多重債務のない社会をめざして

中央労福協などの呼びかけで「国民代表者集会」 と
340筆の署名を国会提出

請願署名数

中央労福協  2,868,273筆 
高金利引き下げ全国連絡会  298,495筆 
日弁連  234,187筆 
合計  3,400,955筆 

 「サラ金の高金利引下げを実現する国民代表者集会」が10月11日午後、参議院会館で開かれた。
  この臨時国会で貸金業法等の改正が審議されることから、中央労福協・高金利引下げ全国連絡会・クレ・サラの金利問題を考える連絡会議・日本弁護士連合会(日弁連)の4団体が呼びかけ団体となって開催したもの。司会・進行は菅井事務局長。自民・公明の与党議員を除く全党の衆・参両院議員代表をはじめ連合傘下の組合員、それぞれの団体関係者など約200人が参加し「業界の意向に配慮した政府・自民党案による改悪を阻止し、特例なしの改正を実現させる」ことなどを確認した。そのあと呼びかけ団体代表がそろって横路衆議院副議長を副議長室に訪ね、「消費者の視点に立った改正」などについて要請。また、341万人を超える請願署名も紹介議員を通じて衆・参両院議長に提出する手続きをとった。また、17日には日弁連主催の決起集会と請願デモが行われた。

中央労福協・笹森清会長

中央労福協・笹森清会長 政府・自民党による「貸金業制度の見直し案」について、国民から「おかしい」との声が上がっており、340万を超える署名が集まった。国会議員の皆さんにこの署名を届け、この思いを受け止めてもらいたい。貸金業規制法の改正の意見書は43都道府県が採択、市町村も1100を超えた。業界寄りの法案を審議する政治を許してはならない。

日弁連・木村清志副会長

日弁連・木村清志副会長 高金利引下げ、グレーゾーンの廃止については方向性が見えてきたが、特例高金利、金額刻みの変更が新たな課題になっている。自民党の骨子案は、少額短期、事業者向けなどの特例を容認している。経過措置は5年から3年に、制限金利も25.5%となったが、都合5年間の高金利を許している。金額も50万円未満が20%、50万円以上500万円未満が18%、500万円以上が15%に変更しようとしている。まさに改悪である。大いに反対の声を上げたい。日弁連は23万筆の署名を集めたが、中央労福協は300万筆を集めた。感謝したい。

連合・高木剛会長

連合・高木剛会長 連合は中央労福協に加盟する立場で裏方に徹してきた。金融庁の対応を含めて、こんな話があるのか、と思う。不条理がまかり通る思いだ。裁判所も是正しようとしているのに、なぜ、金融庁はあのようなひどい制度案を出してくるのか。組合員から相談を受けることもある。退職金で整理してやり直すようなアプローチすることもある。命と引き換えに返済を迫るようなことがあっては、忌々しきことだ。国会論戦の中で良い制度・仕組みを作ってもらいたい。

第2回貸金業のグレーゾーン撤廃と高金利引き下げを実現する国民代表者集会
政党代表挨拶(自公は欠席)

民主党政調会長・松本剛明衆議院議員

  前回の集会は与党も参加していた。この問題で与野党が対決するとは思っていなかった。政治は生活だ。この問題を直視すべきだ。鳩山幹事長もこの問題を代表質問で取り上げた。多くの国民が認識している。グレーンゾーンが最高裁判決以降はブラックゾーンになった。特例金利の問題もあるが、金額刻みの改悪は、恒久的になる懸念もある。野党は議席では少数派であるが、どんどん騒いでいく。手を携えて大きな声にして結論を出したい。

共産党・大門実紀史参議院議員

 7月、与党にグレーゾーン廃止の方針を出させたことは歴史的な出来事だった。8月に自民党の数人の議員が猛烈な巻き返しを図り、金融庁は高金利を9年間も温存する案を出してきた。さらに金融庁は自民党案を元に法案作成作業を進め、20日の週に法案を示してくるのではないか。世論は怒っている。大臣の中にも業界関係議員が多い。この法案を通したら安部内閣はサラ金内閣になる。自民党、公明党の中にも心を痛めている人もいる。できるだけ超党派の流れを作っていくべきだ。共に闘いたい。

社民党政策審議会長・阿部知子衆議院議員

 この問題は命に直結した問題だ。3つの問題を指摘する。一つは自衛隊の自殺の原因はクレサラといじめ。多くは上官から強要され、クレジットやサラ金を利用して多重債務者になっている。二つ目は多重債務が原因になった自殺者が3900、4900とかいわれているが、多重債務によって健康保険に加入できず病死した人も統計にいれるべきだ。三つ目は社保庁の問題。与党は逃げ切りを決め込んでいるが、生活保護制度が揺らいでいる。もっと働く人の落ち込みを支える制度であれば、多重債務に陥ることはない。社民党はこの問題に骨太に取り組んでいく。

国民新党副幹事長・長谷川憲正参議院議員

  署名に胸が熱くなる。与党、自民党は冷たい。よほどしっかり闘わなければならない。自民党は自由でない。不自由党だ。非民主主義の政党だ。政治は弱いものためにある。原点に立ち返るべきだ。民主党を先頭に世の中を変えていきたい。自民党の中にも分かっている人がいるが、この集会に出てこれないでいる。民主主義は闘いだ。

新党日本代表・田中康夫前長野県知事

 この集会に感銘を受けた。国民の生命と財産を守ってこそ民主主義国家だ。
 この集会に政権与党がいない。官僚、族議員、平成の政商による統制経済は時代遅れだ。クレサラの資本主は金融機関だ。一部の業界のことではない。日本の経済を支える金融機関が地下水脈でやっている。知事時代ヤミ金問題を取り上げ、担当課長から相談を聞くだけで切ないと訴えられた。ヤミ金口座を閉鎖するよう文書を出したが、地元金融機関、マスコミからお叱りを受けた。政治は国民を幸せにするためにある。是が非でも解決すべきだ。暗黒、不透明があってはならない。

集会の最後に日弁連と被連協(全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会)が決意を述べた

日弁連上限金利引き下げ実現本部 本部長代行・宇都宮健児弁護士

宇都宮健児弁護士 各党の挨拶で勇気付けられた。特例金利も問題だが、利限法の改悪が問題だ。恒久化される恐れがある。8月に貸金業者と米国から大きな巻き返しがあった。外国ファンドが大手サラ金に出資している。4908人が多重債務が原因で自殺している。
 実態は倍ではないか。過払いの自殺者もいるはず。10年以上の利用者が3割いる。利払い分を6.5年続ければ債務はゼロになる。利用者1400万人の3分の1は過払い請求ができるはず。金利を引き下げることが重要だ。日弁連は全方位の活動をしている。自公にも理解している議員がいると信じる。
1~2ヶ月で方向が決る。よろしくお願いします。

全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会 (被連協)澤口宣男会長

澤口宣男会長 私も被害者、何でも聞いて欲しい。被害者が実名を明らかにして78の被害者の会で頑張っている。消費者を馬鹿にした法案だ。25.5%に引き下げというが(平均金利は25.5%であり)、借りている人は25.5%で借りているのだ。そのような人には引き下げにはならない。(我々が求める)法案が通ることを信じて闘う。集会を開催、是非参加してほしい。

横路孝弘 衆議院副議長へ要請

横路孝弘 衆議院副議長へ要請

 横路副議長に対する要請は、集会後の3時20分過ぎから衆議院副議長室で行われた。各団体を代表して要請に訪れたのは次のとおり。
  中央労福協=笹森 清会長、菅井義夫事務局長、千原茂昭(労金協会)
  日弁連=木村清志福会長、宇都宮健児弁護士、新里宏二弁護士
  高金利引下げ全国連絡会=井口鈴子事務局長
  全国被害者連絡協議会=澤口宣男会長、本多良男事務局長
  紹介議員=伴野豊衆議院議員(民主党)
  代表団から要請内容を聞いた横路副議長は、「多重債務は大変な社会問題であり、政治課題だと認識している。要請の趣旨に応えるよう努力する」と述べるとともに、「340万人を超える請願署名を無駄にしてはならない」と応えた。

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