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生活保護基準の予算審議にあたって(談話)

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2023年1月17日

生活保護基準の予算審議にあたって(談話)

 

労働者福祉中央協議会

事務局長 南部 美智代

 

  1. 5年に1度の生活保護基準の改定について、厚生労働省は2年間の臨時的・特例的措置として、75歳以上の高齢者世帯を中心に検討されていた引き下げの見送りや、月額1,000円を加算すること、その加算後も減額となる世帯については現行の基準額を保障することを決定した。2013年から連続して引き下げが行われてきた中で、今回引き下げを見送るのは当然である。加えて現下の物価高騰を適切に評価すれば、本来は大幅な引き上げを早急に実現するべきである。

  2. 今回の生活保護基準部会(以下、部会)で行われた検証にあたっては、物価上昇前である2019年の全国家計構造調査が用いられている。現在の経済情勢等を踏まえた結果として、部会の検証結果から算出された金額にひとりあたり月額1,000円が加算されているが、現下の物価高騰を考慮すれば、あまりに不十分な金額である。急激な物価高騰に対応するための措置については、本年10月の施行を待たず可及的速やかに適切に引き上げを行うべきである。

  3. 検証方法は、相変わらず下位10%の低所得者層の消費水準と生活保護基準を比較する方法が採用されている。この方法では生活保護の捕捉率が2割程度といわれているわが国において、下位10%の低所得者層に生活保護基準未満で暮らしている世帯が含まれていることから、最低生活ラインを際限なく引き下げていく「貧困のスパイラル」に陥り、社会の底割れを招きかねない。今回、この手法による試算でも最低限2%の増額が必要であり、検証方法を見直せていれば、なお一層の増額が見込まれたはずである。部会においても新たな検証方法の開発が課題とされており、早急に「新たな検証方法」を確立し、それまでは現行の基準を引き下げないよう求める。

  4. 中央労福協は、これまで生活保護制度の改善や生活保護基準の引き下げ撤回にむけて国や自治体への要請行動や他団体、市民団体等と連携し対応してきた。引き続き、生活保護が真に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するよう取り組んでいく。1月23日に開会が予定されている第211回通常国会での審議にあたっては、基準検証では反映できなかった現在の物価高騰分を反映した生活保護費の引き上げについて予算の修正を行うよう強く期待したい。

以 上

 

 

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