連載

第2回(162号/2月号)

地道な意見交換の実践が静岡県における運動の柱

 静岡では、労働者自主福祉運動の定義を「労働者が相互扶助や協同・連帯の理念と手法に基づき自主的に福祉活動の主体となり自らの資金と組織によってその生活上の問題解決にあたる活動」として定め、運動史の講義などではそのことを冒頭に確認します。その定義からいえることは、自主的に行う以上、運動への理解者と事業団体の利用者が多く存在することが生命線です。したがって、地域においては、様々な取り組み展開の際には地域・地区の幹事会等で議論し進めていますし、県レベルでは5団体会議(労福協・連合・労金・こくみん共済coop・ライフサポートセンター)を東中西の各地域で2か月に1回「情報の共有化、各団体活動への相互理解、課題や戦略への意見交換など」を目的に開催し、事業団体間では同じく2カ月に1回各団体の専務クラスによる「事業団体責任者会議」を開催しています。 また、2020年ビジョンへの取り組みの際には、2012年に「労働者自主福祉シンポジウム」を開催し、高橋均講師による記念講演と労組と事業団体役員によるパネル討論を実施し、その後、東中西の各地域単位の討論会を開催し、労働組合の抱えている課題や事業団体との関係性など様々な観点で議論を展開しています。静岡の取組みとしては、この後報告しますフードバンクや地域役立資金の取り組みなど外部的に発信力がある取組みがクローズアップされがちですが、これらの地道な意見交換会・情報還元策があってこそ大きな取組みにつながっていると思っています。まさに、「原則」にあった“統一と団結”のため、“地域が活動の拠点”であるからこそ皆で話し合って進めています。

2012年度労働者自主福祉シンポジウム

2012年度労働者自主福祉シンポジウム

 2013年に実施したビジョンに対する地域の討論会では様々な意見が出され、結果として県労福協では現状の課題を①労働組合としての本質的な機能不全への危機感[労組の本質的な役割発揮 (経営のチェック、世話役活動などの相互扶助取組みなど) の難しさ、組合員に対する求心力の低下懸念(集団よりも個の意識、世話役活動の難しさなど)]、②自主福祉運動に対する理解不足の懸念[運動の伝承と教育の充実の必要性(役員交代への対処、歴史から学び時代に合った取組の構築など)、参加型による取組みでの理解度向上(運動論の浸透・広がり策、各階層・女性の参加など)]、③労金・全労済活動充実への方策[労組と福祉事業団体との絆重視(労組が取組むことの意義、労金の役割浸透など)、労金・全労済側の取組み強化(商品競争力の向上、教宣活動の充実、運動面メリットの強調など)]としてまとめました。労組役員・事業団体役員としては痛いところを突かれるようなまとめとなりましたが、現状の姿の本質を突いているという意見が多く、しっかりその現状を捉えて次なる展開につなげていくことになりました。
 また、2018年度には、若年層の意見を聞く機会として労福協や労金・全労済の運営委員会などに組織されている「若者の会」との意見交換会を県労福協として実施し、若年層の意見反映を進めていますし、2019年度は、労福協方針への意見交換会として各地域役員と県労福協役員の対話集会を開催しています。
 やはり、運動への理解者と事業団体の利用者を増やすには、地道な意見交換や情報還元が必要であり、今後も静岡の取組みの大きな柱であると思いますし、そのことを疎かにしたら静岡の運動は進められません。

2015年度 労福協幹事会における意見交換

2015年度 労福協幹事会における意見交換

大滝 正 さん

一般社団法人 静岡県労働者福祉協議会 前専務理事

静岡県清水市(現静岡市)生まれ。静岡県労金の役職員を経て、2016年6月から3年間、静岡県労福協専務理事に就任。2017年6月からは、福祉基金協会専務理事も兼務。労金在籍時から労福協活動に関わる。役員就任時には、フードバンクふじのくに副理事長や県ボランティア協会理事などを歴任。福祉の活動を会員と共に進めると共に、地域における福祉関係の団体との連携を重視してきた。
現在は、フリーな立場でホームレス支援のビッグイシューの活動をボランティアとして進めている。

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