2026.05.18
印刷する第60回Web学習会「社会的連帯経済の先進国調査~韓国から学ぶ~」

4月28日、中央労福協は第60回Web学習会を開催し、89名が参加しました。今回は、法政大学大学院 公共政策研究科(連帯社会インスティテュート)教授の伊丹謙太郎さんが、「社会的連帯経済の先進国調査~韓国から学ぶ~」をテーマに講演しました。
伊丹さんは昨年11月、中央労福協とともに韓国・ソウル近郊を訪問し、韓国社会的企業振興院(KoSEA)、労働共済連合社団法人 フルパン、広津社会的経済ネットワーク、SSEコリアの4団体を調査しました。韓国では2007年の社会的企業振興法、2012年の協同組合基本法(FAC)制定などを経て、省庁横断の政策推進と市民社会のボトムアップ型ネットワークが両輪となり社会的連帯経済が育まれてきた実態を紹介しました。
日韓の人口動態や経済・雇用データを中心とした両国の特徴を解説する場面では、合計特殊出生率がOECD最下位(韓国0.72)となり最速の高齢化が進む韓国の現状や、国土の12%に過ぎないソウル首都圏に人口の51%が集中する一極集中など、両国共通の深刻な課題が浮き彫りになりました。また、経済水準に比べて世界幸福度ランキングが低迷している点(日本61位、韓国67位)も共通しており、「社会的支援の弱さ」が両国に共通する課題として示しました。
生協運動の父といわれる賀川豊彦については、「創設者」としてだけでなく「人と運動をつなぐエキスパート」として再評価し、その精神が社会的連帯経済の「つながる経済」と深く通底すると述べました。また、声を上げられないまま社会や職場から離れていく人々(Voice or Exit)の問題に触れ、労働組合や協同組合運動が「逃げることではなく、声を上げることで社会を変えていく」存在であることの重要性を強調しました。
最後に、中央労福協の2030年ビジョンが掲げる「つなぎ手」としての役割や「共助の輪を広げる」方向性は、広津社会的経済ネットワークやフルパンが体現する韓国SSEの実践と深く重なると解説しました。韓国の経験から何を学び、日本の文脈でいかに活かすか、その問いを参加者と共有しながら、継続的な日韓交流・連携の重要性を訴えて講演を終えました。