第40次労働者福祉欧州視察団 |
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第40次労働者福祉欧州視察団
視察報告の概要
1.ねらい
ヨーロッパにおける各国ナショナルセンター(労働組合)が中心となって取り組むライフサポ-ト活動と課題(例えば事業の内容、運営にあたってのヒト・モノ・カネの手当をどうしているか、さらにはEUや政府、自治体からの補助金とその活用実態など)について事前に行ったアンケート調査結果に基づき、フランス、ベルギー、イタリアにおける取り組みや考え方、具体的事例(現場)などについて視察し、日本におけるワンストップサービスを中心とする労働者自主福祉運動の実践とこれからの活動に活かす。
2.受け入れ及びご協力いただいた組織
○国際労働組合総連合(ITUC)
○フランス労働総同盟「労働者の力」(CDT-FO)◎福祉部門=ASSEDIC
○ベルギ-労働総同盟(FGTB) ◎直接対応
○イタリア労働総同盟(CGIL) ◎福祉部門=INCA、CAAF
○イタリア労働組合連盟(CISL)◎福祉部門=INAS、CAAF
○イタリア労働連盟(UIL) ◎福祉部門=ITAL、CAF、UNIT、ADOC、ANCS
○連合国際局
○連合ヨーロッパ事務所
3.視察先・日
○視察期間 2008年9月1日(月)~11日(木)
9月3日(水)フランス(パリ) CDT-FO、ASSEDIC(パリ市「バーシィ地区」)、UNEDIC
9月4日(木)ベルギー(ブリュッセル) ITUC本部
9月5日(金)ベルギー(アントワープ) FGTBアントワープ支部
9月8日(月)イタリア(ローマ) CISL-INAS
9月9日(火)イタリア(ローマ) UIL-ITAL、CGIL-INCA、SPI
4.参加者 22名 (女性5名)
長野県からは、青木正照氏(長野県労福協・専務理事)が参加しました。
5.視察概要
A.ライフサポート関係
<紹介された主な取り組み内容>
○失業給付・就職サポート フランス(CDT-FO)、ベルギー(FGTB)
○年金・税金サポート イタリア(CISL、UIL、CGIL)
<5つのナショナルセンター(NC)に共通したもの>
○失業手当や年金の支給に労働組合(ナショナルセンター)がきっちりと関 与し、労働者へのライフサポートをしっかりやっていること。
○失業給付なども労使で自主的に運営、それを政府が追認しサポートをして いること。
<各NCの関わり方>
○フランスの場合 <失業保険制度>
(1)経営者を社会的パートナーと位置づけ、制度の規則を労使協定で決め る。考え方「市場経済は良い失業保険制度があってこそ機能していく」
また失業制度は、企業の人事管理サポートとしての役割も持っている。
(2)ASSEDIC(ライフサポートセンタ-。労使同数で運営)は、労使からの保険料の徴 収と給付金の支払い、失業者の登録、求職者フォローアップを行う。フラ ンス全土に700カ所。ASSEDICの統括組織はUNEDIC。職員総数15,000人。
(3)保険料 6.4%(使用者側負担 4.0%、労働者側負担 2.4%)。
(4)ASSEDICは、ANPE(公的就職支援機関)と連携して「個別求職計画」の 実施や職業紹介など、求職者のサポートを行う。ANPEは全土に800カ所。 ASSEDICとANPEは09年1月に統合しワンストップとなる。
(5)連帯制度・・・・低所得で支給期限が切れた人を対象に連帯手当を支給。 70~80万人が給付を受けている。高齢者が多い。
○ベルギーの場合 <社会保障制度>
(1)社会保険料は、法律によって支払の義務が定められている。負担は① 労・使②使用者側のみ③政府の支出(補助金)の場合がある。徴収は、社 会保険庁が3カ月ごとに行う。
(2)制度が対象とするもの・・・・・年金、医療、疾病・障害、保証給与、児童 手当、失業手当、年休、賃金レベルの支払、職業病など。
(3)負担率・・・・使用者側は38.36%、労働者側・・・13.07%。社会保険制度の 総コストは約900億ユーロ。
<失業保険関係>
(1) 失業手当は、社会保険庁が失業者に直接支払うのではなく、委託(支払機関)を受けたところが行う。支払機関は4つ、その内3つは労働組 合(FGTB、CSC、ACV)で残りは国の機関。委託の条件は組合員が5万人以上 であること。労働大臣が認可する。
(2)FGTBは組合員を対象に失業者の登録やアドバイス、失業手当の手続き やサポート、関係する事務処理などのサービスを行う。全国に16カ所あ
り、その下に支払事務所(県レベル)が多数ある。職員は800人。失業手当 の支払いは銀行口座。業務には専門性が必要なためFGTBは、職員の教育・ 訓練、再教育を毎月実施する。失業手当の申請1名につき、事務手数料が 社会保険庁からFGTBに支払われる。この費用を運営コスト(人件費・事務 所費)に充てている。ただし、この費用は他の分野に使用できない。取り 扱い件数は年間755,000件(全体の約40%)、手数料は約30億ユーロ。
○イタリアの場合 <パトロナート>
イタリア独特のライフサポート制度で、国が法的に認知しているもの。
イタリアでは各種社会保障や税金などの申請手続きが法的・事務的な面
で大変に煩雑なため、主に3つの労働組合(CGIL、CISL、UIL)とキ
リスト教団体(ACRI)の計4つが国の委託を受けてこの申請手続き
のサポート事業(無料サービス)を行っている。ただし労働組合は運
営に直接参加できないため個別に支援機構をつくり、活動している。
この機構は事実上、各労働組合の福祉部門の役割を担っている。国の
認定には①全ての人を対象とする②民主的組織運営③労働省への登
録が必要となる。この機構の役割を一言で言えば、公的機関と労働者
(国民)の間の鎹(かすがい)といえる。
(1)CISLの場合・・・・INAS(全国社会的支援組織)。
①年金、失業手当、保険・共済の申請手続きのサービス提供。職員1200 人。医師350人。全国800支部・海外に90出張所(職員150人)。
②資金は、年金基金から支払われる。INASは年間450万件を取り扱い、年 金基金から約1億ドルが提供されている。
③対象・・・・50%が組合員。55%が非組合員(このうちサービスを受けた14 万人が組合員になった)。
④失業対策で就職斡旋は国の仕事であり、行っていない。
・・・・CAAF(税金申請サポート組織)
①イタリアでは1年に1度税金の確定申告をしなければならないが、手 続きが煩雑(間違えると罰金)なためそのサポートを行う。
②昨年200万件の申請手続きをサポート。1件につき20ユーロが国から支
払われる。
(2)UILの場合・・・・ITAL(年金・医療福祉サービス組織)
①国内に700支部。海外にも出張所がある。
・・・・CAF(税金申請サポート組織)
・・・・UNIT(住宅生協)
①住宅価格の適正化、賃貸住宅への支援など
・・・・ADOC(全国消費者連合)
①会員は73,000人。入会金1人5ユーロ。全国209支部。職員1,500人
(ボランティア)。
②管轄は経済発展省。認可の条件は、会員3万人以上または20州のうち
5州以上または100県のうち20県以上で組織されていること。
③主な活動
○消費者サポート(窓口サービス)○係争支援○政策キャンペーン
○国民運動(パスタストライキなど)
・・・・ANCS(全国社会組合連合)
①労協事業。ワーカーズコーポ。組織条件9名以上。
②共済・互助。失業対策。
③活動A 老人・子ども・障害者支援
活動B 困難な人々の社会復帰支援
(3)CGILの場合
・・・・INCA(労働者福祉組織)
①取り扱い件数 120万件。
②主な活動。年金、労災、職業病、産休、障害者支援、困難企業支援、
海外労働者支援など。
・・・・CAAF(税金サポート組織)
・・・・労働相談(CGILの独自組織)
B.年金受給者組合について
3つのNCでは積極的に退職者・年金受給者の組織化を行っている。
以下はそのデータ
①組合員 CGIL 299万人 組合員比率55%
(SPI・退職年金者組合)
CISL 200万人 同 50%
UIL 57万4,000人 同 25%
②組合費 年金からの天引き。受給額の0.4%~1%、
ただしCGILは0.5%。
③徴収 年金公社。
④形態 横断的組織。組合員は各NCに直加盟。
(CGILには産別の退職者組織はない)
⑤連携 3つのNCの退職者組合は共に連携している。
C.失業者の組織化
CGILでは、失業者の組織化を行っている。
①組合費 本人の希望額(概ね1人1ユーロ)
②加盟形態 直加盟(CGILは600万人の全組合員に毎年組合員証を発行
する)
③組合員数 17,720名
④メリット 失業手当、各種社会保険などの
サービス、争議支援など
⑤組合員への就職あっせんはしない。
国の仕事。
以上
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添付資料 |
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