中央労福協は4月24日に第50回Web学習会を開催し、110名が参加しました。今回は、駒澤大学経済学部教授の松本典子さんから、「労働者協同組合とは何か」をテーマにお話いただきました。
松本さんは、労働者協同組合とは「資本主義のもとで広がる経済格差などの問題に対抗するため生活や労働を守る観点で作られたもの」であり、簡単に言えば、「フリーランスの人たちが複数集まって新しい会社を作るイメージ」であると述べました。
2022年10月、それまで法律がなかった「協同労働」について「労働者協同組合法」が施行されました。その目的は「持続可能で活力ある地域社会の実現に資する事業」を行うことであり、労働者派遣事業以外のあらゆる事業を行うことが可能となりました。現在では、144法人が設立され、設立数は増えていくことが予想されています。
また、法施行後に設立された団体として、荒廃農林を開拓してキャンプ場を生み出す「Camping Specialist労働者協同組合」や、シェア型本屋さんの「栄町労働者協同組合」など、地域での様々な取り組みの実例を紹介いただきました。
一方、労働者協同組合を実際に経営していくうえでの課題として「協同組合だからといって誰かに頼りすぎてしまう」、「労働者は経営者でもあるけどついついそのことを忘れてしまう」、「メンバーシップ組織なので閉鎖的な運営になりやすい」などが挙げられました。
続いて労働者協同組合の活動として、松本さんが設立者の一人となっている「いわたツナガル居場所ネットワーク」の活動として、「地域食堂・朝ごはんの会」や様々な取り組みをご紹介いただき、労福協などとも連携して、横のつながりを広めていき、活動の幅を広げていることが報告されました。
最後に、「みんなにとって必要なものをみんなで働きかけつくっていく」ことが、労働者協同組合がさまざまな人たちとともに経済活動(連帯経済の実現)を担っていく1つのきっかけになる、と参加者への呼びかけがあり、講演を終えました。