社会保険制度の解説 健康保険

健康保険・共済組合短期

2023年10月現在 
(2023.10更新)

保険料

【協会健保】

・標準報酬月額と標準賞与額の3%~13%の範囲で都道府県単位の保険料を協会が決定。
関連資料:令和5年度都道府県単位保険料率

【組合健保】

・標準報酬月額と標準賞与額の3%~13%の範囲で組合規約で決定。原則労使折半。労使負担割合は、規約で定めて、事業主負担割合を増やすことができる。

【共済組合】

・各共済組合ごとに決定。
・負担割合は原則労使折半。

(注)

  1. 標準報酬月額の等級区分は第1級58,000円~第50級1,390,000円。標準賞与額の上限は年度(毎年4月1日から翌年3月31日)の賞与の累計が573万円。
  2. 産前産後休業期間中、育児・介護休業法に基づく育児休業期間中については、事業主の申請により、被保険者負担分・事業主負担分ともに免除される。
  3. 介護保険の第2号被保険者(40歳以上65歳未満)は、上記の保険料率に介護保険料率が上乗せされ、原則労使折半。

国庫負担

【事務費の国庫負担】

・予算の範囲内において、事務(前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金及び、日雇拠出金並びに介護納付金の納付に関する事務を含む)の執行に要する費用を国庫が負担。

【協会健保】

・療養の給付、入院時食事療養費、傷病手当金、出産手当金等の支給に要する費用の額並びに前期高齢者納付金の納付に要する費用の額に給付割合を乗じて得た額の合算額の16.4%
・介護納付金の納付に要する費用の16.4%

【組合健保】

・各健保組合における被保険者数を基準として厚生労働大臣が算定。

【共済組合】

・国公共済は短期給付の50%、地方公務員共済組合は地方公共団体が負担。

給付内容

【療養の給付】

一部負担金
年齢・所得区分 被保険者本人 被扶養者
70歳以上
75歳未満
一定以上所得者 3割 3割
一般 2割 2割
70歳未満 標準報酬月額に関係なく 3割 70歳以上75歳未満 2割
義務教育就学以後70歳未満 3割
義務教育就学前 2割

※70歳以上75歳未満の一定以上所得者とは標準報酬月額が28万円以上の人。ただし、被保険者・被扶養者の年収の合計が520万円(単身者は383万円)未満である旨を届け出た場合は、2割負担となる。

【入院時食事療養費】

入院して食事療養を受けた場合、1食につき次のとおり食事療養標準負担額を負担する。ただし、1日の負担額は3食を限度とする。(特定長期入院被保険者を除く)

一般被保険者・家族 460円
指定難病患者等 260円
市町村民税非課税者等 90日以内の入院 210円
90日を超えた入院 160円
所得が一定水準に満たない70歳以上の高齢受給者 100円

【入院時生活療養費】

支給要件:療養病床に入院する65歳以上の人(特定長期入院被保険者)の生活療養に要した費用について支給される。

自己負担額:生活療養を受けたときは次の生活療養標準負担額を負担。

区分 食費(1食につき) 居住費(1日につき)
課税世帯 医療区分Ⅰの人(医療の必要性の低い人) 460円※420円 370円
医療区分II・Ⅲの人(医療の必要性の高い人)(指定難病の人以外) 460円※420円 370円
指定難病の人 260円 0円
市町村民税非課税の世帯に属する人等 210円 370円
年金受給額80万円以下の人等 130円 370円

※管理栄養士等を配置していない保険医療機関に入院している場合は420円

【保険外併用療養費】

要件:保険医療機関等で評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その要した費用について支給される。

自己負担額:療養の給付における一部負担金、入院時食事療養費における食事療養標準負担額、入院時生活療養費における生活療養標準負担額と同様。紹介状なしに特定機能病院や500床以上の大病院で受診する場合は、初診で医科7,000円以上、歯科5,000円以上、再診で医科3,000円以上、歯科1,900円以上の特別料金を負担。

【療養費】

被保険者証が手元になく全額自費で支払った等、療養の給付等が受けられなかった場合に、保険者がやむを得ないと認めたときは療養費が支給される。(現金支給)

【訪問看護療養費】

支給要件:被保険者又は被扶養者が疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にあると主治医が認めた場合に、訪問看護ステーション等の診療の補助を受けたときは、訪問看護療養費(家族訪問看護療養費)が支給される。

基本利用料:療養の給付における一部負担金と同様。

【移送費】

治療を受けるために病院等に移送されたときに移送に要した費用が支給される。移送費は疾病又は負傷により移動することが著しく困難である等保険者が必要と認められる場合に支給される。

【傷病手当金】

支給要件:被保険者が疾病又は負傷のため労務に服することができないために継続して3日以上休業し、報酬が減額又は受けられなかった場合に支給される。ただし、任意継続被保険者は対象外。

1日当たりの支給額:支給開始日以前の継続した12ヵ月の各月の標準報酬月額を平均した額÷30×2/3

支給額:標準報酬日額の3分の2。

支給期間:休業4日目から通算して1年6ヵ月分

【埋葬料】

支給要件:被保険者又は被扶養者が死亡した場合に埋葬料(家族埋葬料)が支給される。

支給額:50,000円(埋葬を行った者については、50,000円内で実費)。

【出産育児一時金】

支給要件:被保険者又は被扶養者が出産したときに出産育児一時金(家族出産育児一時金)が支給される。

支給額:本人、被扶養者ともに1児につき488,000円。ただし、産科医療補償制度に加入する医療機関において出産したときは、産科医療補償制度に係る費用が上乗せされ、500,000円が支給。

【出産手当金】

支給要件:被保険者が出産のため休業し、報酬が減額又は受けられなかった場合に支給される。ただし、任意継続被保険者は対象外。

1日当たりの支給額:支給開始日以前の継続した12ヵ月の各月の標準報酬月額÷30×2/3

支給期間:出産日(出産が予定日より遅れた場合は出産予定日)以前42日(多胎妊婦は98日)、出産日後56日間。

【休業手当金(共済組合)】

 共済組合の組合員が被扶養者の病気等で欠勤した場合、標準報酬日額に応じて国公共済は5割、地公共済は6割給付される。

【高額療養費】

支給要件:

[1]被保険者又は被扶養者が、同一医療機関で同一月に支払った額が下表の高額療養費算定基準額を超えた場合に、超えた分が高額療養費として支給される。

[2]同一世帯で同一月に21,000円以上支払った人が2人以上いるときは、それらを合算する。(1人が2つ以上の異なる医療機関に支払ったときも同様。)

[3]療養があった月以前12ヵ月以内に既に3回以上高額療養費が支給されている(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)ときは、自己負担限度額がさらに軽減され、下表の高額療養費算定基準額の多数回該当の額を超えた分が支給される。

[4]血友病患者等の高額な療養を長期間受けなければならない人は、同一医療機関で同一月に支払った額が10,000円(人工透析を要する上位所得者は20,000円)を超えた場合は、超えた分が支給される(現物給付)。

支給額:

(1)70歳未満の高額療養費算定基準額

区分 標準報酬月額 高額療養費算定基準額
原則 多数回該当
83万円以上 252,600円+(総医療費-842,0000円)×1% 140,100円
53万円~79万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円
28万円~50万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
26万円以下 57,600円 44,400円
低所得者 35,400円 24,600円

(注)1.総医療費とは保険適用される診療費用の総額(10割)

2.低所得者とは、市町村民税の非課税者及び免除者とその被扶養者。

3.「区分ア」又は「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」又は「区分イ」の該当となる。

(2)70歳以上75歳未満の高額療養費算定基準額

区分 標準報酬月額 高額療養費算定基準額
同一人の外来 入院を含む世帯合算
83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
<140,100円>
53万円~79万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
<33,000円>
28万円~50万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
<14,400円>
一般(26万円以下) 18,000円
(年間上限14.4万円)
57,600円<44,400円>
低所得者 II 8,000円 24,600円
I 15,000円

1.低所得者IIは、市町村民税の非課税者及び免除者とその被扶養者。

2.低所得者Iは、被保険者とその扶養家族全ての人の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合。

3.現役並み所得者に該当する場合は、市区町村民税が非課税等であっても現役並み所得者となる。

4.< >は多数回該当

【高額介護合算療養費】

支給要件:同一世帯内に介護保険の受給者がいる場合に、1年間(毎年8月1日~翌年7月31日まで)にかかった医療保険と介護保険の自己負担額の合算額が著しく高額になった場合は、負担を軽減するために自己負担限度額を超えた額が医療保険、介護保険の自己負担額の比率に応じて、現金で健康保険から支給される。

支給額:年齢・所得区分ごとの自己負担限度額

(1)70歳未満の介護合算基準額

区分 標準報酬月額 基準額
83万円以上 212万円
53万円~79万円 141万円
28万円~50万円 67万円
26万円以下 50万円
低所得者 34万円

(注)1.低所得者とは、市町村民税の非課税者及び免除者とその被扶養者。

(2)70歳以上75歳未満の介護合算基準額

区分 標準報酬 基準額
上位所得者 現役並所得者
標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の人)
83万円以上 212万円
53万円~79万円 141万円
28万円~50万円 67万円
一般(26万円以下) 56万円
住民税非課税者・低所得者 II 31万円
住民税非課税者・低所得者 I 19万円※

(注)

  1. 低所得者IIは、70歳以上の方で、世帯全員が住民税非課税の場合等
  2. 低所得者Iは、70歳以上の方で世帯全員が住民税非課税であり、所得が一定基準(年金収入80万円以下等)を満たす場合等。※介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円。

算定方法:毎年8月1日~翌年7月31日までの1年間に支払った医療保険の自己負担額(高額療養費を除く)および介護保険の自己負担額(高額介護サービス費、高額介護予防サービス費を除く)が対象。ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象外。

【喪失後の給付】

傷病手当金及び出産手当金:被保険者の資格を喪失した日の前日までに引き続き1年以上被保険者であった人で、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けていた人は、継続して同一の保険者から傷病手当金又は出産手当金が支給される。ただし、傷病手当金は老齢または退職を支給事由とする年金給付を受けることができる場合は支給されない。(老齢厚生年金等の額が傷病手当金の額を下回るときは、差額が支給される。)

死亡に関する給付:被保険者の資格喪失後3カ月以内、資格喪失後の傷病手当金、出産手当金の受給中、又はその人がその給付を受けなくなった日後3カ月以内に死亡したときは、埋葬料が支給される。

出産に関する給付:被保険者の資格を喪失した日の前日までに引き続き1年以上被保険者であった人が資格を喪失した日後6カ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給される。(出産手当金は平成19年4月から廃止)

【付加給付】

 組合健保は、傷病・出産手当金付加金、家族療養付加金等の給付を行うことができる。また、共済の場合にもそれぞれの共済の事情により付加給付が実施されている。

【任意継続被保険者】

 退職前に継続して2カ月以上加入期間がある人は、資格喪失日より20日以内に申請することによって、以後2年間継続して加入できる。保険料は全額自己負担(使用者の半額負担はない)。

【退職者医療(国民健康保険)】

対象:被用者年金各法に基づく老齢(又は退職)年金受給者で一定期間加入していた人(平成26年度までの間における65歳未満の退職被保険者等が65歳に達するまで)。

給付:健康保険法等の療養の給付等と同じ。一部負担金についても同様。

財源:退職者の保険料、被用者保険等保険者の拠出。

その他:組合健保は厚生労働大臣の認可を受け独自に退職者医療制度を行うことができる。

【日雇特例被保険者】

適用:

  1. 日々に雇われる人であって、1カ月を超えて引き続き使用されない人。
  2. 2カ月以内の期間を定めて使用される人であって、その定めた期間を超えて使用されることが見込まれない人。
  3. 季節的業務に使用される人であって、継続して4カ月を超えて使用されない人。
  4. 臨時的事業に使用される人であって、継続して6カ月を超えて使用されない人。

保険給付:健康保険と同様であるが、手当金等の算出方法に若干の相違がある。

保険料額:賃金日額によって1級390円(450円)~11級3,230円(3,820円)までとなっている。
( )内は介護保険第2号被保険者の保険料額。

詳しくは事業所を管轄する年金事務所又は健康保険組合にお問い合わせください。

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