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あるべき被災者支援戦略の策定研究会:第1回を開催しました

 中央労福協は1月24日、くらし×福祉みらいプロジェクトの「あるべき被災者支援戦略の策定研究会」第1回研究会を開催しました。この記事では議事要録を公開します。

  • 日時 2026年1月24日(土)15:00~17:00
  • 場所 連合会館501会議室
  • 方式 Hybrid方式

今回のテーマ

法の構造からみた被災者支援(大阪公立大学大学院 准教授 菅野 拓)

議事要録

1.テーマに関する発言要旨(主査)

  • 関東大震災から能登半島地震まで、避難所の雑魚寝という光景が100年間変わっていない。これは現場の努力不足ではなく、骨格となる制度が古いまま温存されていることが原因。
  • 内閣府が定める支援制度は85種類にのぼるが、その大半が被災者に申請を強いる「申請主義」。心身ともに疲弊した被災者に、この膨大な資料を紐解かせるのは制度設計上の限界である。
  • 災害対策基本法は「超地方分権」であり、リソースの乏しい市町村にすべての責任を押し付けている。大規模災害時、課長クラスが全員避難所対応に回り、役場にはトップ数名しか残らずマネジメントが機能不全に陥る事例が散見される。
  • 現場では情報の断絶が起きている。DMATが持つ初期情報が、その後の福祉やNPOにスムーズに共有されないため、一気通貫の伴走支援が不可能になっている。

2.研究会委員を含めた発言要旨

  • 自治体職員が全てを担うことの限界。応援者への依頼もままならない中、災害支援NPOが「被災者コーディネーション」を請け負う形があるが、この現場コーディネーターをどう育てるかが急務。被災自治体の10年、20年先を見据えた対応が必要。また、災害救助法について、現在は自治体が決める権限になっているが、都道府県主導になるとやりにくくなる面もある。「グレーゾーン」の必要性を含め、議論すべき
  • 市町村に丸投げすることの問題。罹災証明に追われ、被災者個人の支援が後回しになっている。
  • 被災者を「罹災証明」でしか見ていない制度を、一度ぶっこわす必要がある。 仕事、健康、住まい、一人ひとりに合った支援を全体的に見るべきで、罹災証明をすべての尺度にするのはやめるべきだ。
  • 阪神淡路以前は、罹災証明をここまで(支援の絶対的基準として)活用していなかった。
  • 吉江先生に同意。再建支援金の300万円は、今の物価では修理も再建もできない中途半端な額。 課題は2点。①災害ケースマネジメントの初期フェーズの確立。②情報の流通。一次情報を持つDMATから、被災者援護団体へ情報を繋ぐ仕組みが必要。
  • 最終的にはグランドデザインを作る必要がある。DMATがケースマネジメントに言及するのは、情報が止まって伴走できない危機感から。災害は情報戦である。
  • 福祉支援体制が分野横断的になったが、全体像の理解が不十分。社会福祉士等の専門職カリキュラムに「被災時に何をすべきか」が入っておらず、教える体制も先生もいない。ここを変えるべき。
  • 福祉支援者への災害研修は絶対必要。普段の仕事(平時)のことしかできないため、マッチングが困難。DMATのような専門研修が必要だ。
  • 行政の中にコーディネート機能がない。総務省のマネージャー制度もあるが、専門職ではない。総括マネージャーの育成が必要。
  • 「自治体職員も被災者」という大前提が必要。来られなくても仕方ないという感覚。また、罹災証明が損得の道具になっている現状は見直すべき。災害は住まいの問題。 平時の住まい問題を考えることが必要。ワーカーの住まい支援が手薄な問題や、休眠預金の活用、5年後を見据えた支援が必要。
  • 福祉専門職の知識不足。場所(建屋)から人へのシフトが必要だが、人から場所(住まい)への視点も必要。NPOのように全体を俯瞰し、どの法律が必要か判断できる抜本的な考え方が求められる。
  • モノや場所を見るのは「人のため」であることを再確認すべき。被災者支援基本法に「個人」を位置づけるべきだ。
  • 社協には(支援の)ゴールがないが、専門職には「その人に合った自立」というゴールがある。地域づくりとの整合性が重要。

3.第1回終了にあたり(主査)

 本日は多岐にわたる非常に重要な論点が出された。委員の皆様は、それぞれ災害現場の過酷な現実を見てこられた方々ばかり。非常に良いキックオフになり御礼を申し上げたい。

当面のスケジュール

第2回 2月27日(金)15:00~17:00オンライン 研究会委員からの提起による討論他
第3回 3月24日(火)14:00~16:00オンライン 研究会委員からの提起による討論他
第4回 4月未定 研究会委員からの提起による討論他

資料ダウンロード

今回、公表資料はありません。