活動報告
報告日:2007-10-06
第15回労働者福祉学校
 
活動期間 2007年10月6日(土)~2008年12月31日(水)
内   容
この画像はクリックすると大きな画像を閲覧できます。
龍谷大学経済学部 石川両一教授の講演
この画像はクリックすると大きな画像を閲覧できます。
NPO地域創造ネットワークジャパン代表 浅野史郎教授の講演
この画像はクリックすると大きな画像を閲覧できます。
パネラー五人らによるパネルディスカッション
第15回労働者福祉学校
社会的共感の得られる運動を協同して取り組むために
去る10月5日、長野市内のホテルにおいて、第15回労働者福祉学校を開催。労福協・事業団体・NPOなど「生活あんしんネットワーク事業」に取り組む関係者約140人が参加しました。
 福祉学校は午前10時、瀧澤副理事長(労金理事長)の開会挨拶で始まり、続いて近藤理事長(連合長野会長)が主催者を代表し、生活あんしんネットワーク事業推進のために、是非有意義な学習をしていただきたいと参加者に呼びかけました。
今年の福祉学校は政策ブレーンーをしている龍谷大学経済学部教授石川両一氏と中央労福協笹森会長が副代表を勤めているNPO法人「地域創造ネットワーク・ジャパン」代表理事、前宮城県知事の浅野史郎氏を迎え基調講演をいただき、それを受け、石川教授をコーディネーターに4氏をパネラーとしたパネルディスカッションが行われました。そして最後は青木専務理事の「考えて見よう・やってみよう、拒否する理由は何もない・・・」とまとめの言葉を受け、六時間にわたるカリキュラムを閉じました。
基調講演
「社会的共感を得られる運動を協同して取り組むために」
龍谷大学経済学部教授 石川両一氏
 石川教授は日本が抱える課題を、人口推計を示しながら解説をしたり、全国の労福協の取り組みを紹介しながら、労働組合、労福協が抱える課題とその解決への道を指摘されました。
中でも、労福協は特定の団体等に偏ることなく、一般市民も含み幅広い分野で勤労者福祉・地域福祉の活動を展開しており、ようやく「活動する労福協」へと変貌してきたことが評価できる。又、昨年の「高金利引き下げ全国キャラバン」では、労福協の力を大いに発揮し、法律の改悪阻止の請願署名を310万筆を結集し、その後の「改正貸金行法」成立に貢献したように、労福協が全国デビューをし始めたと大いに期待しているとエールを送られました。
「超少子高齢化の危機」
 合計特殊出生率が今のまま回復を見ないと、2025年には団塊世代が75歳を迎え、人口は1000万人減り、老人が1000万人増える。更に2050年には団塊ジュニアが75歳を迎え、人口は3800万人減、日本の人口は今の3分の2となり、労働人口は4600万人となる。この時日本経済はどうしようもならなくなることは必定であり、日本社会自体が崩壊する。2050年65歳以上の高齢者は3700万人、高齢化率は42%となり、更に注目されるのは100歳以上の女性が40万人という数になることである。来年からは全国の市町村の人口推計が公表される、是非自分の住む地域の将来の人口形態を知り、子育て支援や介護問題など、今何が必要なのか、何をしなければならないかを考えて欲しい。
「地域で顔の見える労働組合に」
 かつて労働組合の使命は賃金の向上、労働条件の改善であったが、今はお金があっても安心して暮らせない時代である。既に組合に求められていることが変化した今、職域から地域へ活動の場を移す必要がある。今組合員が抱えている問題も今までの労組・労福協の活動範囲ではなくなっている。組合の中だけで解決できる問題は非常に少ない。
「道具の作り変えが必要」
 今日本は転換期を迎えている。生活ニーズが大きく変化する中、それにどう対応していくかが課題である。組合も、労福協もなかなか変わることは難しいが、世の中の変化に応じて道具として自らを作り変えなければならない。そのとき新しいパートナーや地方自治体とのコラボレーションなどを考え、自ら変化していくことが必要である。過去と現在は変えられないが、未来は変えることができる。
「お互い強味を合体」
 今20万の団体がボランティアに取り組んでいる。多くのNPOが存在するが、その規模を考えると行政とのコラボレーションは不可能である。まずNPOは労組・生協・労金・労済など労働団体・労働福祉団体と連携を考える必要がある。また労福協はすべての労働者を対象として活動できる団体であり、両者の強味を合体し是非生活あんしんネットワーク事業に積極的に取り組んで欲しい。

【パネルディスカッション】
  「生活あんしんネットワークを協働して取り組むために」
◆ コーディネーター 
龍谷大学教授    石川両一氏

◆パネリスト 
  中央労福協事務局長   菅井義夫氏
  県NPOセンター理事長 高橋卓志氏
  県市町村勤労者互助会・
  共済会連絡協議会会長 石田訓教氏
   県労福協理事長       近藤  光

<石川>
  それぞれの団体の活動内容と、力点を置いている課題等をお話し下さい。

(近藤)
  今の社会環境は、支えあう基盤が衰退している。公的支援もむずかしい。自助努力だけでは対応できない。そこで求められるのは地域生活者との「共助」であり、私共はその共助の取り組みをめざしている。
 そのために、「生活あんしんネットワーク事業」を推進しており、3期に分けた推進スケジュールに沿い、構成組織だけでなく、市町村互助会やNPO等との連携をはかりながら、それぞれの地域にあった取り組みを進めてまいります。

(菅井)
  中央労福協は、各県労福協の上部組織ではありません。各県労福協は独立した組織なのです。
  現在、連合・労金・全労済・労福協の4団体合意に沿って、各県ごとにそれぞれの実情に合わせながら、組織労働者だけでなく、地域の勤労者のくらしをサポートする活動を始めています。
 また、昨年労福協が中心になって取り組んだ、高金利引き下げ、法律の改悪阻止の請願署名310万筆の成果を励みに、本年も、悪質商法・割賦販売法改正の取り組みを強化し、「行動する労福協」をアピールしています。

(高橋)
 現在住んでいる浅間温泉は、近年旅館業の衰退が目立ち、廃業する旅館が多い。
  その元旅館を借りて、NPOで障害者の通所施設を運営している。長野県もNPO団体が非常に多いが中には怪しげな組織もあり注意する必要があります。
 今回のテーマに、「協働」という言葉があるが、非常に難しいものだと思う。特に、労働組合とNPOの生い立ちや性格はあまりに違うのでどうしたら「連携」や「協働」ができるのかお互いに本気で考える必要があると思います。

(石田)
  現在38互助会・共済会で構成されており、10,000事業所、74,000人が加盟しています。
 今後は、補助金が減少していく中で、各互助会がいかに自立していくかが課題です。そのためにも、県としても県の予算で互助会・共済会のパンフレットを作り、多くの事業者に知ってもらい、会員拡大をはかろうという取り組みを実施しています。

<石川>
  労働組合とNPOの連携・協力により地域活動を行うことが望ましいが、NPO側から労働組合への注文はどうですか。

(高橋)
  長野県のNPOは740あり、人口比でみると、東京、京都に次いで第3位です。
  将来人口1,000人に1つのNPOができれば、社会が変わるといわれています。
 労働組合とNPOの成立した歴史が違うことや、企業との対応が労働組合であり、NPOは市民・現場での対応が主になっています。
 NPO従事者の賃金が低いのが悩みであり、その底上げの手助けを労働組合にお願いしたい。

(近藤)
  歴史や生い立ちが違うということはその通りだと思う。これからは、NPOと労働組合の役員が懇談する場を設定し、できるところから連携し、継続性のある関係を保つことが大切と思う。
 又、県との関係も労福協として深く関わり、公的な入札時のNPOの下支えしている人達の賃金の底上げにつながるような要請を行ってまいります。

<会場質問者>
 ①労働組合の地域への活動をどう進めるのか。
 ②自治体は指定管理者制度を導入しているが、NPOとして参入するのか。
 ③NPOに関わる人達は、ボランティア精神が大きいと思うが、意識はどうなのか。

(近藤)
  連合は、正規社員中心から、非正規社員も含む日本に働く全労働者の底上げを図ろうという方向であり、又、社会の不条理に対して闘う方針を掲げています。合わせて、地域に根ざした、顔の見える取り組みをしようと心がけています。そして、連合長野は、県下の拠点地域に専従者を配置して取り組みを強化し、持続性のある地域運動を前進させたいと思っています。

(高橋)
 NPOの成り立ちの中では、ボランティア精神や動機付けで作り上げてきたように、地域ボランティア団体がNPOにスライドしたような形です。
 NPOの人達は、経営面は非常に苦手であり、その組織が継続的に成立っていけるのか不安な面もあります。これからは、NPOの経営感覚養成や自助努力と共に、社会のNPO支援意識が必要であると感じています。

<石川>
  これで最後になりますが、菅井さん、石田さんにメッセージをいただきたい。

(菅井)
 地域社会との連携や地域活動展開をするにあたり、自分達の塀が高ければ低くする努力が必要であり、堀が深ければ浅くする努力が必要です。
 当面は、①社会保障制度の歪み改善②少子・高齢化対策③富の集中、格差是正④地域社会での運動展開、の4項目を重点的に取り組むことが確認されています。

(石田)
 県下各互助会の自立に向けて会員加入促進をはかっています。そのために、あらゆる機会を利用してPRをさせてもらうつもりでいますので、それぞれの団体でその機会を与えていただきたい。
 県労福協では、昨年から「生活あんしんネットワーク事業」をスタートさせ現在推進されていますが、県としても期待しておりますので、さらに発展させて下さい。

「地域の底力で世直しを」
NPO法人地域創造ネットワークジャパン    代表理事 浅野史郎
 浅野史郎氏はまず今の政治状況に触れ、年金問題に関し、この問題は日本人の「無謬性」(役人は間違えない、役人を疑わない)という特性と、外から作られた「密室性」に所以していると指摘、政治と金の問題や格差社会についても自論を展開されました。そして「その専門分野」ではいつも「そういうものだ」で済まされてしまうが、その常識を外から見ておかしいと思ったときは怒ろう!と参加者に呼びかけました。続いて浅野氏は「ボランティア」の本質に触れ、よく定年退職した人が「何でもいいからボランティアをやりたい」という人がいるが、それではボランティアにならない。ボランティアとは「ただ」という意味ではなく、止むに止まれぬ心の動きであり、最初にその対象や行動が必ず存在するものであると解説されました。また、浅野氏は本人の北海道庁福祉課長や厚生労働省障害福祉課長を務めた時の経験談を織り交ぜながら、地域と福祉とのかかわりについてなどを話されました。そして、地域住民=非専門家をいかに福祉やボランティア活動に引き込んでいくかのポイント、やっていることがいつの間にか楽しみになる、食欲をすする料理メニューを作ること、そして何よりもボランティアに誘うにはハードルを低くすることが肝心であると説明。阪神大震災では約6000人の人が亡くなったが、家の下敷きになった人はその倍、その人たちは隣人が助け出しており、防災活動などには地域の底力が大きく発揮されるもので、誰にでも起こり得ることはボランティア活動として入りやすいと説明した。
 地域住民のボランティア活動への参加には社会福祉的コーディネーター役を担うものが大切であり、労福協はコーディネーターとしての役割を担い得る存在であり、労福協活動に地域の非専門家をいかに巻き込んでいくかが課題ではないかと指摘されました。


添付資料
戻る >>