社会保険制度 解説:雇用保険

 雇用保険は、労働者が失業した場合や労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合や労働者の再就職を促進するために必要な給付を行います。また、失業の予防等の措置に対し、一定の要件を満たした事業主に各種助成金が支給されます。

1.被保険者等

(1)被保険者の範囲

 雇用保険の適用事業所に雇用される労働者は、原則として被保険者となります。
ただし、次に掲げる労働者は被保険者となりません。

[1]1週間の所定労働時間が20時間未満である人(日雇労働被保険者に該当する人を除く)

[2]同一の事業主の適用事業所に継続して31日以上雇用されることが見込まれない人(前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業所に雇用される人及び日雇労働被保険者に該当する人を除く)

[3]季節的事業(4ヵ月以内の期間を予定して行われるもの)に雇用される人(日雇労働被保険者に該当する人は除く)

[4]昼間学生

[5]船員保険の強制被保険者

[6]国、都道府県、市町村等の事業に雇用される人のうち、離職した場合に求職者給付、就職促進給付の内容を超える給付が受けられる人

(注)1.株式会社の取締役は、原則として被保険者になりませんが、同時に従業員としての身分を有し、賃金等からみて労働者的性格の強いのもので、雇用関係があると認められる人に限り被保険者となります。

2.事業主と同居している親族は原則として被保険者とはなりません。ただし、一定の条件を満たす人は被保険者となります。

3.パートタイム労働者については、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上引き続き雇用されること見込まれる場合は、被保険者となります。

4.臨時内職的に雇用される人は、被保険者とはなりません。

(2)被保険者の種類

[1]一般被保険者
65歳未満の常用労働者で下記以外の人

[2]高年齢被保険者
65歳以上の人(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)

[3]短期雇用特例被保険者
季節的に雇用される一定の人(日雇労働被保険者を除く)

[4]日雇労働被保険者
日々雇用される人、30日以内の期間を定めて雇用される人であって、一定の要件を満たす人

(3)適用事業

 労働者が雇用される事業を適用事業とします。
個人経営で常時5人未満の労働者を雇用する農林水産業は、暫定任意適用事業となります。

2.保険料

(1)保険料額

 賃金総額に雇用保険率をかけて計算します。

<賃金総額とは>
→労災保険<賃金総額とは>参照

(2)保険率

[1]雇用保険率

(注)1.事業主負担分は、雇用事業率が含まれています。

[2]日雇労働被保険者の保険料
雇用保険料の他、賃金日額によって96円~176円の印紙保険料を労使で折半負担します。

[3]保険料の免除
保険年度の初日(4月1日)において満64歳以上の労働者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)がいる場合には、その者の雇用保険の保険料(被保険者及び事業主負担分)が免除されます。(平成31年度分まで)

3.国庫負担

(1)保険給付

[1]日雇労働求職者給付金以外の求職者給付(高年齢求職者給付金を除く)

イ 雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合 費用の4分の1

ロ 上記以外の場合 費用の40分の1

[2]日雇労働求職者給付金

イ 雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合 費用の3分の1

ロ 上記以外の場合 費用の40分の1

[3]雇用継続給付(介護休業給付金に限る)の8分の1

[4]育児休業給付の8分の1 ※当分の間(令和6年度まで)、本来の負担額の10%

[5]職業訓練受講給付金の2分の1

(2)事務費

 予算の範囲内において、事務の執行に要する費用を負担します。

4.給付の内容

【求職者給付】

◎一般被保険者の求職者給付

(1)基本手当

[1]支給の要件
被保険者が失業した場合において、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヵ月以上あったときに基本手当が支給されます。ただし、倒産又は解雇などの理由で離職した人については、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あれば基本手当が支給されます。特定理由離職者(期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、労働契約の更新がないこと(更新を希望したにもかかわらず、更新についての合意が成立に至らなかった場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいう。)については、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あれば、基本手当が支給されます。
基本手当は、受給資格者が失業している日について支給され、失業をしていることの認定を受けなければなりません。

<被保険者期間>
離職日から1カ月ごとに区切っていた期間に、賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった労働時間が80時間以上ある月を1カ月として計算します。1ヵ月未満の端数があるときはその期間が15日以上あり、かつ賃金支払基礎日数が11日以上あるときに1/2ヵ月とします。

<失業とは>
被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいいます。

[2]失業の認定
失業の認定を受けようとする受給資格者は、離職後、住所地を管轄する公共職業安定所に出頭して、求職の申込みをしなければなりません。
失業の認定は、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して4週に1回ずつ直前の28日の各日について行います。

[3]所定給付日数
○一般の離職者(自己の意思による離職者及び定年退職者)

○倒産、解雇等による離職者(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)

[4]基本手当日額
原則として、離職前6ヵ月間に支払われた賃金の日額(賃金日額)の45%~80%に相当する額です。ただし、賃金日額および基本手当日額の上限は次のとおりとなっています。

年齢区分 賃金日額上限額 基本手当日額上限額
30歳未満 13,890円 6,945円
30歳以上45歳未満 15,430円 7,415円
45歳以上60歳未満 16,980円 8,490円
60歳以上65歳未満 16,210円 7,294円
65歳以上 13,890円 6,945円

*下限額は年齢に関係なく賃金日額は2,746円、基本手当日額は2,196円

[5]受給期間

 離職の日の翌日から起算して1年間(45歳以上60歳未満の特定受給資格者で算定基礎期間が20年以上の人は1年+30日)です。ただし、出産・育児・疾病で就職できない場合には最高4年、定年退職者の場合には、最高2年まで延長することができます。

[6]待期期間

 求職の申込をした日後通算して7日間は基本手当は支給されません。

[7]給付制限

 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇されたとき、又は正当な理由なく自己都合で退職したときは、待期期間満了後3ヵ月の給付制限があります。
また、正当な理由なく公共職業安定所による職業紹介または職業訓練を拒んだときは、拒んだ日から1ヵ月間、正当な理由なく職業指導を拒んだときは、拒んだ日から1ヵ月を超えない範囲内で基本手当は支給されません。

(2)技能習得手当

 技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受講する場合に、その期間、基本手当に加えて次の手当が支給されます。

[1]受講手当
日額500円(上限40日)

[2]通所手当
月額42,500円を限度とする交通費の実費

(3)寄宿手当

 寄宿手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等受けるため、その人により生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する場合に、その寄宿する期間、月額10,700円が支給されます。

(4)傷病手当

 傷病手当は、受給資格者が離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後に疾病又は負傷のために継続して15日以上職業に就くことができない場合に、基本手当に代えて支給されます。傷病手当の日額は、基本手当の日額に相当する額とされ、所定給付日数から既に基本手当を支給された日数を差し引いた日数を限度とします。

◎高年齢被保険者の求職者給付

(1)高年齢求職者給付金

[1]支給の要件
高年齢被保険者が失業した場合、原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が6ヵ月以上であったときは、高年齢求職者給付金が支給されます。
高年齢求職者給付金の支給を受けようとする人は、離職の日の翌日から起算して1年を経過する日までに、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなければなりません。

<高年齢被保険者>
→1(2)被保険者の種類

[2]支給額
基本手当日額の下表の区分に応じた日数分が、一時金として支給されます。

被保険者期間 給付日数
1年未満 30日
1年以上 50日

◎短期雇用特例被保険者の求職者給付

(1)特例一時金

[1]支給の要件
短期雇用特例被保険者が失業した場合、原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上であったときは、特例一時金が支給されます。
特例一時金を受けようとする人は、離職の日の翌日から起算して6ヵ月を経過する日までに公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなければなりません。

<短期雇用特例被保険者>
→1(2)被保険者の種類

[2]支給額
基本手当日額の30日分(当分の間は40日分)を一時金として支給されます。

◎日雇労働被保険者の求職者給付

(1)日雇労働求職者給付金

[1]支給の要件
日雇労働被保険者が失業した場合、その失業の日の属する月前2ヵ月間に印紙保険料が通算して26日分以上納付されているときに日雇労働求職者給付金が支給されます。(この他に例外として、日雇労働求職者給付金の特例給付があります。)
日雇労働求職者給付金を受けようとする人は、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければなりません。

<日雇労働被保険者>
→1(2)被保険者の種類

[2]支給日数(1ヵ月につき)

印紙保険料の納付状況 支給日数
26日分~31日分 13日
32日分~35日分 14日
36日分~39日分 15日
40日分~43日分 16日
44日分以上 17日

[3]日雇労働求職者給付金の日額
納付された印紙保険料の等級とその日数によって、日額7,500円、6,200円、4,100円が支給されます。

【就職促進給付】

(1)就業促進手当

○就業手当

[1]支給要件
就業手当は、受給資格者が再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合において、次に掲げる要件を満たしたときに支給されます。

(ア)就職日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上、かつ、45日以上であること

(イ)待期期間が経過した後に就業したものであること

(ウ)離職前の事業主(関連事業主を含む)に再び雇用されたものでないこと

(エ)自己都合退職等の離職理由による給付制限を受ける人については、待期期間満了後1ヵ月以内のものについては、公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介により職業に就いたこと

(オ)雇入れを約した事業主が公共職業安定所に申込みをした日前にある場合において、その事業主に雇用されたものでないこと。

[2]支給額
基本手当日額の30%に相当する額を就業日ごとに支給されます。ただし、1日あたりの支給額の上限は1,887円(60歳以上65歳未満は1,525円)となります。
就業手当の支給を受けた日については、基本手当を支給したものとみなされます。

○再就職手当

[1]支給の要件
 再就職手当は、受給資格者が安定した職業に就いた場合において、次に掲げる要件を満たしたときに支給されます。

(ア)就職日の前日における基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1(離職理由により3分の2)以上、かつ、45日以上であること

(イ)1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就き、又は事業(その事業により受給資格者が自立することができると公共職業安定所長が認めたものに限ります。)を開始したこと

(ウ)離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと

(エ)待期期間が経過した後に職業に就き、又は事業を開始したこと

(オ)自己都合退職等の離職理由による給付制限を受ける人については、待期期間満了後1ヵ月以内のものについては、公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介により職業に就いたこと

(カ)受給資格の決定に係る求職の申込みをした日前に、雇入れすることを約束した事業主に雇用されたものでないこと

(キ)就職日前3年以内の就職について再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと

(ク)その他再就職手当を支給することが受給資格者の職業の安定に資すると認められること

[2]支給額
再就職手当の額は、支給残日数×60%(3分の2以上のときは70%)×基本手当日額に相当する額が支給されます。
ただし、基本手当日額の上限は、6,290円(60歳以上65歳未満は5,085円)となります。
この手当の支給を受けた場合には、この手当の額を基本手当日額で除して得た日数に相当する日数分の基本手当が支給されたものとみなされます。

○就業促進定着手当

[1]支給要件
就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が再就職先に6か月以上雇用され再就職先での6か月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に支給されます。(平成26年4月1日以降の再就職に限ります。)

(ア)再就職手当の支給を受けていること

(イ)再就職の日から同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること(起業により再就職手当を受給した場合を除く)

(ウ)所定の算出方法による再就職後の6か月間の賃金の1日分の額が、離職日前の賃金日額を下回ること

[1]支給額
(離職前の賃金日額(※1)-再就職手当の支給を受けた再就職の日から6か月間に支払われた賃金額の1日分の額)×再就職の日から6か月間内における賃金の支払いの基礎となった日数(※2)
上限額:基本手当日額(※3)×基本手当の支給残日数に相当する日数(※4)×40% (※5)

※1 上限額と下限額があります。(→基本手当日額
※2 通常月給制の場合は暦日数、日給月給制の場合はその基礎となる日数、日給制や時給制の場合は労働の日数
※3 基本手当日額の上限(再就職手当と同じ)6,290円(60歳以上65歳未満は5,085円
※4 再就職手当の給付を受ける前の支給残日数
※5 再就職手当の給付を受ける前の支給残日数が3分の2以上のときは30%

[3]申請期間
再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月間

○常用就職支度手当

[1]支給の要件
常用就職支度手当は、受給資格者等で身体障害者その他就職が困難な人が次に掲げる要件を満たしたときに支給されます。(特例一時金を受給した人でその離職の日の翌日から起算して6ヵ月を経過していない人、日雇労働求職者給付金を受けることができる人も支給の対象になります。)

(ア)受給資格者については就職日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満又は45日未満であること

(イ)公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介により1年以上引き続いて雇用されることが確実と認められる職業に就いたこと

(ウ)離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと

(エ)待期期間が経過した後に職業に就いたこと

(オ)給付制限期間が経過した後において職業に就いたこと

(カ)安定した職業についた日前3年以内の就職について再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと

(キ)その他常用就職支度手当を支給することが受給資格者等の職業の安定に資すると認められること

[2]支給額
常用就職支度手当の額は、90(所定給付日数の支給残日数が90日未満である場合には、支給残日数(45を下回る場合にあっては、45))×40%×基本手当日額に相当する額が支給されます。ただし、基本手当日額の上限は6,290円(60歳以上65歳未満は5,085円)となります。

(2)移転費

[1]支給の要件
 移転費は、受給資格者等が公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、住所又は居所を変更した場合で、次のいずれにも該当するときに支給されます。

(ア)1年以上雇用されることが確実であると認められる職業に就いたとき

(イ)待期期間、給付制限期間が経過した後に職業に就いたとき、又は公共職業訓練等を受けることとなったとき

(ウ)移転費に要する費用が就職先の事業主から支給されないとき又はその支給額が移転費の額に満たないとき

[2]支給額
移転費は、鉄道賃、船賃、車賃、移転料及び着後手当があり、受給資格者等やその人により生計を維持されている同居の親族の移転に通常要する費用が支給されます。

(3)求職活動支援費

[1]支給の要件
求職活動支援費は、受給資格者等が求職活動に伴い次の各号のいずれかに該当する行為をする場合において、必要があると認めたときに支給されます。

(ア)公共職業安定所の紹介による広範囲の地域にわたる求職活動(広域求職活動費)

(イ)公共職業安定所の職業指導に従って行う職業に関する教育訓練の受講その他の活動(短期訓練受講費)

(ウ)求職活動を容易にするための役務の利用(求職活動関係役務利用費)

[2]支給額

(ア)広域求職活動費は、鉄道賃、船賃、車賃、宿泊料があり、管轄公共職業安定所から訪問事業所の管轄公共職業安定所までの順路によって計算されます。(宿泊料を除く)

(イ)短期訓練受講費は、本人が教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額となります。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円とし、4千円を超えない場合は支給されません。

(ウ)求職活動関係役務利用費は、受給資格者等が①求人者に面接等をした場合、②求職活動関係役務利用費対象訓練を受講した場合にあたり保育等サービスの利用の為に負担した費用の額(1日6,400円を限度とする)×80% の額を支給されます。 ただし最大①については15日分、②については60日分となります。

【教育訓練給付】

(1)一般教育訓練給付金

[1]支給の要件
一般教育訓練給付金は次の【1】又は【2】のいずれかに該当する人であって、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了したときに支給されます。

【1】雇用保険の一般被保険者
一般教育訓練の受講を開始した日(以下「受講開始日」という。)において雇用保険の一般被保険者である方のうち、支給要件期間が3年以上ある方。

【2】雇用保険の一般被保険者であった方
受講開始日において一般被保険者でない方のうち、一般被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合には最大4年以内)であり、かつ支給要件期間が3年以上(※)ある方。

※上記【1】、【2】とも、当分の間、初めて教育訓練給付の支給を受けようとする方については支給要件期間が1年以上あれば可。

[2]支給額
教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額となります。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円とし、4千円を超えない場合は支給されません。

(2)専門実践教育訓練給付金

[1]支給の要件
専門実践教育訓練の教育訓練給付金は、次の【1】または【2】に該当し、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を修了する見込みで受講している人と修了した人に支給されます。

【1】雇用保険の一般被保険者
専門実践教育訓練の受講を開始した日(以下「受講開始日」)に雇用保険の一般被保険者の人のうち、支給要件期間が10年以上ある人

【2】雇用保険の一般被保険者であった人
受講開始日に一般被保険者でない人のうち、一般被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長(注2)が行われた場合には最大4年以内)であり、かつ支給要件期間が10年以上ある方

 上記【1】、【2】とも、当分の間、初めて教育訓練給付の支給を受けようとする人については支給要件期間が2年以上あれば可(平成26年10月1日前に教育訓練給付を受給した場合は、その受給に係る受講開始日から今回の受講開始日までに、通算して2年以上の被保険者期間が必要)。
また、過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合、その時の受講開始日より前の被保険者だった期間は通算しません。このため、過去の受講開始日以降の支給要件期間が10年以上とならないと、新たな資格が得られないことになります。また、このことから、同時に複数の教育訓練講座について支給申請を行うことはできません。
さらに、前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに10年以上※経過していることが必要です。※ ただし、平成26年10月1日前に教育訓練給付金を受給した場合は、この期間は必要ありません。

[2]支給額
教育訓練施設に支払った教育訓練経費の50%に相当する額となります。ただし、その額が1年間で40万円を超える場合の支給額は40万円(訓練期間は最大で3年間となるため、最大で120万円が上限)とし、4千円を超えない場合は支給されません。
専門実践教育訓練の受講を修了した後、あらかじめ定められた資格等を取得し、受講修了日の翌日から1年以内に一般被保険者として雇用された人又はすでに雇用されている人に対しては、教育訓練経費の20%に相当する額を追加して支給します。
この場合、すでに給付された(1)の訓練経費の50%と追加給付20%を合わせた70%に相当する額が支給されることとなりますが、その額が168万円を超える場合の支給額は168万円(訓練期間が3年の場合、2年の場合は112万円、1年の場合は56万円が上限)とし、4千円を超えない場合は支給されません。

(3)教育訓練支援給付金

 ※令和7年3月31日までの時限措置となります。

[1]支給の要件
初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する人で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす人が、訓練期間中、失業状態にある場合に支給。

[2]支給額
当該訓練受講中の基本手当の支給が受けられない期間について、基本手当の日額と同様に計算して得た額に80%の割合を乗じて得た額に、2か月ごとに失業の認定を受けた日数を乗じて得た額を支給します。

(注)1.一般被保険者は、65歳の誕生日の前日に一般被保険者でなくなり高年齢継続被保険者として切り替わるので、受講開始日が66歳の誕生日の前日以降にある場合は、支給対象にはなりません。

2.一般被保険者資格を喪失した日以後1年間のうちに妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由により引き続き30日以上対象教育訓練の受講を開始できない日がある場合には、公共職業安定所にその旨を申し出ることにより、当該資格を喪失した日から受講開始日までの教育訓練給付の対象となり得る期間(適用対象期間)にその受講を開始できない日数(最大3年まで)を加算できます。

<一般被保険者>
→1(2)被保険者の種類

<受講開始日とは>
受講開始日とは、厚生労働大臣が指定した教育訓練を開始した日で通学生の場合は教育訓練の所定の開講日、通信制の場合は教材等の発送日であって、いずれも教育訓練施設長が証明する日です。

<支給要件期間とは>
支給要件期間とは、受講開始日までの間に同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者(一般被保険者又は短期雇用特例被保険者)として雇用された期間をいいます。また、その被保険者資格を取得する前に、他の事業所等に雇用されて被保険者となっていたことがあり、被保険者期間の空白期間が1年以内の場合は、前の被保険者となっていた期間も通算することができます。

【雇用継続給付】

(1)高年齢雇用継続給付

 高年齢雇用継続給付は、基本手当を受給せず継続雇用する人を対象とする「高年齢雇用継続基本給付金」と基本手当を受給し再就職をした人を対象とする「高年齢再就職給付金」があります。

○高年齢雇用継続基本給付金

[1]支給要件
高年齢雇用継続基本給付金は、被保険者であった期間が5年以上ある被保険者で60歳到達後も継続して雇用されている人が次の要件を満たしたときに支給されます。

(ア)60歳以上65歳未満の被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の被保険者)であること

(イ)被保険者であった期間が5年以上あること

(ウ)原則として60歳以後に支払われる各月の賃金が60歳時点の賃金の75%未満となっていること。

 ただし、支給対象月に支払われた賃金の額が、支給限度額370,452円以上であるときは、支給されません。

<一般被保険者>
→1(2)被保険者の種類

[2]支給額

(ア)低下率が61%未満の場合は、支給対象月の賃金額の15%相当額。

(イ)低下率が61%以上75%未満である場合は、支給対象月の賃金額の15%から一定割合で逓減された額

(ウ)高年齢雇用継続基本給付金の額と支給対象月の賃金額の合計が支給限度額(370,452円)を超えるときは、支給限度額(370,452円)から支給対象月の賃金額を引いた額が支給されます。

(エ)高年齢雇用継続基本給付金の額が2,196円以下のときは、支給されません。

[3]支給期間
被保険者が60歳に達した月から65歳に達する月までで、各暦月の初日から末日まで被保険者であることが必要です。この期間内にある月を支給対象月といいます。

<支給対象月とは>
支給期間内にある各暦月を支給対象月といいます。

○高年齢再就職給付金

[1]支給要件
高年齢再就職給付金は、基本手当を受給した後、60歳以後に再就職をして、再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった人が次の要件を満たしたときに支給されます。

(ア)60歳以上65歳未満の被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外の被保険者)であること

(イ)基本手当についての算定基礎期間が5年以上あること

(ウ)再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること。

[2]支給額

(ア)低下率が61%未満の場合は、再就職後の支給対象月の賃金額の15%相当額。

(イ)低下率が61%以上75%未満である場合は、再就職後の支給対象月の賃金額の15%から一定割合で逓減された額

(ウ)高年齢再就職給付金の額と再就職後の支給対象月の賃金額の合計が支給限度額(370,452円)を超えるときは、支給限度額(370,452円)から再就職後の支給対象月の賃金額を引いた額が支給されます。

(エ)高年齢再就職給付金の額が2,196円以下のときは、支給されません。

[3]支給期間
再就職した日の前日における支給残日数が200日以上のときは、再就職日の翌日から2年を経過する日の属する月までとなり、100日以上200日未満のときは、1年を経過する日の属する月までとなります。また、高年齢雇用継続基本給付金と同様に各暦月の初日から末日まで被保険者であることが必要です。

<再就職後の支給対象期間とは>
上記の支給期間内にある各暦月を再就職後の支給対象月といいます。

※育児休業給付は、雇用継続給付から独立して下記に記載。

(2)介護休業給付

○介護休業給付金

[1]支給要件
家族を介護するための休業をした雇用保険の一般被保険者で、原則として介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上ある人が支給対象となります。
介護休業給付は、以下の要件を満たす介護休業について支給されます。

(ア)負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある対象家族を介護するための休業であること。

(イ)被保険者が、その休業の期間の初日及び末日とする日を明らかにして事業主に申出を行い、これによって被保険者が実際に取得した休業であること

<対象家族とは>
被保険者の配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、及び被保険者が同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫とされます。

 同一の家族について再度取得した介護休業が以下のいずれにも該当する場合には、その休業についても介護休業給付金の支給申請をすることができます。

(ア)介護休業給付金の支給対象となる介護休業を開始した日から93日を経過した日後においては、その休業を開始した日から引き続いて要介護状態にある対象家族を介護するための休業でないこと(同一の要介護状態にある対象家族の場合は93日以内であること)

(イ)同一の対象家族について介護休業給付金の支給日数の合計が93日以内であること

※期間雇用者については、次のいずれかに該当する場合は、介護休業給付の支給対象となります。

(ア)休業開始日において同一の事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、休業終了後同事業主の下で労働契約が更新され、3年以上雇用が継続する見込みがあること

(イ)休業開始時において同一の事業主の下で労働契約が更新され、3年以上雇用が継続しており、かつ、休業終了後同一の事業主の下で1年以上雇用が継続する見込みがあること

[2]支給期間
介護休業を開始した日から起算した1ヵ月ごとの期間(その1ヵ月の間に介護休業終了日を含む場合はその終了日までの期間)に区切り、1つの支給単位期間として、3か月(3つの単位期間)をまとめて支給されます。また、1つの支給単位期間において休業している日(日曜日、祝日など会社の休日も含みます)が20日以上あることが必要です。(ただし、休業終了日の属する支給単位期間については、休業している日が1日でもあれば支給されます。)

[3]支給額
各支給単位期間ごとの支給額は、原則として、休業開始時賃金日額×支給日数×67%(上限は341,298円となっています。)支給日数は、休業終了日の属する支給単位期間は、支給単位期間の日数、それ以外の支給単位期間は、30日で計算します。
ただし、支給対象となる期間中に賃金支払日があり、そこで支払われた賃金の額が休業開始時賃金月額の40%を超えるときは、休業開始時賃金月額の80%と支払われた賃金との差額が支給され、80%以上のときは、支給されません。

<休業開始時賃金月額>
原則として介護休業開始前6ヵ月間の賃金により算定されます。

【育児休業給付】

(1)育児休業給付

○出生時育児休業給付金

[1]支給要件
 次の①から③に該当する場合に出生時育児休業給付金が支給されます。ただし、期間を定めて雇用される方は、子の出生日(予定日前に出生した場合は予定日)から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、その労働契約の期間が満了することが明らかでないことが必要です。

  1. ① 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
    出生時育児休業給付金の対象は、以下のア及びイいずれにも該当する休業です。
    • ア 被保険者が初日と末日を明らかにして行った申出に基づき、事業主が取得を認めた休業。

    • イ 「出生日または出産予定日のうち早い日」から「出生日または出産予定日のうち遅い日から8週間を経過する日の翌日まで」の期間内に4週間(28日)までの範囲で取得されたもの。

      • ・ 産後休業(出生日の翌日から8週間)は出生時育児休業給付金の対象外です。
      • ・ 出生時育児休業給付金の対象となるには、出生時育児休業の初日から末日まで被保険者である必要があります。
      • ・ 男性が出生時育児休業を取得する場合は、配偶者の出産予定日または子の出生日のいずれか早い日から出生時育児休業給付金の対象となります。
      • ・ 被保険者とは、一般被保険者と高年齢被保険者をいいます。
      • <一般被保険者> →1(2)被保険者の種類
  2. ② 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。(育児休業給付金と同じ要件です。)
  3. ③ 休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)
    以下であること。「最大」は、28日間の休業を取得した場合の日数・時間で、休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。

[2]支給額
 支給額は、原則として、休業開始時賃金日額 ※ × 休業期間の日数(28日が上限)×67%です。(上限は、289,466円となっています。)ただし、支給対象となる期間中に賃金支払日があり、そこで支払われた賃金の額が休業開始時賃金月額の13%から80%未満のときは、休業開始時賃金月額の80%と支払われた賃金との差額が支給され、80%以上のときは、支給されません。

<休業開始時賃金月額とは>
育児休業開始前の6ヵ月間の賃金により算定されます。

○育児休業給付金

[1]支給要件
 1歳未満の子を養育するために育児休業を取得する一般被保険者で、原則として、育児休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上(基本手当の所定給付日数に係る算定基礎期間を除く)ある人が、育児休業により賃金が一定水準を下回ったときに支給されます。
ただし、子が1歳に達した日以後2歳に満たない期間についても、以下のいずれかに該当する場合は、その事情が続く間、育児休業給付の支給対象となります。

(ア)育児休業の申出に係る子について、保育所における保育の実施を希望し、申込みを行っているが、その子が1歳に達する日後の期間について当面その実施が行われない場合

(イ)常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者で、その子が1歳に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった人が次のいずれかに該当した場合

1)死亡したとき

2)負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により育児休業の申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき

3)婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業の申出に係る子と同居しないこととなったとき

4)6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過しないとき(産前休業を請求できる期間又は産前休業期間及び産後休業期間)

※期間雇用者については、次のいずれかに該当する場合は、育児休業給付の支給対象となります。

(ア)休業開始時において同一の事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、休業終了後同事業主の下で労働契約が更新され、3年以上雇用が継続する見込みがあること

(イ)休業開始時において同一の事業主の下で労働契約が更新され、3年以上雇用が継続しており、かつ、休業終了後同一の事業主の下で1年以上雇用が継続する見込みがあること

※「パパ・ママ育児プラス制度(父母ともに育児休業を取得する場合の育児休業取得可能期間の延長)」の利用により育児休業を取得する場合には、一定の要件を満たすと、子が1歳2か月に達する日の前日までの間に、1年まで育児休業給付金が支給されます。

※配偶者の出産後8週間以内の期間に、父親が育児休業を取得した場合には、育児休業の再度取得が可能となり、一定の要件を満たすと育児休業給付金が支給されます。

[2]支給期間
育児休業を開始した日から起算した1ヵ月ごとの期間(その1ヵ月の間に育児休業終了日を含む場合はその終了日までの期間)について支給されます。(「支給単位期間」といいます。)
支給対象となる育児休業の期間には、産前産後休業期間は含まれません。
また、1つの支給単位期間において就業している日が10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること(休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であるとともに休業日が1日以上あること)が必要です。

[3]支給額
支給単位期間ごとの支給額は、原則として、休業開始時賃金日額×支給日数×67%(181日目以降は50%)です。(上限は310,143円 50%のときは231,450円となっています。)支給日数は、休業終了日の属する支給単位期間については、支給単位期間の日数、それ以外の支給単位期間については、30日で計算します。
ただし、支給対象となる期間中に賃金支払日があり、そこで支払われた賃金の額が休業開始時賃金月額の50%を超えるときは、休業開始時賃金月額の80%と支払われた賃金との差額が支給され、80%以上のときは、支給されません。

<休業開始時賃金月額とは>
育児休業開始前(産前産後休業を取得した場合は、原則として産前産後休業開始前)の6ヵ月間の賃金により算定されます。

雇用二事業

(1)雇用安定事業

 雇用安定事業は、失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るための事業で、景気の変動などにより事業活動の縮小を余儀なくされた事業主等に対し各種助成金が支給されます。
助成金には、次のようなものがあります。
・障害者雇用調整助成金
・高年齢者雇用安定助成金
・地域雇用開発促進助成金
・特定求職者雇用開発助成金
・労働移動支援助成金
雇用調整助成金

(2)能力開発事業

 能力開発事業は、職業生活の全期間を通じて能力の開発向上を促進するための事業で、被保険者の職業訓練等を行う事業主等に対し、各種助成金が支給されます。
助成金には、次のようなものがあります。
・人材開発支援助成金

詳しくは事業所又は住所地を管轄するハローワークへお問い合わせください。

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