活動方針

2010~2011年度活動方針

はじめに

 中央労福協は2009年の創立60周年を迎えるにあたり、労福協の原点を再確認するとともに、10年先を展望した「労福協の理念と2020年ビジョン」を策定しました。それは、30年にわたって世界を席巻した新自由主義が終わりを告げ、「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」への扉を開く歴史的な転換点に立っているという時代認識に基づき、これからの労福協が進むべき方向性と基本目標を明らかにしたものです。
 2010~2011年度の活動の基本は、これまでの活動・運動の成果を継承しつつ、全体で共有した「2020年ビジョン」に基づき、これからの10年を切り開いていく確実な一歩を踏み出すことにあります。

 わたしたちを取り巻く情勢は「ビジョン」に示されている通りですので、ここでは繰り返しません。ひとつ強調するとすれば、昨年末からの世界同時不況による雇用崩壊が格差・貧困をさらに広げ、日本社会がまさに「底割れ」した状況に陥っているということです。働くことは生きること――その根本が壊されてしまった日本社会の現実にどう立ち向かうか。それが労働者福祉に取り組む私たちに課せられた最大の課題です。
 100年に一度の経済危機とも言われていますが、人間がこれほどまでにバラバラになった状況で危機に直面するのは、過去にはなかったことです。かつての経済危機の際には、まだ家族や地域、職場などで様々な人々の結びつきや助け合いの仕組みが社会に備わっており、それがセーフティネットの役割を果たしてきたからです。今日では、それらのすべてが脆弱なものになり、孤立し分断された個人は危機に立たされても自分で解決するしかなく、解決の道が閉ざされると絶望するしかありません。
 その象徴が「年越し派遣村」に現れた光景です。使い捨て自由で職と住まいを失い、穴だらけのセーフティネットからも滑り落ちた人たちは、頼るべき人もなく路頭に迷うしかありませんでした。一方で、連合が呼びかけた「連帯カンパ」に集まった4億円弱もの善意や、各地での自立・就労支援活動の広がりは、未来を照らす一条の光明です。
 いま問われているのは、働く仲間の連帯・支え合い、地域の絆を取り戻していくこと。そして、国民の暮らしを第一とする新しい政治を確かなものとし、社会の隅々にセーフティネットを張りめぐらしていくこと。まさに「救貧から防貧へ」(賀川豊彦)です。
 貸金業法と割賦販売法の改正運動で変わるはずがないと言われた法律が変わり、反貧困で声をあげ行動することで世論が動き、政治が変わりました。新しい社会をつくるチャンスは目の前にあります。そのチャンスをものにできるかどうかは、私たちひとり一人の「思い」と行動にかかっています。

 「ビジョン」で示されているように、労福協の活動の柱は、① 国民の共感の得られる社会運動と政策の実現、② 勤労者の総合生活支援(ライフサポート)を車の両輪とし、③ 労働者福祉運動や協同事業が発展し社会的な役割を果たしていける基盤を創り出すことにあります。
本活動方針においても、この3つを柱とし、加盟団体や関係する諸団体との密接な連携のもとに、
労福協として重点を置くべき活動にメリハリをつけて取り組んでいきます。

I.国民の共感の得られる社会的運動と政策の実現

重点活動

1.貧困や多重債務のない社会に向けて

(1)最低生活保障と社会的セーフティネットの充実
  • ① 政府は1965年以来、貧困率の調査を行わず、貧困の存在を認めてきませんでした。新政権は発足からわずか1ヶ月でOECD基準に基づく相対的貧困率を算出・公表し、貧困問題に向きあうスタートラインに立ちました。貧困率15.7%(国民の7人に1人以上が貧困)という厳しい実態を直視し、貧困の具体的な削減目標をかかげて政策を総動員するよう働きかけていきます。
  • ② 経済危機・雇用崩壊により生活保護の利用者が急増するなか、福祉事務所の人員不足と地方財政への圧迫が深刻な問題になっています。「水際作戦」を根絶するため、その根源にある財源問題に切り込み生活保護費の国庫負担の増額やケースワーカーの増員に取り組みます。また、ナショナルミニマム保障の観点から生活基準のあり方を見直すとともに、生存権保障を実体化する生活保護法の改正をめざします。
  • ③ 2009年10月から雇用保険と生活保護をつなぐ「第2のセーフティネット」が本格実施されました。穴だらけのセーフティネットを埋めていく意味で大きな前進ですが、3年間の時限措置であり、窓口や権限が分散しているため利用者が「たらい回し」になる懸念もあります。相談窓口の一本化(ワンストップ対応)や相談体制の拡充など、利用しやすい制度への運用改善をはかりながら、恒常的な制度をめざします。
  • ④ 上記の課題を実現するため、「生活底上げ会議」を軸に、労働組合や福祉事業団体、市民団体、法曹界、研究者などとも連携して、より広範な運動とネットワークづくり、政策提言・政策決定への反映をめざします。さらに、反貧困キャンペーン活動、生活困窮者支援・相談活動などについても、共同で取り組める行動を追求します。
(2)多重債務対策
  • ① 地方議会意見書採択などの取り組みにより、施行後3年を目途とする改正貸金業法の完全施行(出資法金利の引き下げ、グレーゾーン金利の撤廃)を早期に実現します。完全施行後は、脱法行為への厳格な対応など、法律の運用において実効性が確保されるよう監視していきます。さらに、改正貸金業法による多重債務の改善効果等も検証しつつ、半世紀以上も変更されていない利息制限法の上限利金のあり方についても検討します。
  • ② 政府の「多重債務問題改善プログラム」を定期的にフォローアップし、相談窓口の拡充、セーフティネット貸付の充実、ヤミ金融の根絶、消費者教育の強化が着実に実行されるよう取り組みます。とりわけ、相談員の待遇改善を含む相談窓口整備のための予算確保や、勤労者の債務整理後の生活再建を応援するセーフティネット貸付に対する公的保証制度の創設(中小企業には45兆円も保証がある)に重点的に取り組みます。地方労福協が参画する都道府県多重債務対策協議会においても、こうした観点から積極的な意見反映に努めます。
  • ③ 労働組合や労金と連携し、引き続き「高利借換え運動」を推進します。また、「賢い消費者講座」など多重債務を未然に防止する取り組みも強化します。

2.消費者運動との連携の促進

(1)消費者行政・相談体制の充実強化

 貸金業法・割賦販売法の改正、消費者庁・消費者委員会の設置の成果を踏まえ、残された課題の実現に取り組みます。

  • ① これまでの運動による法改正を活かし悪質商法被害を防止するためには、消費者行政の土台である地方消費者行政・相談機能を強化していくことが不可欠です。地方においても消費者重視の政策転換をはかるため、各都道府県に地域の消費者行政を総合的に推進する機関(知事、市町村、消費者・労働者福祉団体も参加する官民共同組織)を設置するよう働きかけ、地方消費者行政予算の大幅な拡充、消費生活相談員の増員、権限の強化と待遇の改善、専門性の向上などに取り組みます。国においても、相談員の待遇改善や雇用安定を促進する法的整備を含め、地方消費者行政の強化に向けた恒常的な支援策の検討を早急に行うよう求めていきます。
  • ② 真に消費者行政の司令塔として消費者庁を機能させるため、「消費者委員会」の独立性と権限・機能強化に取り組みます。
  • ③ 悪質な事業者の違法・不当な収益を剥奪し、被害者を救済する制度の創設をめざします。
(2)労働運動と消費者運動との連携の促進
 大多数の国民は労働者でもあり消費者でもあります。したがって、労働組合には消費者被害や「偽装」事件を生まないためのチェック機能が求められますし、消費者政策(価格競争)においても「公正なワークルール」が前提とされるべきです。また、多くの青少年が労働者としての権利侵害や悪質商法に無防備なまま社会に出て行く現状に対しては、教材の共同作成・配布などをはじめ労働教育と消費者教育を一体的に推進することが共通の課題ではないでしょうか。労福協は、これまでの運動で培われたネットワークを活かし、様々な場を通じて労働運動と消費者運動の共通認識を広げ、共同の取り組みにつなげていく「かすがい」としての役割を追求します。

3.連帯経済(労働者自主福祉事業など)の促進に向けた政策支援

 わが国も本格的な政権交代の時代を迎え、労働者福祉にかかわる政策決定や運営への参画、NPOや自主福祉事業に対する税投入の道が広がってきます。
 新政権においては、政治主導、政府・与党の一元化など、従来の政策決定システムが抜本的に変わります。これに対応して、私たちもこれまでの政策・制度要求のあり方を見直し、より実現を意識した提言づくりや、非営利協同セクターが結集して政府と対等なパートナーシップに基づく政策協議の仕組みをつくるなど、政策決定プロセスへの関与を高めていくことが求められます。
 また、非営利協同セクターによる連帯経済の促進に向けて、「新たな公共」を担う自主福祉事業に対する財政支援や、共助の組織に関する基本法制定など法制度のあり方についても研究し、組織内での論議も深めつつ、できるところから実現に向けた取り組みを進めていきます。

継続的活動

1.政策・制度要求の実現に向けた取り組み

 上記の重点課題のほか、中小企業勤労者福祉の向上、子育て支援の促進や高齢者の暮らしの安心確保、さらには財形・共済制度の改善、食の安全、協同労働組合法の制定とディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進など事業団体に関わる政策・制度要求について、引き続き実現に向けた取り組みを進めます。各年度の具体的な要求内容は、政策委員会で取りまとめの作業を行います。

2.地球環境保護、食の安全、フードバンク

 新政権が温室効果ガス排出量を2020年に1990年比で25%削減する目標を示したことで、国際的な枠組みでの温暖化対策の促進に向けた日本のイニシアティブの発揮が期待されています。こうした情勢も踏まえ、連合、中央労福協、労金協会、全労済で構成する「ライフスタイルを見直す環境会議」や生協、NPOなどとも連携して「温暖化防止に向けた国民運動」に積極的に参加していきます。労福協としても、自らの活動全般にわたり環境負荷の低減に努めるとともに、啓発活動やエコキャップ運動(ペットボトルキャップを回収し世界の子どもにワクチンを送る)の普及など、日常生活の中で身近にできる取り組みを広げます。
 また、食の安全、食育、地産地消、食品ロスの削減などにも、ライフスタイルの見直しをはかりつつ、息の長い取り組みを進めていきます。とりわけ、年間900万トン(米の生産量に匹敵)もの食べられる食料が無駄に捨てられている日本において、食料品を有効活用し福祉活動支援にもなるフードバンクが社会的に注目され、行政も含めて推進の機運が高まっています。労福協としても、貧困問題、食、環境、福祉、防災などの運動に関わるテーマとして、労福協のネットワークがどのように関わっていけるか検討し、いくつかの地域においてモデル事業づくりに取り組みます。

3.防災・減災の取り組み

 地震や風水害による大規模な自然災害が頻発しています。災害に備え被害を最小化する取り組みは、暮らしの安全を支える基本となる活動です。労福協の加盟団体は、災害時のボランティア・支援活動(労組)、応急生活物資供給(生協)、自然災害共済(全労済)、住宅の耐震補強(住宅生協、全建総連)など、それぞれの分野で役割を担っています。地域でも、災害ボランティア養成、防災セミナー、普通救命士講座、帰宅困難者訓練などの様々な取り組みが徐々に広がりつつあります。こうした活動の情報を全体で共有し、行政や市民団体、経営者団体とも連携をはかりつつ、国民的な課題として災害に対応できる社会とネットワークづくりを進めます。

II.勤労者の総合生活支援(ライフサポート)

重点活動

1.「勤労者の暮らしサポート事業」の体制づくりと着実な推進

 全国の都道府県における地域を拠点とした勤労者の暮らしサポート事業(ライフサポートセンター)の体制強化とサービス内容の着実な前進をはかります。

  • (1)各地域の先進的な事例を相互に学び、新たな分野の開拓と普及をはかるとともに、相談の具体的処理のノウハウなどの情報交換、経験交流を進めます。そのため、各地のライフサポートの担当者、相談員の研修・交流の場づくりを検討します。
  • (2)中央労福協のホームページ等において、全国のライフサポートセンター・相談窓口の広報周知を行います。また、必要に応じて各地のライフ・サポート・センターのホームページ構築の支援を行います。
  • (3)労金や全労済を核としながらも、他の事業団体との連携も視野に入れたサポート事業の支援体制のあり方を検討していきます。
  • (4)事業団体の利用促進や行政との協働関係を高める取り組みを通じて、財政基盤の強化をはかります。
  • (5)地域(各県)の実情を充分認識し、現地中心の判断に基づく事業の展開を進めていきます。

2.就労・自立支援

 経済危機のもとで雇用の崩壊が一段と進む中、「雇用あっての福祉」との観点から、就労・自立支援をライフサポートの重要な柱として位置づけていく必要があります。地方労福協においても、無料職業紹介事業、住居を失った離職者へ就労・自立支援、国の助成(緊急雇用創出事業、ふるさと再生事業)を活用した事業、能力開発・キャリア支援やコミュニティビジネスの起業支援、障害者の就労支援など、様々な取り組みが広がっています。このため、「就業支援連絡会議」などを通じて、先進事例の経験交流や情報提供を行うとともに、市民団体や専門家等を含めたネットワークづくりを進めます。また、民間の就労・自立支援活動に対する国の支援・予算の拡充をめざします。

継続的活動

1.退職者・高齢者との連携・支援の活動

 退職者や高齢者の生きがいづくりは、ライフサポートセンターでの重要な柱になります。元気シニアの多様で多彩な能力や技能が地域社会に活かされる環境とその支援システムづくりや、いきいき健康社会づくりなど、引き続き各種のNPO団体や退職者団体との連携を進め、情報の収集と加盟団体への情報の共有化を進めていきます。
 また、退職者が気軽に相談でき、労働組合や福祉事業団体と生涯を通じてつきあえる仕組みづくりや、事業団体の退職者組織の受け皿づくりにも、関係団体と協議を進め、ライフサポート活動の一環として具体化をはかります。

2.福祉相談

暮らしの中のさまざまな悩みの相談は、ライフサポートセンターの柱として定着しつつあり、今後ともその充実に向けて、地域のネットワークづくり等に取り組んで行きます。

3.介護・子育て支援

 地域における介護・子育て支援サービスへのニーズの高まりに対応して、地方労福協において国や自治体の事業を受託したり、全労済や生協、NPO等と連携した取り組みも広がっています。厚生労働省のファミリーサポートセンターや「病児・緊急預かり対応基盤整備事業」(石川、岡山、滋賀、徳島、沖縄で受託)、子育て広場事業や、介護保険サービス情報公開制度などについては、中央労福協としても、国や自治体の動向、地方労福協の取り組み状況等の情報収集と情報の共有化を進めていきます。
 また、子どもの貧困、ニートや引きこもりなど若者の抱える問題が深刻化するなか、地域のネットワークで子ども・若者の育成・社会参加を支援していく必要性も高まっています。一部の労福協や労働者協同組合が取り組んでいるニート支援(若者サポートステーション/若者自立塾)などの先進事例も参考に、労福協としての関わり方についても検討していきます。

4.中小企業勤労者福祉サービスセンターの自立と再生に向けた取り組み

 賃金など基本的な労働条件をはじめ、福利厚生の面でも大企業と中小企業で働く労働者の格差は年々広がってきています。地域で暮らす市民の圧倒的多数は中小零細企業で働く人々とその家族であり、中小・未組織労働者の生活基盤の安定は、格差の是正や地域社会の発展、日本経済活性化の観点からも重要な課題です。また、大企業であっても、非正規職員のほとんどは福利厚生の対象になっていません。今や3人に1人が非正規雇用という実態を踏まえて、福利格差是正に向けた運動と制度を再構築していく必要があります。
 こうした観点から、中小企業勤労者福祉サービスセンターについては、引き続き自立と再生に向けて、広域化によるスケールメリットの発揮や、万一の時の生活保障など魅力あるサービス内容への改革を進めます。また、非正規労働者や大企業・公務部門も含めた地域の全勤労者を対象とした、ライフサポート・相談機能をも組み合わせた総合的福祉センターをも展望しつつ、行政・労働組合・事業団体・全福センターとも連携し、中央・地方を通じて取り組みを強化します。こうした改革を加速するため、2010年以降の国庫補助廃止に代わる新たなスキームでの財政措置の検討も含めて、国や都道府県の役割・責任を明確にしつつ支援策の拡充をはかります。

III.労働者福祉運動・事業の基盤強化&会員サービス

重点活動

1.協同事業団体の利用促進・支援の取り組み

 厳しい環境におかれている各事業団体を支援するため、以下の各項目を重要課題と位置づけ、労働組合や地方労福協及び各事業団体との更なる密接な関係を深めながら、これまで継続してきた支援策に取り入れていくこととします。

  • (1)設立時の初心に立ち返り、労働組合と事業団体が「ともに運動する主体」としての関係の再構築をはかり、組合員の利用促進につなげます。2020年ビジョンで示した協同組合の社会的価値や優位性に対する理解を浸透させるためのキャンペーン活動や、労働組合役員が率先して利用促進に取り組むよう、連合、事業団体の推進機構とも連携して職場オルグを強化します。
  • (2)労福協に参加する事業団体の相互の連携と協力関係の強化をはかります。
    • ① 加盟団体からの関係系列会社等の事業団体紹介運動の取り組み
    • ② 未加盟団体対策として事業団体間相互の紹介運動
    • ③ 各事業団体の事業を一体的な労働者福祉事業と位置づけての推進実施
  • (3)ライフサポートセンターを新たな推進チャネルと位置づけた地域政策の拡充を検討します。
  • (4)中央・地方労福協は、自らの活動が事業団体の利用促進や支援につながっているかという観点から自己点検を行い、会員事業団体の信頼を確かなものにするよう努めます。こうした信頼関係のもと、地方労福協が安定した活動が継続できるよう、事業団体には引き続き理解を求めていきます。

2.労働者福祉運動を担う人材の育成・教育活動

  • (1)労働運動・労働者福祉の運動に対する労働者の理解や関心が希薄になっているといわれ、これからの運動を担う若手の人材の育成・教育活動が共通の課題となっています。このため、2006年度から始めた労働運動・労働者福祉運動の理念・歴史講座(東西2ヶ所)を継続的に実施するとともに、各ブロック・各県において人材育成・教育活動の取り組みの促進をはかります。また、関係団体との連携による講師養成や共通カリキュラム・教材等の開発、受講生のネットワークと実践活動の場の提供等についても検討を進めます。
  • (2)ライフサポートや教育活動などにおいて、労働者福祉運動のOB等で専門的能力を持った人材を有効に活用し、アドバイザー・協力スタッフとして中央労福協の活動をサポートする体制をつくります。

3.社会連帯基金の研究、具体化

 運動、活動を支える財政基盤の確立も急務です。広範な寄付やカンパをベースとした「社会連帯基金」的なものがつくれないか、この 2年間で一定の方向性を出すことを目標に、関係団体との共同研究、具体化をめざします。

4.新公益法人制度への対応

  • (1)新公益法人制度の施行に伴い、連合の公益法人研究会とも連携し、新公益法人制度移行にかかる問題や課題についての整理を行います。また、地方労福協や関係団体への情報提供や研修会の開催をはじめ、個別相談、認可・公益認定申請などのきめ細かなサポートができるよう、専門家とのネットワークづくりを含めた支援体制を強化します。中央労福協としての法人格の取得についても、引き続き検討を行います。
  • (2)地方労福協の新公益法人会計制度による決算処理のサポートを行います。

継続的活動

1.研修活動の充実

(1)全国研究集会
 引き続き年1回全国研究集会を開催します。内容については、情勢にあったテーマの設定や活動との連動など、質の高い研究集会を開催します。
(2)地方労福協事務担当者研修会
 地方労福協の事務担当者を対象に、中央労福協の活動に理解を深め、相互の交流と意思疎通をはかることを目的に、年1回開催します。

2.国内外の調査・交流視察の派遣

(1)欧州労働者福祉視察団の派遣
引き続き、毎年秋頃に欧州労働者福祉視察団を派遣します。欧州における金融をめぐる環境変化や自主福祉活動の現況なども含め、関係団体と相談しつつテーマ・研修プログラムを検討します。
(2)中国との交流
引き続き中国職工対外交流中心や日中技能者交流センターを窓口とし、日中両国の労働者福祉事業の交流を促進します。
(3)地方労福協の先進的活動の視察交流
加盟団体の役職員等を対象に開催し、先進的活動を行っている地方労福協の視察交流を目的として開催します。

3.広報活動と情報化

  • (1)ニュースレターは月1回の定期発行体制を継続し、内容の充実をはかります。また、メールニュース等も含め、迅速な情報提供に努めます。
  • (2)中央労福協のホームページについては、活動内容の迅速な発信や、ライフ・サポート・センター、事業団体関連のコンテンツなど内容の充実をはかりつつ、アクセス数を向上させるための改善を行います。また、地方労福協のホームページは、全国的な開設がほぼ達成されたことから、現地での運用体制への移行を基本に、共通システムである活動データーベースの運用や活用促進に重点を置いた支援を行います。
  • (3)引き続き年に1度「現行社会保険制度の概要」(ポスター)を発行し、ホームページにおいて最新情報を更新します。

4.調査研究活動

  • (1)連合総研や教育文化協会とは、引き続き労働者自主福祉に関する調査研究、研究者等とのネットワークづくりについて協力関係を深めます。
  • (2)連帯経済を促進するための政策支援や協同組合に関する法制のあり方等について、関係シンクタンクや事業団体等との共同研究を検討するほか、公的な機関の調査研究テーマにしていく可能性も追求します。

5.労働組合の税務・会計サポート

  • (1)労働組合の会計・税務の適正な処理のため、各地域でのニーズに即して、税制改正に伴う労働組合の会計税務研修会を実施します。中央労福協は、必要に応じて研修講師の派遣や税務相談への支援を行います。また、労働組合・個人を対象とした「税務サポートの会」の拡充・強化をはかります。
  • (2)会計実務の迅速化と合理化に資するため、引き続き「会計ソフト」の導入支援を行います。

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