社会保険制度 解説:後期高齢者医療制度

 後期高齢者医療は、高齢者の疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行うものです。

1.後期高齢者医療広域連合

 市町村は、後期高齢者医療の事務(保険料の徴収の事務及び被保険者の便益の増進に寄与するものとして政令で定めるものを除く。)を処理するため、都道府県の区域ごとに区域内すべての市町村が加入する広域連合を設けることとしています。

2.被保険者

[1]75歳以上の人

[2]65歳以上75歳未満で一定の障害状態(寝たきりの状態)の人で後期高齢者医療広域連合長の認定を受けた人

 ただし、次のいずれかに該当する人は後期高齢者医療広域連合の行う後期高齢者医療の被保険者としない。

[1]生活保護法による保護を受けている世帯に属する人

[2]後期高齢者医療の適用除外とすべき特別の理由がある人で厚生労省令で定めるもの

3.費用負担

(1)療養の給付等の給付に要する費用(特定費用を除く)

 約5割が後期高齢者の保険料(約1割)と後期高齢者交付金((各医療保険の被保険者の保険料)約4割)
約5割が国(12分の4)、都道府県(12分の1)、市町村(12分の1)が負担。

4.給付の内容

療養の給付

(1)医療の種類

 被保険者が疾病にかかり又は負傷したときは、次に掲げる医療を受けることができます。療養の給付を受けようとするときは、保険医療機関に被保険者証を提出します。

[1]診察

[2]薬剤又は治療材料の支給

[3]処置、手術その他の治療

[4]居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

[5]病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

[6]その他政令で定める給付

(2)一部負担金

 医療を受けたときは、次の区分により一部負担金を支払わなければなりません。

[1]一般の人([2]以外の人) 外来・入院とも 定率1割

[2]一定以上所得者の人 外来・入院とも 定率3割

<一定以上所得者とは>

[1]課税所得が145万円以上かつ、収入が高齢者複数世帯520万円以上、高齢者単身世帯383万円以上の人

(注)1.高齢者及びその人と同一世帯の高齢者の収入が520万円(高齢者が世帯に1人の場合は383万円)に満たない旨を市町村に届け出た場合は、1割負担となります。

入院時生活療養費

支給要件:療養病床に入院する70歳以上の人(「特定長期入院被保険者」)の生活療養(食事療養並びに温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養)に要した費用について支給されます。

自己負担額:生活療養を受けたときは次の標準負担額を負担します。

区分 医療区分Ⅰの人
(医療の必要性の低い人)
(1食につき)
医療区分II・Ⅲの人
(医療の必要性の高い人)
(1食につき)
居住費
(1日につき)

 
現役並み所得・一般所得 460円(420円)※1 460円(420円)※1 370円
  指定難病患者の人 入院時食事療養費に同じ 0円
低所得者Ⅱ 210円 210円(90日を超える入院160円) 370円
低所得者Ⅰ(老齢福祉年金受給者以外の人) 130円 100円 370円
老齢福祉年金受給者 100円 100円 0円

※1管理栄養士等を配置していない保険医療機関に入院している場合は420円

(注)

  1. 低所得者IIは、世帯全員が住民税非課税の場合等
  2. 低所得者Iは、世帯全員が住民税非課税であり、所得が一定基準(年金収入80万円以下等)を満たす場合等

入院時食事療養費

 入院をして食事療養を受けた場合は、1食につき次のとおり標準負担額を負担(1日の標準負担額は3食を限度)します。

下記の人以外の医療受給対象者 460円
指定難病患者 260円
市町村民税非課税者等で90日以下の入院 210円
市町村民税非課税者等の人で90日を超える入院 160円
一定の所得のない人 100円

保険外併用療養費

(1)支給要件

 被保険者が次に掲げる療養を受けたときに支給されます。

[1]評価療養(高度の医療技術を用いた療養等で保険給付の対象となるかについて評価を行うことが必要な療養で厚生労働大臣の定めるもの)

[2]患者申出療養(高度の医療技術を用いた療養等で患者の申出に基づき、保険給付の対象となるかについて評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣の定めるもの)

[3]選定医療(被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養)

(2)一部負担金

 上記療養の給付、入金時食事療養費、入金時生活療養費と同様

 紹介状なしに特定機能病院や500床以上の大病院で受診する場合は、初診で5,000円以上、再診で2,500円以上の特別料金を負担が義務付けられています。

療養費

(1)支給要件

 やむを得ない理由により保険医療機関等以外で診療を受けたとき等、医療、入院時食事療養費、保険外併用療養費の支給を受けられなかったときは、療養費が支給されます。

(2)支給額

 療養等に要した費用から一部負担金を控除した額及び食事療養に要した額から標準負担額を控除した額を基準として市町村が定めた額

訪問看護療養費

(1)支給要件

 被保険者が疾病又は負傷により、家庭において継続して療養を受ける状態にあると主治医が認めた場合に、訪問看護ステーション等の療養上の世話又は必要な診療の補助を受けたときは、その訪問看護に要した費用について訪問看護療養費が支給されます。

(2)一部負担金

 療養の給付における一部負担金と同じ

移送費

 被保険者が療養の給付を受けるために病院又は診療所に移送されたときは、移送費が支給されます。

高額療養費

(1)支給要件

 1ヵ月の自己負担額が一定の額を超えたとき、又は同一世帯で自己負担額を合算した額が一定額を超えて条件を満たしているときは、超えた分が高額療養費として支給されます。

(2)支給額

[1]個人ごと

 被保険者が、同一医療機関で同一月に外来で支払った一部負担金が、下記の表の所得区分ごとの限度額を超えた場合、超えた分が支給されます。

[2]世帯合算

 同一世帯の被保険者の一部負担金の額を外来・入院ともすべて合算して、下記の表の所得区分ごとの限度額を超えた場合、超えた分が支給されます。
 ただし、外来分は、個人単位の外来限度額を適用して、残る一部負担金を合算します。また、入院については、同一医療機関で同一月で世帯の限度額を超えた場合は、超えた分は現物給付になります。

[3]多数回該当

 一定以上所得の人については、同一世帯で高額療養費に係わる療養があった月以前12ヵ月以内に既に3回以上高額療養費が支給されているときは、44,400円を超えた分が支給されます。

[4]特定疾病

 血友病患者、腎透析患者等については、同一医療機関で同一月に支払った額が10,000円(腎透析患者の上位所得者は20,000円)を超えた場合は、超えた分が支給されます。

○高額療養費の自己負担限度額

標準報酬月額 高額療養費算定基準額
同一人の外来 入院を含む世帯合算
課税所得690万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
<140,100円>
課税所得380万円以上 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
<33,000円>
課税所得145万円以上 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
<14,400円>
課税所得145万円未満 18,000円
(年間上限14.4万円)
57,600円<44,400円>
低所得者 II 8,000円 24,600円
I 15,000円

(注)

  1. 低所得者Ⅱとは、世帯主、世帯全員が市町村民税非課税者及び免除者に該当する人
  2. 低所得者Iとは、総所得金額+山林所得等が0円の世帯の人
  3. < >内の金額は、多数該当(過去12ヵ月に3回以上高額療養費の支給を受け、4回目の支給に該当)の場合。

高額介護合算療養費

支給要件:同一世帯内に介護保険の受給者がいる場合に、1年間(毎年8月1日~翌年7月31日まで)にかかった医療保険と介護保険の自己負担額の合算額が著しく高額になった場合は、負担を軽減するために自己負担限度額を超えた額が医療保険、介護保険の自己負担額の比率に応じて、現金で健康保険から支給されます。

一部負担金:年ごとの自己負担限度額

区分 課税所得 基準額
上位所得者 現役並所得者
(課税所得145万円以上)
680万円以上 212万円
380万円以上 141万円
145万円以上 67万円
一般(課税所得145万円以下) 56万円
住民税非課税者・低所得者 II 31万円
住民税非課税者・低所得者 I 19万円※

(注)

  1. 低所得者IIは、世帯全員が住民税非課税の場合等
  2. 低所得者Iは、世帯全員が住民税非課税であり、所得が一定基準(年金収入80万円以下等)を満たす場合等

※介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円。

その他の後期高齢者医療給付

[1]後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとします。

[2]後期高齢者医療連合は、[1]の給付のほか、後期高齢者医療広域連合の条例の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の後期高齢者医療給付を行うことができます。

詳しくはお住まいの市区町村若しくは都道府県の後期高齢者医療広域連合へお問合せください。

戻る

TOPへ