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  中央労福協指針|答申書
 
 
答申書
 
2000年11月27日
労働者福祉中央協議会・あり方検討委員会

 
「中央労福協 あり方検討委員会」答申書

1. 今、なぜ「あり方検討」か?−運動基盤検証の必要性
(1) 中央労福協は1999年に50年の歴史を刻んだ。中央労福協は、1949年に「労務者用物資対策中央連絡協議会(中央物対協)」として発足した。翌年には「労働組合福祉対策中央協議会(中央福対協)」と組織改編され、1957年に「労働福祉中央協議会」に改称し、1962年に現在の「労働者福祉中央協議会(中央労福協)」となった。
 この歴史に見られるように、「物対協」発足当時の労働運動は、労働組合を結成・整備する途上にあり必ずしも全国的に統一された運動は望めず、戦後の極度の貧困や混乱の中、生活必需品、労務者用物資確保を目指して、全国的視野で統括した運動を展開するために、「物対協」は結成された。その後、労働者福祉の対象の広がりや変化があり、取り巻く情勢にあわせて運動展開をしてきた。そして、その時々において運動領域の見直しや組織の改編・改称を行って対応してきた。
(2) 中央労福協を取り巻く情勢は、1989年にナショナルセンターの大統合により連合が結成され、わが国の労働組合運動を代表する拠点が誕生したことにより、中央労福協の運動領域や機能について見直しが求められてきている。
 また、現在は社会・経済システムの転換期にある。労働者福祉の取り組みについては、福祉分野を含む各種の非営利団体が生まれてきていることに現れているように、公的セクターによる対応の行き詰まりや、市場・産業セクターにおける対応の限界が指摘されている。迎える21世紀の社会においては、第3の勢力と言われる協同組合事業セクターの果たすべき役割が期待されている。このような情勢下にあって、労福協運動は、社会・経済の一端を支え労働者福祉基盤を担っている協同事業団体の社会的認知を高め、活動をしやすい環境整備に努めることが重要となっている。このような視点を踏まえ、中央労福協は運動領域や機能を見直し、あわせて組織や運営の整備をはかることが求められている。
(3) このような情勢変化を考慮して、中央労福協は1990年に特別委員会を設置し、「労福協の理念・運動の原則」を見直し、新しい運動目標としての「中央労福協指針」を1993年に策定してきた。しかし、結成された連合の福祉対策運動と中央労福協の運動が、重なり補完的になる点について、必ずしもそれぞれの役割分担や機能について明確にされてきたとは言いがたい。連合が結成されて10年経た現在において、労働組合運動と労福協運動の組織的競合状態は理解されにくい状況にある。このことは地方労福協や協同事業団体の運動にも影響を与えており、労働組合運動と中央労福協運動の役割分担と相互連携の再整理が求められている。
 このような観点から「労福協運動の基盤と体制」について、三役会議からの諮問として「中央労福協・あり方検討委員会」を設置して検討することとなった。
(4) 「中央労福協・あり方検討委員会」は、前述した経過を踏まえ日程の制約を考慮し、先ず中央労福協の存在意義を検証し、活動基盤となる「役割」と「機能」の整理に重点をおいた。「体制」「財政」「規約」等にも若干触れたが、これらは運営上の課題であり今後の中央労福協を運営する過程で、中央労福協の新たに確認された活動基盤に立って整理されることを期待する。
2. 「労福協運動」の役割と中央労福協の機能
(1) 労働組合運動との機能・役割の分担について
労働者福祉の向上と充実に向けて、政策の策定や実践活動の展開は、単に労働者のみならず全国民に資する永劫的な運動である。この理念において労働組合運動は取り組んできている。
 しかし、労働組合運動の理念は労働組合による運動のみで完結するとは言えず、労働組合運動を支え補完する機能を備えた組織・団体が必要である。協同組合事業セクターの運動が重要視されている現在においては、その分野を含めて労働者福祉運動の促進を担う組織・団体があることによって、労働組合運動は広がりを持ちかつ力強く展開されるといえる。
このような観点において、労福協や多くの協同事業団体は労働組合運動の支援の下に創設され、献身的に関わってきた方々の努力と相まって大きな成果を上げてきたが、社会・経済構造変化に伴う社会的な福祉理念の変化への対応が生じ、労福協運動や協同事業団体活動に対する労働組合の期待には変化が出てきている。あわせて、「連合」の結成による労福協の基盤となる労働組合運動団体の組織変化もあって、労働組合運動の労働者福祉対応と労福協運動の重複について疑問が呈されている。
労福協の運動は永い歴史と大きな成果があるとしても、現在の労福協運動には、労働組合運動にとって重要課題である労働者福祉運動を展開する力強さに疑問が呈されている面がある。
労働組合運動と労福協運動の関係は以上のような背景がある。労働者福祉運動の重要性についての認識は一致していることを考えると、労働組合運動団体と、とりわけ「連合」と、労福協運動の役割分担や機能について調整することが極めて重要である。
 以下、労働組合運動との役割分担の視点において、中央労福協を中心にした労福協運動に求められている役割と機能について整理して示した。なお当委員会としては、【「労福協運動」は、労働組合運動団体と協同事業団体との連携をはかり、あるいは充実した情報の収集や提供をして、関係団体の政策・施策づくりや実践面における労働者福祉運動の活動展開・促進をはかるコーデイネーターとしての役割を発揮することを期待さ
れている。】と言う結論を得た。
1. わが国で労働組合運動の基盤であり核となっている団体は「連合」であるが、実態としては他にも労働団体が存在することや、ナショナルセンターに加盟していない労働組合組織がある。したがって中央労福協は、福祉課題に限ってであるが、全労働者に及ぶ福祉運動を展開する視点から、現在においても広く労働組合組織間の連携・調整機能を担うことが期待される。
2. 近年、労働組合の組織率は低下傾向にあるが、未組織労働者あるいは、退職者を含む高齢者や一般市民を対象とする福祉対応は国民的運動が求められる。これらの対象者は労働組合運動と連携を取りきれない実態があり、この方々をも含み実践的に運動展開することが労福協運動である。また、この場合に地域的な対応も重要であり、その活動の拠点として、労働者福祉運動のセンターとして労福協は期待されている。
3. 労働者福祉運動の取り組みとして福祉政策や施策づくりが重要である。労働組合運動は理念の具体化をはかるため、政策提言や「法制化」対応等によって社会的規範づくりに大きな力を発揮している。一方、労福協運動は、各事業団体の形成過程に見られるように、労働組合運動の成果に基づいて、具体的に実践するための政策の策定が基本であるが、例えば「法制化」されていない福祉施策についても、組織構成者の違いもあり先駆的な取り組みを促進していくことや、その過程での政策づくりと提言する機能も期待される。
 このように、労働組合運動団体と中央労福協の政策の策定と具現化する活動は、必ずしも重複しているとは言えず、労働者福祉運動の政策づくりや施策の展開において、運動領域の違いによる専門的な立場から、情報や意見の交換と運動展開に当たっての連携と協力について機能を整備しておくことが重要である。
(2) 協同事業団体に対する中央労福協の役割と機能について
中央労福協を構成している協同事業団体は、戦後の労働組合運動の発展過程で、労福協運動の展開とともに労働組合を基盤にして創設されてきた。例外的な日本生協連は歴史も永く、組織の中心は「購買生協」である。今日ではいわゆる「市民生協」と呼ばれるが、その特徴は消費者運動や市民運動を背景に生まれてきたこと、運動の主体が主婦組合員であることなどである。しかし、「物対協」に参画して以来労働者福祉団体の一員として今日まで共に活動をしてきた。その後、協同事業団体は成長発展し、現在は体制も整備されそれぞれの専門分野における人材も育ち自立した活動を展開し、労働者福祉運動の一端を担っている。
その後協同事業団体を取り巻く環境は様変わりしてきた。そのために存続を問われている協同事業団体も出てきており、それぞれの協同事業団体において基盤整備に努めている。また、これまでの事業基盤確立に重要であった自立意識を乗り越えて、労働組合運動団体とあるいは協同事業団体間の連携の必要性が求められている。
経済・社会構造の転換への対応が課題となるとともに、社会的な福祉理念の変化や少子・高齢化あるいは環境問題等の新しい課題への挑戦が求められている。このような視点から労働者福祉運動の展開を迫られており、(株)ワークネットが発足したことに見られるように、新たな協同事業体を整備していく取り組みが出てきている。
したがって、協同事業団体にとっては労働者福祉運動のセンターが必要であり、中央労福協が関係団体における情報の共有や連携などにおいて有効に機能するよう整備されることが望まれている。具体的には次の通りである。
1. 協同事業団体は、労働者福祉運動の一端を担い実践する団体として設立してきた。そして、それぞれの専門分野として機能や体制の整備をはかり、また自立する努力を重ね今日に至っている。今後も専門分野を担う立場において一層の事業基盤整備をはかっていかなければならないが、市場原理が強まる状況において、労働組合運動との連携と協力関係の調整は益々重要になってきており、この視点について中央労福協の役割と機能が期待される。
2. 協同事業団体は、それぞれが専門分野において活動を展開しているが、協同組合法が各種協同組合にそれぞれ対応する個別法という性格となっており、その連携をはかる機能が必要である。また、それぞれの協同事業団体の活動推進に当たって、労働者福祉運動の情報の共有や一元化そして連携した活動の展開が、事業の活力や効率性において、あるいは対象となる個人への便宜としても重要になってきている。この視点から協同事業団体の連携について中央労福協の役割と機能が期待される。
3. 企業社会からの脱皮が叫ばれているが、福祉施策の社会的整備の推進が益々求められている。また、少子・高齢社会への対応や環境問題への対応が迫られている。中央労福協は、これらの施策(政策)づくりと実践に向けての体制づくりを支援し環境を整える取り組みが必要である。既に実践している各種団体への支援活動やネットワークづくり、必要によっては協同事業団体の協同化の促進や再整備についても提言して、労働者福祉運動の展開をしていかなければならない。この視点における中央労福協の役割と機能が期待されている。
4. 協同事業団体と行政との関係においては、1事業団体としての対応ではなく全労働者福祉の視点から、中央労福協が窓口となって対応することが期待されている。
(3) 地方労福協に対する中央労福協の役割と機能について
地方労福協は各県における労働者福祉運動を推進する団体である。その意味では中央労福協の基本的な役割や機能と相違はないが、労働者生活により密着して実践的活動をしている。
 なお、組織構成については地域特性がある。各種の協同福祉事業団体と県連合も含め単位労働組合で構成している。
労福協は、「連合」をはじめとする労働組合運動団体と共同して活動を展開することは当然であるが、地方労福協は「連合」やナショナルセンターへの未加盟労組や、OBをはじめとする未組織労働者をも含み全労働者を対象にして活動している。また、地方労福協は企業別・産業別労働者の枠を越えて地域における労働者福祉活動のセンターとして存在意義を有している。この点においては労福協関係者の努力もあって行政も認めるところであり、行政からの諮問・支援の窓口として活動している。
したがって、労働組合運動の理解を前提に、地方労福協は「連合」をはじめとする関係団体から自立した体制の基盤確立が望ましいが、地方労福協によっては「連合」からの事務所維持の支援を受けている場合や、「連合」現役役員が地方労福協の会長や事務局長を兼任せざるを得ない場合もあって、労福協の存在が希薄になっている事例もある。
自立した財政基盤の確立も重要である。労働組合の拠出とあるいはそれ以上に協同事業団体からの拠出が、地方労福協の財政基盤となっているが、前述した背景もあって厳しい実態も見られる。また、現在の動向として、全労済に加えて労金が広域統合を目指しいずれは全国統合を指向しているが、各地域における労働組合や労働者の理解と協力を得る労福協活動は益々重要であり、この視点から協同事業団体には、地域事情を十分に考慮して労福協の財政基盤を支援することが期待されている。
地方労福協が各県単位で期待されている役割や機能を発揮するため、地方労福協は中央労福協の活動と運営について以下の通り期待している。
1. 中央労福協は国内外における労働者福祉運動の情報について、収集と発信センターとして期待される。
2. 各県労福協が共有できる、活動推進の基本となる労働者福祉運動方針を取りまとめ、あるいは各県労福協の活動推進に対し、環境を整え各種の支援機能を整備することが期待される。

(4) 福祉関係非営利団体・NPO・NGOとの関係と連携
特定の課題に焦点を当てて取り組む、非営利の自主的団体が誕生している。多くの団体が最近誕生しており、その運動・活動の推進や組織運営には苦労している実態もある。しかし、非営利団体はそれぞれの団体として運動・活動理念を有している。そして、それぞれの団体が独立し、自立していることを理解しておかなければならない。このような事情を踏まえ、労福協はこれまでの労働者福祉運動の延長線上に立って、福祉関係の非営利団体と連携し、活動しやすい環境整備等の支援をする機能を発揮することが期待される。
非営利団体が抱える課題によって、長期継続性の団体と一定期間で役割が終わり解散する団体もある。また、法に基づいて登録されている団体もあるが未登録の団体も多い。
 このような状況にあり、非営利団体の有無や活動状況を把握することは極めて困難であるが、多くの非営利団体が活動内容としている課題は福祉であり、労福協運動としては活動の支援や連携をする必要がある。国民的福祉運動を展開する視点において、中央労福協と地方労福協は協力して、先ず情報収集センターとしての機能を持つべきであろう。
それぞれの団体が抱える課題は多岐にわたると想定されるが、労福協運動の立場を踏まえ、福祉課題について活動している団体との連携や活動の支援をしていくべきである。具体的には、中央労福協への組織参加や共同研修あるいはネットワーク化の模索等の活動を積み上げていくことが考えられる。
以上のような背景に基づいて考察すると、市民団体と言われる非営利団体が期待している関係団体の要件は以下の内容であり、中央労福協はその機能を備えているが、今後の活動や運営によってその役割と機能の整備が期待されている。
1. 福祉関係非営利団体が抱える課題を理解し、広く啓発し活動展開を容易にする支援団体。
2. 福祉関係非営利団体に関係する必要な情報を収集し、時には適切な助言を得られる支援団体。
3. 福祉関係非営利団体の独立性・自立性を侵すことなく、行政への対応を含めて団体の基盤確立に支援を得られること。また、団体の体制や財政について適切な助言や支援を与えられる支援団体。
(5) 国際関係への対応と役割について
国際関係の広がりと深まりによって、わが国の経済や社会生活は大きく変化してきている。食生活をはじめとする消費生活問題や環境問題あるいは外国人労働者の問題等は、労働者福祉運動において国際関係を抜きにしては対応が完結しない状況にある。
わが国は経済の国際的依存度は高く、その結果、関係諸国から環境破壊の非難を受ける事例があり、わが国には、これらの課題を福祉の視点から国際的に対応すべき状況が出てきている。
また、自らの努力の結果ではあるが、経済発展の偏りは、発展途上国の貧困対策について、わが国も国際的な役割の一端を担うことが求められている。
以上のような状況において、中央労福協は国際関係への対応と役割について、以下のような役割と機能が期待される。
1. 現在、中央労福協の国際対応は、ヨーロッパへの福祉事情調査団の派遣と、中国との友好を深めつつ福祉活動の情報提供をしているに過ぎない。これらの活動内容も不十分であり、「連合」をはじめとする労働組合運動団体と情報交換を密にして、労働者福祉運動に関わって連携した活動を推進する機能整備が必要である。
2. 協同事業団体はそれぞれの専門分野において国際関係に対応しているが、国内での対応が重要になってきている。中央労福協は国内における情報の交換と共同活動の推進を支援する役割と機能を整備することが必要である。

3. 中央労福協の運営―会員と会費について
 前述した<「労福協運動」の役割>を前提として、体制や運営を整備していく必要がある。しかし現在は抜本的に整備しなおしていかなければならない状態にあり、今後の提言と活動にあわせた整備の積み上げ努力に譲ることとする。この場では、中央労福協の基盤となる会員の構成と連携、財政の基盤である会費設定のあり方について提言することとした。

(1) 会員の構成と連携
1. 会員は労福協運動に賛同する地方労福協・労働組合運動団体・福祉関係事業団体ならびに個人有志(学者等)によって構成する。
2. 中央労福協は中央において、労働者福祉運動を展開する独立した団体である。地方労福協は都道府県単位に、労働者福祉運動を実践的に展開する独立した団体である。両者間の連携と運営は、中央労福協にそれぞれの地方労福協が加盟し、中央労福協が協議体として運動の成果を高める連携をはかる運営を担う。また、活動内容によっては、合意により統一的に対応した活動を展開することが、労福協運動の力強さとなると認識する。
3. 労福協運動が労働者福祉対応について実践的な活動を展開する性格を踏まえ、労福協の日常の運営は産業別組織または単位労働組合に基盤をおくことが望ましい。したがって、中央・地方労福協に加盟する労働組合団体の単位は、産業別組織または単位労働組合を原則とする。
 なお、現在の中央労福協における労働組合運動団体の加盟単位は、産業別労働組合が基本となっているが、「連合」結成以前の労働界における組織事情によって成り立っている。中央労福協は産業別労働組合単位の原則に立って、加盟組織の整備と加盟促進に取り組むことを期待する。
 また、ナショナルセンターの「連合」が加盟単位となっているが、「連合」の立場は、労働組合運動の労働者福祉活動の一環として労福協運動を支え、労働組合運動の政策を反映して運動の強化をはかることにある。したがって、「連合」は労福協の運動基盤や体制の整備ならびに政策を含む運動方針づくりの支援・助言の機能を担う立場である。
 地方労福協においては、地域対応の活動特性があり単位労働組合を加盟単位にすることを基本とし、ナショナルセンターとの位置づけと連携については、中央労福協と同様な連携をすることが望ましい。
4. 労働組合における独立的な事業団体(生協・共済・会館事業等)は、労働組合運動団体とは切り離した加盟単位とし加盟促進をはかる。
(2) 務局運営と連携強化のための運営
1. 諸会議の役割や権限の明確化を進め、中央労福協の運営の明確化と総合的・効率的な運営を一層はかっていく必要がある。中央労福協は役割を担い機能を充実するためには、役員会議、各種委員会や事務局会議の整備が必要である。
2. 中央労福協の基本的な重要機能として、情報の収集と発信機能を整備することが必要である。中央労福協と会員各団体との連絡会議機能や団体間の連絡機能の強化が重要である。あわせて、高度情報社会に対応した機能整備が求められている。
3. 協同事業団体の発展と自立化した組織整備にともない、事業団体の自助努力として、顧客の立場にもある労働組合運動団体と直接連携していくことが増えている。この場合、営業的活動は当然としても政策調整分野については、中央・地方労福協を場にして対応することが基本であり、対応する整備が必要である。
4. 中央労福協と地方労福協との情報交換や連携は、ブロック単位による運営に重点を置き、全体の連絡会議としては研修的な性格を強めるべきであろう。

(3) 会費設定の考え方
  会費設定は、運動内容と運営内容による必要財源との関わりにおいて設定されなければならない。したがって、基本的には各年度の総会決定に譲ることにするが、現在、課題となっている設定基準の不明確という点について、考え方として整理しておくことにする。
 なお、これまで検証してきたように、重要な福祉課題は多岐にわたっており、中央労福協の役割と機能充実への期待を強調してきたが、現在の会費増額や財源拡大を意図するものではない。むしろ財源には限界があり、課題の実現性を考慮しながら取り組み優先順位を厳密にすることや、臨時負担や特別会費等の不透明性を廃すること、さらに効率的な事務局運営とチエック機能の整備をすることが重要である。
1. 中央・地方労福協の財政基盤は会費である。設立当初は労働団体からの拠出が基本であったが、協同事業団体の発展と自立化に伴って、会費負担は協同事業団体にウエイトが移ってきている。しかしこのことは、労働者福祉運動が労働組合運動に依拠していることが減じたと言うことではない。むしろ、協同事業団体の発展は労働組合運動の支援の下、協同事業団体の自主的な努力と相まって成し遂げられた。今後もこの関係は強まって行くであろうと想定される。その意味では、労働組合運動と協同事業団体の目標である労働者福祉の向上を目指した運動は一致しているものである。この点についての相互理解に基づき、今後も会費設定をすることが重要である。
2. 労働組合運動団体からの会費は、中央・地方労福協活動の基本的な財政基盤である。安定的な会費として設定されることが重要である。
3. 協同事業団体は、社会・経済の動向によって業況に大きく影響を受ける。したがって、中央労福協の会費は事業規模と収益状況を反映して設定されることが望ましいと考える。なお、特別に委託的な業務の場合は、事例ごとの臨時会費として設定されることが望ましい。
4. 会費の考え方を明確にすることは、税務対策面からの指摘に応えることでもある。協同事業団体にとって、実費経費なのか、寄付金なのかといった指摘されかねない課題を内包しており、十分に研究して結論を出すことが肝要である。
4. むすび
現在は社会・経済の変革期に直面し、労働者福祉対策と対応が極めて重要な課題となっているだけに、労働者福祉運動の総合力を高める必要がある。労福協運動は、1993年に策定された「中央労福協指針」に基づいて活動を展開している。しかし「連合」の結成に伴い、中央労福協と労働組合運動団体との連携に課題が残されてきた。したがって、中央労福協と労働組合運動団体との役割と機能分担を整理することに重点を置き、あわせて、他の関係団体と中央労福協の役割と機能分担についても触れた。
 労働者福祉運動の総合力を高めるためには、ここで示した役割と機能分担について、関係団体が相互に認識を深めあって労福協の基盤を整備することが極めて重要である。
あり方検討委員会の立ち上げに当たって提起されているように、中央労福協の運営について整備・充実させる必要がある。永年の運動の歴史による蓄積がある反面、惰性や形式的に陥っている弊害も否めず、新しい時代の労働者福祉運動へ対応する活力を引き出すためにも、スリムであっても効率的で機能的な運営が求められる。
労働者福祉運動として具体的な課題は多い。運営体制にも関わりがあるが、関係団体からの会費負担には限界もある。取り組み内容は実現させ成果を得ることが重要であり、対応する課題の大胆な絞り込みをして労福協運動の力を結集させることが肝要である。
中央労福協の基盤づくりと運営面の機能強化は直面している課題である。関係団体の理解を得て早急に対応することが望ましい。2001年度からの活動方針に反映されるよう期待する。
最後に、検討論議にご参加された各委員は、ご多忙にも関わらず短期間の集中的な委員会の開催にご協力いただき、真剣にご討議をいただいた。衷心より感謝申し上げたい。
 また、あり方委員会運営と報告書づくりをサポートしていただいた事務局のご苦労にも謝意を表しておきたい。
以 上

「中央労福協・あり方検討委員会」開催日程経過

1. 本委員会

第1回委員会 10月25日  9:30〜12:00
第2回委員会 11月15日  9:30〜12:00
第3回委員会 11月27日 15:00〜17:00
2. 体別小委員会
  (1)労働組合等小委員会
 
第1回委員会 10月31日  8:00〜10:30
第2回委員会 11月16日  7:45〜10:30
第3回委員会 11月30日  8:00〜10:30
  (2)事業団体小委員会
 
第1回委員会 11月10日 10:00〜12:00
第2回委員会 11月22日 10:00〜12:00
第3回委員会 12月 1日 10:00〜12:00
  (3)地方労福協小委員会
 
第1回委員会 10月30日 13:00〜15:00
第2回委員会 11月15日 15:00〜17:00
第3回委員会 11月28日 15:00〜17:00
  以 上

「中央労福協・あり方検討委員会」委員名簿
 
1. 「中央労福協・あり方検討委員会」委員
 
委員長 山田 正一 (中央労福協副会長・事業団体座長)
事務局長 刀谷 全雄 (中央労福協・事務局長)
委 員 増田 滋 (中央労福協副会長・労働組合等座長)
天井 修 (中央労福協副会長・地方労福協座長)
高橋 均 (中央労福協幹事・連合)
辻村 義男 (労働組合等連絡会議小委員会・委員長)
荒井 建司 (事業団体連絡会議小委員会・委員長)
山本 俊一 (地方労福協連絡会議小委員会・委員長)
2. 労働組合等連絡会議・小委員会委員
 
委員長 辻村 義男 (中央労福協幹事・CSG連合)
委 員 増田 滋 (中央労福協副会長・食品連合)
高橋 均 (中央労福協幹事・連合)
中山 良夫 (中央労福協幹事・電機連合)
佐藤 正明 (中央労福協幹事・全建総連)
野村 昌弘 (中央労福協幹事・自治労)
田辺 順一 (中央労福協幹事・日産労連)
3. 事業団体連絡会議・小委員会委員
 
委員長 荒井 建司 (中央労福協幹事・全労済)
委 員 山田 正一 (中央労福協副会長・労金協会)
千頭和 明 (中央労福協幹事・労金協会)
佐藤 孝一 (中央労福協幹事・日本生協連)
田村 昌道 (中央労福協幹事・全住連)
久川 博彦 (中央労福協幹事・全国会館協)
4. 地方労福協連絡会議・小委員会委員
 
委員長 山本 俊一 (中央労福協幹事・東部ブロック静岡)
委 員 天井 修 (中央労福協副会長・東部ブロック東京)
阿部 武利 (中央労福協幹事・北部ブロック岩手)
河村 松茂 (中央労福協幹事・中部ブロック愛知)
相原 寛次 (中央労福協幹事・西部ブロック岡山)
壬生 甚太郎 (中央労福協幹事・南部ブロック福岡)
5. 事務局―中央労福協事務局
 

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