社会保険制度の解説 厚生年金

厚生年金

2023年4月現在 
(2023.4更新)

保険料

以下に掲げる人以外の人 年間150万円迄の賞与等を含む年間総報酬の18.3%

抗内員・船員 年間150万円迄の賞与等を含む年間総報酬の18.3%

国家公務員共済組合 標準報酬月額及び標準期末手当等額の18.3%

地方公務員等共済組合 標準報酬月額及び標準期末手当等の額の18.3%

(注)

  1. 負担は労使折半であるが、船員任意継続被保険者、適用事務所に使用され事業主の同意のない高齢任意加入被保険者は全額自己負担となる。
  2. 標準報酬月額は88,000円~650,000円までの32等級となっている。
  3. 産前産後期間中、育児休業期間中の保険料は、申請により本人負担分・事業主負担分が免除される(賞与も免除)。

国庫負担

  1. 基礎年金拠出金の額の2分の1。
  2. 予算の範囲内において、事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む)の執行に要する費用。

給付内容

【老齢厚生年金】

年金額:報酬比例の年金額+経過的加算+加給年金額

(1)報酬比例の年金額
平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とする。

(ア)平成15年3月までの期間分
平均標準報酬月額××被保険者月数

(イ)平成15年4月以降の期間分
平均標準報酬額××被保険者月数

(注)1.S21年4月2日以降に生まれた人の場合は(ア)、(イ)となり、S21年4月1日以前に生まれた人は生年月日に応じて(ア)、(イ)となる。

2.上記計算式と平成12年度改正前の計算式で算出した結果の高い方の額とする。

(2)経過的加算=(特別支給の老齢厚生年金の定額部分)-(厚生年金保険加入期間に係る老齢基礎年金の額)

(3)加給年金額
 被保険者期間の月数が240カ月(中高齢の特例による場合は、15~19年)以上である受給資格者が権利を取得した当時生計を維持していた65歳未満の配偶者、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子、20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にある子がいる場合に配偶者、第1子、第2子が各々228,700円、第3子以降は各々76,200円が加算される。(1934年4月2日以降生まれの人は配偶者の特別加算がある)

支給要件:厚生年金保険の被保険者期間が1カ月以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付期間と保険料免除期間が25年以上(特例あり))を満たした人が65歳に達したときに老齢基礎年金に上乗せされ、支給される。(60歳以上65歳未満の間は特別支給制度がある。)

◎特別支給の老齢厚生年金(定額部分と報酬比例部分)

年金額:基本年金額(定額部分+報酬比例部分)+加給年金額

(1)定額部分

<昭和31年4月2日以後生まれ>1,657円×(生年月日に応じた率)×被保険者月数
<昭和31年4月1日以前生まれ>1,652円×(生年月日に応じた率)×被保険者月数

(注)1.生年月日に応じた率はS21年4月1日以前生まれの人に1.032~1.875の率がかけられる。

(注)2.被保険者月数は生年月日に応じて上限がある。(S9年4月2日~S19年4月1日生まれが444月、S19年4月2日~S20年4月1日生まれが456月、S20年4月2日~S21年4月1日生まれが468月、S21年4月2日以降生まれが480月)

(2)報酬比例部分
平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とする。

(ア)平成15年3月までの期間分
平均標準報酬月額××被保険者月数

(イ)平成15年4月以降の期間分
平均標準報酬額××被保険者月数

(注)1.S21年4月2日以降に生まれた人の場合は(ア)、(イ)となり、S21年4月1日以前に生まれた人は生年月日に応じて(ア)、(イ)となる。

2.平成12年度改正前の計算式で算出した年金額の方が高くなる場合はその額とする。

支給要件:厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした人が60歳(生年月日に応じて60歳~64歳)に達したときに支給される。

◎部分年金

 60歳から受けられる特別支給の老齢厚生年金は、S16年(女子21年)4月2日以降生まれの人から生年月日に応じて段階的に報酬比例部分相当の老齢厚生年金(部分年金)へと切り替えられ、S24年(女子29年)4月2日以降生まれの人で、切り替えが完了する。さらに、S28年(女子33年)4月2日以降生まれの人は、報酬比例部分相当の老齢厚生年金(部分年金)の支給開始年齢も段階的に引上げられ、S36年(女子41年)4月2日以降生まれの人は、60歳台前半の老齢厚生年金はなくなる。

特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢
(1)定額部分の引き上げ

(2)報酬比例部分(部分年金)の引き上げ

(注)

  1. 坑内員や船員の場合、(1) 定額部分と報酬比例部分は「60歳支給が55歳支給」で開始年齢は女子と同じ、(2) 部分年金の引上げは女子と同じ経過措置をとり、「65歳支給」となる。
  2. 共済年金の場合は、老齢厚生年金とは支給開始年齢や算出式等が若干異なる。
  3. 雇用保険法における基本手当を受給している間は、65歳未満の老齢厚生年金は支給停止。

◎老齢基礎年金の繰上げ併給

 S16.4.2以降生まれであって、65歳前に部分年金を受給できる人(男子・S36.4.1、女子・S41.4.1以前生まれ)は、老齢基礎年金を一部又は全部繰上げて併給できる。

◎在職老齢年金

 在職している人については、一定額が減額されて老齢厚生年金が支給される。

1)在職老齢年金(月額)=年金月額-支給停止額

2)支給停止額:総報酬月額相当額と年金月額との合計額が48万円を超える場合は1ヵ月につき次の額が支給停止となる。基本月額と総報酬月額相当額との合計が48万円以下の場合は全額支給。

 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2

(注1)在職老齢年金を受けている人が、高年齢雇用継続給付を受けている間は、原則として標準報酬月額の6%相当額の年金の支給がさらに停止される。

(注2)65歳以上の人は、総報酬月額相当額の額にかかわらず、老齢基礎年金は支給停止せず、全額支給される。

◎年金の繰上げ・繰下げ受給

(1)年金の繰上げ
 老齢厚生年金は、原則として65歳から支給されるが、希望すれば60歳~65歳の間に繰り上げて受け取ることができる。ただし、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わらない。なお、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求をする必要がある。

(2)年金の繰下げ
 老齢厚生年金は、65歳で受け取らずに66歳以降75歳までの間で繰り下げて年金を受け取ることができる。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わらない。なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げすることができる。

【障害厚生年金】

年金額:

<1級> 報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金額(228,700円)

<2級> 報酬比例の年金額+配偶者加給年金額(228,700円)

<3級> 報酬比例の年金額

○報酬比例の年金額
平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とする。

(ア)平成15年3月までの期間分
平均標準報酬月額××被保険者月数

(イ)平成15年4月以降の期間分
平均標準報酬額××被保険者月数

(注)1.被保険者期間が300ヵ月未満の人は300ヵ月。加給年金額は年収850万円未満の配偶者に65歳になるまで支給される。

2.平成12年度改正前の計算式で算出した年金額が高くなる場合はその額とする。

3.障害基礎年金を受けとる事ができない場合の最低保障額は596,300円(昭和31年4月1日以前生まれの人は594,500円)

障害手当金:
傷病で年金不該当の障害となり、初診日から5年以内に症状が固定したときに一時金として支給される。
平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とする。(最低保障額は1,192,600円(昭和31年4月1日以前生まれの人は1,189,000円)

(ア)平成15年3月までの期間分
平均標準報酬月額××被保険者月数×2

(イ)平成15年4月以降の期間分
平均標準報酬額××被保険者月数×2

(注)被保険者期間が300カ月未満の人は300カ月。

その他:

(1)65歳未満の老齢厚生年金又は遺族厚生年金の受給者が障害厚生年金の受給資格者となった場合には、障害厚生年金あるいは老齢厚生年金又は遺族厚生年金のいずれかを選択できる。

(2)業務上等の傷病・死亡で労災保険の障害補償年金を受けている場合には、障害基礎年金および障害厚生年金は全額受けられるが、労災保険で調整される。

【遺族厚生年金】

年金額:平成15年4月前に被保険者期間がある人は、(ア)と(イ)を分けて計算し、合算した額とする。

(ア)平成15年3月までの期間分
平均標準報酬月額××被保険者月数×+中高齢寡婦加算

(イ)平成15年4月以降の期間分
平均標準報酬額××被保険者月数×+中高齢寡婦加算

(注)1.長期要件による遺族厚生年金は、(ア)、(イ)は、生年月日によって(ア)(イ)に読み替えられる。

2.短期要件による.被保険者期間の月数が300に満たないときは300とする。(長期要件による遺族厚生年金は、実際の被保険者期間で計算する。)

3.平成12年度改正前の計算式で算出した年金額が高くなる場合はその額とする。

4.中高齢寡婦加算は、40歳以上であって、子のない妻又は40歳に達した当時、死亡した者の子で遺族基礎年金の支給要件に該当する子と生計を同じくする妻が65歳未満である時に給付されるが、遺族基礎年金を受けられる間は支給停止となる。加算額は596,300円となっている。

5.子のいない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金は5年間の有期給付となる。

受給要件:

(1)被保険者が死亡したとき。

(2)被保険者期間であった間に初診日がある傷病が原因で退職後、初診日から5年以内に死亡したとき。

(3)1級、2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき。

(4)老齢厚生年金受給権者(保険料納付済期間等が25年以上(※)に限る。)又は老齢厚生年金の受給資格を満たした者(保険料納付済期間等が25年以上(※)に限る。)が死亡したとき(長期要件)。
※保険料納付済み期間等は、各制度ごとに、生年月日によって15年から24年の加入期間の短縮の特例がある。

【その他】

(1)平均標準報酬月額と平均標準報酬額の計算にあたっては、過去の標準報酬月額と標準賞与額に最近の賃金水準や物価水準で再評価するために「再評価率」を乗じる。また、報酬比例部分の計算を平成12年度改正前の計算式で算出するときは1.014(昭和13年4月1日以前生まれの方は1.016)の改定率を乗じる。

(2)沖縄県の被保険者が1954年5月~1969年12月までの間、適用事業所に雇用されていたと認められた場合には、95年4月から保険料を納付することによって、年金額が増額される。

(3)平成27年10月から、被用者年金が一元化され、共済組合(長期)は厚生年金保険に統合。職域部分が廃止されるとともに「年金払い退職給付」が創設。

(4)短期在留外国人のうち厚生年金保険の被保険者期間が6ヵ月以上あり、かつ年金(障害手当金を含む)を受ける権利を有したことがない人は、日本を出国後に請求することにより、被保険者期間中の平均標準報酬額にその期間に応じた支給率を乗じて得た額が脱退一時金として支給される。

(5)平成19年4月からは、夫婦が離婚した場合、当事者間の合意、又は裁判所の決定があれば、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割することができる。また、平成20年4月からは第3号被保険者期間の年金を分割することができる。

詳しくは事業所又は住所地を管轄する年金事務所にお問い合わせください。

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