上げ」や「20%への一本化」という形でも利息制限法の引き上げを行うべきではない。
2. 少額短期貸付等の特例は認めるべきでない。
 
(1) 与党案で検討の余地を残している少額短期貸付についての特例金利については、前述の平均借入額の実態を考慮すれば大半の利用者が特例扱いの枠内に入り、金利規制は事実上骨抜きになってしまう。また、1年以内での借り換え等による抜け穴も想定されることなどから、法律そのものの実効性をなくす危険性をはらんでおり、あくまでも「例外なき金利の引き下げ」を求めていく。
(2) 商工ローン(事業者向けの融資)については特例で高金利を認めるべきとの意見もあるが、保証人目当ての貸付が横行している実態を踏まえ、勤労国民が犠牲にならないような実効的な規制策が講じられない限りは認めるべきではない。
3. 実効性を伴う総合的な規制強化を求める。
  与党案や金融庁懇談会が、貸金業の適性化(参入規制、広告規制・行為規制の強化等)、過剰融資の抑制など、総合的な規制強化の方向を打ち出していることは評価できる。具体案も見た上で、より実効性を伴う規制強化が実現するよう働きかける。
4. セーフティーネットや消費者教育の拡充・強化をはかる。
  あわせて、金融機関や自治体等による低利融資制度の拡充や、継続的な消費者教育の充実をはかる。
以上

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