連載

第1回(174号/2月号)

労福協運動の積み重ねを意識して

● 原点に立ち返ることに気づかされる毎日

 「新型コロナ」の感染拡大という状況の中で、多くのところもそうだと思いますが、北海道労働者福祉協議会においても事業推進の主だった活動が展開できないという事態に陥ってしまいました。「顔を合わせる」「議論をする」ということがリスクを抱えるということになったのです。書面による理事会、代表者会議、総会開催などが「日常」になり、組合員、会員、退職者の方々のところに出かけて行って想いを共有するという行為自体が「非日常」となってしまったのです。
 一方で、「自助」を強弁する政府から「コロナ対策」を中心として打ち出される「政策」があります。しかし、その政策の多くが、露骨に社会的セーフティネットワークを破壊し、「格差と貧困の拡大」に拍車をかけているとしか言わざるを得ない状況を起こしていることを目の当たりにしているのは、私だけではないと思います。
 そうした現状を目の前にしたとき、改めて思い起こすのです。
 私たちがこれまで運動推進にあたっての基本としてきた社会像や人間像の根幹となるものです。それぞれの夢や多様性を排除する動きや、自分と違うものは異質なものとして徹底的に攻撃・口撃する風潮の横行に異を唱えてきたことを。「一億総活躍」「頑張れば報われる社会」という言葉とは裏腹に「格差と貧困の拡大」「頑張っても報われなければ、その結果は努力が足りないせいだと切り捨てられる社会」を許してはならないと広範な方々に運動への結集を呼びかけてきたことを。正規と非正規が分断させられている社会の是正に取り組むことの重要性を訴えてきたことを。
 私たちは「不条理は許さない」を合言葉に、中央労福協に結集し、全国各地の労福協の方々の実践にも学びながら、北海道においても自主福祉運動を展開してきました。今ある危機、現状打破のために「助け合い・支え合い」が求められており、その根源は「現場にある」という観点で取り組んできました。以降、北海道における実践の一端を、私なりの理解の範囲で紹介することとします。

● 北海道労福協2030年ビジョンの策定と具体化について

 私たちは、中央労福協2030年ビジョン実現のため、「貧困解消を軸としたSDGs実現に向けた北の大地の取り組み」とした北海道ビジョンを策定しました。策定にあたり、構成団体やブロック代表による検討委員会を立ち上げ、4つのビジョンと「これまでとこれからの労福協運動」を基本に据えながら議論を積み重ねました。議論の過程でも常に原点に立ち戻ることを意識し、①北海道の運動の積み重ねを大切にすること ②活動の目標を「貧困に終止符を打ち、誰ひとり取り残さない包摂的で持続的な社会の実現」におくこと ③地域の実情をしっかりと把握すること ④NPОの取り組みに積極的にかかわること を大切にしました。
 そのうえで、主な取り組みとして定着してきている「勤労者福祉向上キャンペーン」「協同組合認知度向上ならびに協同組合間共同促進」「労働福祉事業団体・事業推進」「奨学金制度の抜本的改善」「北海道ライフサポートセンター事業」「労働者自主福祉運動の充実と強化」等に具体的に焦点を当てることとしたのです。現在取り組んでいることを、しっかりと共有しあい、地に足をつけた運動展開を図ることを最重要と位置付けたのです。

2019.11.27 北海道労働者福祉協議会 第59回 臨時総会

2019.11.27 北海道労働者福祉協議会 第59回 臨時総会

小関 顕太郎 さん

北海道労働者福祉協議会 前副理事長兼事務局長

1955年 北海道増毛町生まれ。
北海道教職員組合専従執行委員等を22年間経験。その後、2016年より北海道労働者福祉協議会の副理事長兼事務局長を勤める。2020年の総会をもって退任し、以降、北海道勤労者住宅生活協同組合の理事長として、労福協副理事長の任も担いながら現在に至る。
北海道労福協在任中は、「労働金庫全道推進会議事務局長」「労済運動推進会議事務局長」として、関係団体・事務局の皆さんの多大な協力のもと、労金運動・労済運動の推進役を果たすことができました。また、連合北海道や各地域協議会の応援をいただきながら、「勤労者福祉向上キャンペーン」(政策制度要求を含む)を全道展開しました。

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