金融庁第19回懇談会開催される 上限金利の特例措置への批判続出

 金融庁は24日、貸金業制度等に関する懇談会を開催した。焦点となっている「少額短期融資」等への特例措置については、「骨抜きになる」「必要性に乏しい」など批判意見が続出。後藤田大臣政務官も「委員の意見は明確に出た。その線で事務方に整理させる」と締めくくった。しかし、与党との調整を残しており、特例措置を求める勢力の動きもあり、なお紆余曲折が予想される。

 懇談会は、7月6日に与党がまとめた「貸金業制度等の改革に関する基本的な考え方」の検討状況について事務局より説明。焦点となっている特例措置については、一部新聞報道されているような具体的な金額についての言及はなかったものの、「少額短期の借り入れ」や「事業者向け融資」への特例措置について「激変緩和的な経過措置とするか、恒久措置とするべきか検討」していることなどが報告された、

 真っ先に口火を切った連合の木村総合政策局長は、地方議会の意見書が39都道府県で採択されていることや、中央労福協等が取り組んでいる署名が総数で300万筆を超えるなど国民世論や運動の高まりをアピール。前回会議で与謝野大臣が「例外を設けたとたんに例外でなくなる」と発言したことにも触れ、上限金利の特例措置は到底認められないと発言。

 その後も委員から「骨抜きになる」など批判意見が続出。結局、特例を必要とする意見は条件付で1名、残りの委員はすべて「特例措置は設けるべきではない」との意見表明を行った。

セーフティーネットの拡充策も今後の論点

 オブサーバーとして参加した宇都宮弁護士(日弁連・上限金利引き下げ本部長代行)も、特例を設ける必要が乏しいことをフローチャート化した資料で反論。既存の多重債務者はまず債務整理が必要であって、相談体制の充実で対応する問題である。新たな資金需要者も、中所得者層は利息制限法の範囲内での貸付で対応でき、低所得者層にはセーフティーネットとしての貸付制度の拡充で対応すべき問題であると明快に整理。特に、セーフティーネットとしては、与党が検討対象にしている生活福祉資金貸付制度(社協が運営)の他、自治体提携融資制度(労金による協調融資)の積極的活用を促し対応することを求めた。

また、利息制限法の金額刻みの見直しや経過措置(金利の引下げは「激変緩和の観点から一定期間経過後施行」)についても、必要ないとの意見が相次いだ。

与党との調整で依然として骨抜きも

 こうした意見を受けて、最後に後藤田大臣政務官が「委員の意見が明確に出たと感ずる。その線に沿って事務当局に整理させるのは当然だ」と締めくくった。

 今後、金融庁は懇談会の意見も踏まえて与党との最終調整に入ると見られるが、相次ぐ不祥事で窮地に陥った貸金業は特例措置の導入による法律の骨抜き(偽装改正)に活路を見出し、猛烈なロビー活動を展開している。特例措置の導入を前提に金額幅が調整事項であるかのような報道もあり、全く予断を許さない状況だ。最終案の決着に向けて、いよいよ大詰めを迎える。

懇談会の資料は金融庁のホームページでダウンロードできます。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kasikin/siryou/20060824.html#00

 

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