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第56回Web学習会「欧州と日本における社会的排除と包摂政策 -ワーキングプアと就労困難層を中心に-」

 中央労福協は12月17日、第56回Web学習会を開催し、85名が参加しました。今回は、大阪公立大学大学院生活科学研究科 客員教授の福原 宏幸さんから、「欧州と日本における社会的排除と包摂政策 -ワーキングプアと就労困難層を中心に-」をテーマにお話しいただきました。

「社会的排除/包摂」とは、経済格差の拡大などにより個人が社会から「排除」されている状態を、社会保障による「包摂」の実現によって解決しようとする政策で、1980年代から使われ始めました。その後ポスト福祉国家の時代においては、従来の社会保障制度から零れ落ちる人々へ向けた政策が展開されたことが紹介されました。

 欧州ではEUによる包括的な調査指標をもとにワーキングプア比率などの実態把握がされており、包摂的支援策として、1.低所得者向け税額控除などの支援、2.職業訓練に始まる就労支援、3.相談支援とサービス提供ーと、それを担う企業・非営利組織の育成が進められたとの説明がされました。

 一方、日本では政府による実態把握が不足しており、支援策が不十分である点が指摘されました。また、長期失業者やシングルマザーなどが非正規雇用に集中してワーキングプアが増加し続けていることが大きな課題となっており、日本独特の社会的排除の要因として、安定した正規雇用と不安定な非正規雇用の間に存在する待遇格差を解説しました。さらに、諸外国と比較して日本では所得再分配政策の効果が弱いことがデータで示されました。

 最後に、日本における包摂社会の実現へ向けて、正規・非正規の雇用身分による格差を是正し均等待遇へと転換していくこと、地域が抱える課題解決をめざすコミュニティを形成していく重要性を強調され、講演を終えました。