多重債務のない社会をめざして

特例なき出資法の上限金利引き下げを求める声明

2006年9月6日

労働者福祉中央協議会(中央労福協)
会長  笹森 清

 貸金業規正法及び出資法の上限金利の見直しを検討してきた金融庁は、9月5日、自民党金融調査会の小委員会に具体案を提示した。貸金業への規制強化を掲げる一方で、金利に関しては、施行・経過措置期間の4年間はグレーゾーン金利が温存され、さらにその後5年間は少額短期特例・事業者向け特例として年28%の高金利を認める内容となっている。また、利息制限法の金額区分も大幅に引き上げるなど、およそ消費者保護には程遠い貸金業者擁護の規定が盛り込まれた

 金融庁・有識者懇談会の意見は、低所得者の少額短期の資金需要に対してはセーフティネットの拡充で対応すべき課題であり特例措置は必要性に乏しく、かつ、法律が骨抜きになる危険性が危惧されるというのが大勢であった。今回の案は、懇談会の意見を全く無視するものであり、担当の後藤田政務官が抗議の辞任を行ったことをみても、きわめて異常な事態と言わざるを得ない。

 貸金業の高金利引き下げ・グレーゾーン金利の撤廃は国民運動となっており、すでに地方議会意見書は39都道府県議会、883市町村議会で採択され、個人署名も314万2,294筆を集約している。特例金利の新設や長期間にわたるグレーゾーン金利の温存は、これら地方議会や国民の声を裏切るものであり、断じて容認できない。

 われわれは、国会が一連の最高裁判決や地方議会意見書・署名に託された国民の声を重く受け止め、その趣旨に添って以下の法改正を行うよう強く求める。

  1. 一切の特例措置を設けることなく、速やかに出資法の上限金利を利息制限法の制限金利(15~20%)まで引き下げること。
  2. みなし弁済規定(グレーゾーン金利)は直ちに撤廃すること。
  3. 金額刻みを含め、あらゆる形で利息制限法の引き上げは行わないこと。

戻る

TOPへ