2007年2月13日

1.「金利問題を考える連絡会議」が終了


成果をあげて「終了」を確認した第14回連絡会議
◇ 中央労福協が一昨年12月に設置し活動を続けてきた「クレ・サラの金利問題を考える連絡会議」が1月31日をもって活動を終了することとした。昨年の臨時国会で貸金業の規制等に関する法改正が中央労福協の要求に近い形で実現し、連絡会としての所期の目的を達成することができたことによるもの。しかし、金利引下げなど根幹部分の施行が先送りになっていることや国の多重債務者対策本部の検討状況などを見守りながら、「必要によっては形を変えて再開もありうる」との含みを残した。
◇ これに先立ち1月9日に開催した中央労福協の第6回三役会は、2007年度上期の活動の具体化などを確認するとともに、多重債務者対策についても「今後は行政や関係団体と連携した取り組みを進める」ことなどを確認した。

 「クレ・サラの金利問題を考える連絡会議」は1月31日、第14回会議を開催し『「金利問題を考える連絡会議」としては本日で終了するが、今後の多重債務者対策の進捗状況も見ながら、代表世話人(宇都宮・菅井)間で相談の上、必要に応じて情報・意見交換会を呼びかける』として、同連絡会議をひとまず終了することにした。
  「解散」ではなく「終了」としたのは、改正法の本柱ともいうべき利息制限法金利への引き下げや総量規制の実施などが改正法施行から2年半内であること、内閣府に設置された「多重債務者対策本部」の検討状況などを見守りながら、それらの推移と状況によっては「再び同会議を稼動させる必要がある」などの意見が多かったことによるもの。そのため、連絡会議を構成する各団体から担当者を選出して、連絡体制を敷くことも決めた。
  同連絡会議は中央労福協が中心となって、かねてより多重債務者被害根絶の運動に取り組んできた宇都宮健児弁護士と共同で呼びかけ、弁護士、司法書士、被害者団体、連合、産業別労
働組合、労金協会などの有志によって一昨年(2005年)12月7日に初会合を開いた。以降、毎月1回午後6時から開催し情報交換や勉強会などを行うと共に、各団体が主催する「高金利引下げ運動」への連帯参加などを行ってきた。

2.多重債務者対策を強化

 中央労福協は1月9日に開催した三役会で2007年度上半期の活動の具体化を確認した。
あわせて、クレ・サラの高金利引下げ運動については法改正によって運動に一区切りついたことから、今後は地方労福協と連携しながら「多重債務者対策」に重点を置いた活動に取り組むことを確認した。
  貸金業法等改正を受けて多重債務者対策が本格化することから、その進捗状況も見ながら、以下の項目を中心に行政や関係団体と連携した取り組みを進める。
[1]相談・カウンセリング体制の充実
☆労福協等によるライフサポートセンター、福祉相談活動の中での体制づくり・充実
☆行政や専門家とのネットワークの整備・充実(自治体の相談窓口、労金、弁護士会、司法書士会、被害者の会など)
☆最低限、各都道府県で相談窓口の整理と周知。
[2]新たな被害者を出さないための啓発活動の強化
☆利息制限法を周知させる活動(キャンペーン) 〜利息制限法の上限金利以上では「借りない・払わない・払った分は取り戻す」
☆その他、労金の生活応援運動と連携した取り組み(各種セミナー、宣伝ツール)
[3]賢い消費者教育の拡充
☆地方労福協・労金等の取り組みの普及・全国的な取り組みへ(併せて業界等による中立性を欠く教育へ注意喚起も必要)
[4]セーフティネットとしての融資制度等の拡充
☆自治体提携融資制度等の整備・充実
  (利便性の向上、国の支援策など新たなスキームによる制度設計の検討も含む)
[5]行政との連携
<中央>多重債務者対策本部・有識者会議への対応(地方労福協等への情報提供→現場からの意見集約→意見反映)、自治体の先進事例紹介など
<地方>各都道府県・市町村レベルにおいても、国の多重債務者対策本部に準じた総合的な体制づくりや施策の充実を求めていく。(自治体への要望、意見反映、共同の取り組み等の協議)

3.中央労福協も参加して青木ヶ原樹海に「自殺防止看板」

 クレ・サラの被害者団体である被連協は、1月20日、「自殺の名所」を呼ばれる富士・青木ヶ原樹海に自殺防止看板7枚を設置した。昨年も170遺体が収容されている。当日は中央労福協から北村次長と菊池洋子さんをはじめ、労金協会の仲間が参加した。
被連協は、24時間の相談体制をとり、借金苦のために樹海で自殺した息子の母親が看板を見て激励の電話が入るなど、反響も出始めている。
3月31日には再び同樹海で設置した看板の点検・補修および増設も行う。さらに東尋坊、足摺岬など全国各地での看板設置をめざして募金を呼びかけており、中央労福協も看板2枚分(5万円)をカンパした。

4.多重債務者対策本部有識者会議

 政府の「多重債務者対策本部」は1月29日、第1回有識者会議を開催した。委員の確認のあと、検討課題と進め方などについて意見交換した。有識者会議では[1]カウンセリング体制の充実、[2]セーフティネットの充実、[3]金融経済教育の強化、[4]ヤミ金融の徹底した取り締まりを含む執行体制の強化等について話し合い、本年春までには取りまとめる。第2回会議は2月7日。

有識者会議の構成員
池 尾 和 人 (慶應義塾大学経済学部教授)
宇都宮 健 児 (弁護士)
翁   百 合 ((株)日本総合研究所理事)
草 野 満 代 (フリーキャスター)
佐 藤 英 彦 (警察共済組合本部理事長)
須 田 慎一郎 (ジャーナリスト)
高 橋 伸 子 (生活経済ジャーナリスト)
橘 木 俊 詔 (京都大学大学院経済学研究科教授)
田 中 直 毅 (21世紀政策研究所理事長)
野 村 修 也 (中央大学法科大学院教授)
本 多 良 男 (全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長)
松 田   昇 (弁護士, 前預金保険機構理事長)
山 出   保 (全国市長会会長(金沢市長))
吉野 直行 (慶應義塾大学経済学部教授)




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