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あるべき被災者支援戦略の策定研究会:第3回を開催しました

 中央労福協は3月24日、くらし×福祉みらいプロジェクトの「あるべき被災者支援戦略の策定研究会」第3回研究会を開催しました。この記事では議事要録を公開します。

  • 日時 2026年3月24日(火)14:00~16:00
  • 場所 ZoomMeeting
  • 方式 Web会議方式

議事要録

1.開会

 事務局より、配布資料(前回議事録/HP掲載要録等)および本日の進行について説明した。

2.研究会

 鏑木委員、立岡委員からそれぞれのテーマにもとづき提起された後、研究会主査・委員と討論を行った。

テーマ①「社会福祉専門職養成と被災者支援」(鏑木委員)

 提起要旨はつぎのとおり。

  • 社会福祉士養成課程の中で、災害や被災者支援がどのように位置づけられているのかを、カリキュラムとテキストの両方から紹介した。
  • 社会学、ソーシャルワーク演習、地域福祉と包括的支援体制など複数の科目に災害が入っているが、断片的な知識の習得にとどまっている。
  • テキストでは、災害対策基本法・災害救助法・地域防災計画、コミュニティの役割、災害時におけるソーシャルワーカーの役割などが一定程度記載はされている。
  • 一方、どの立場のソーシャルワーカーがどの範囲まで何を担うのかが不明確で、理念的な理解にはなっても、実践で具体的にどう動くのかのイメージは持ちにくい。
  • 平時の地域福祉や社協の活動には、災害時にも生かせそうな活動が既に多くあるが、平時と有事が別個のものとして捉えられていて、そこがつながっていない。
  • 包括的支援体制や重層的支援体制の枠組みの中に、被災者支援の機能をどう組み込むかを具体に示していく必要があるとした。

 上記、テーマ①に関しての討論要旨

  • 困窮者支援の専門家、被災者支援の専門家もそれぞれいるが、両方の知識がないので、どこに何があるかというブリッジがかけられない。
  • 困窮者支援制度の人が災害も担った方がいいというのはその通りだが、災害特化でやっている人たちの役割は困窮支援員には難しい。
  • 一方、被災者の中で取り残されるのは困窮者であり、困窮者の制度を活用したり、生活保護を活用したりすることになるので、そういう意味では親和性はある。
  • 高齢者ならケアマネ、障害のある人なら障害の制度など、それぞれ平時から関わっている制度や支援がある。
  • 介護や障害も困窮も分かるようなスペシャリストは一部いるかもしれないが、災害のことはやはり災害を中心にやっている人に教えてもらわないと分からない。
  • 発災した次の日、その次の日には被災地に入るような人たちと同じことを皆ができるかというと難しい。
  • 災害は初期だけがイメージされがちだが、生活再建段階になると、困窮の人たちでも太刀打ちできる場面が出てくる。
  • 平時から地域でソーシャルワーク的な実践をしている人の力を生かさなければいけないのは、被災後の後半戦なのではないか。
  • DWATについては、被災高齢者等把握事業や福祉施設の回復のようなところも含め、今より広い概念で整理できるかもしれない。
  • ケアマネや相談支援専門員は制度上自分たちの職業を持っているが、困窮は資格者ではないが、自立相談支援員が自分たちの協議会を作って、俺たちが困窮者を救いに行くんだと言って行けるようにならないと。
  • 処遇改善の問題とも密接に絡んでいて、資格がないから安使いされる状況もこの分野では起きている。
  • 家探しや住宅再建は居住支援法人、介護は介護保険関連など、分業でいいのではないか。
  • 災害が起きたらすぐ被災地に行けて、そこで活動を長期間できる人は極めて特殊、そうではない普通の人たちが関われる仕組みを作らないとパンクする。
  • 平時はそれぞれの専門のお立場の方々を救っていくミッションだが、災害時は被災地・被災者を救うという一本になるので、そのスイッチの入れ方を平時に仕掛けておかないといけない。
  • 災害時は分野の境界線がなくなることがあるので、共通言語もない中で責任の領域調整に時間がかかり全体機能が崩壊してしまう。平常時に分野の境界線を調整しておくことが必要である。
  • DMATが成功しているのは、手段や機能を決めているため、包括支援のようにありとあらゆるものが出てくる世界とは違う。
  • できることとできないことがはっきりしていることが大事で、初期を乗り切り、後半戦の、連携にも時間をかけて大丈夫な世界に来たら包括支援の体制に移していく、そんなグランドデザインなのかなと思う。
  • DMATが分業体制をきちんと明示できるのは、医療だから範囲が一定程度明確であるという側面もある。他方、福祉は暮らしを包含するため、支援範囲も期間もどこまでも伸びていく。DMATと比べすぎるのも違うが、参考にはしていかなくてはいけない。
  • 現実のリソースの中でどういうものを実現していくのかという議論が足りない。

テーマ②「独断と偏見と間違った知識と解釈~東日本大震災から能登半島地震を経験し」(立岡委員)

 提起要旨はつぎのとおり。

  • 罹災証明のとくに2次判定については、全国一律で研修体系を整える必要があり、被災経験のある自治体職員の経験を生かすべきである。
  • 災害救助法の事務、とくに費用請求関係の事務で自治体職員が非常に苦しんでいるので、スペシャリストを養成し、災害があった時に応援に行く形が大事ではないか。
  • 被災地ではいつも同じ人、同じ団体が出てくる印象が強く、プレーヤーを増やしていく必要があるとした。
  • 常設で被災者支援のコールセンターのようなものを置き、災害制度を分かっているプロを育成して、災害時には自治体職員の相談にも乗れるようにしたらいいのではないか。
  • 広域避難で人が戻らなくなることを考えると、使える空き家をきちんと把握活用すれば人口流出減にもつながる。
  • 被災者支援団体もお金がないと続かないので、発災後すぐに公募が開始され、遅くても1週間以内にはお金が出るような仕組みが必要。
  • DWATについては福祉だけで完結してはダメで、被災者支援NPO・NGOも入って一緒にやる必要がある。
  • 1か月ぐらいするといろんな人が入ってくるので、一緒に同じ研修を受けたり、共通言語を作れるようにしておくことが大事。
  • 仮設住宅から復興公営住宅に移るまでの間の「今日行くところ」「今日の用事」がないことなど、この時期からの課題は、もう平時の福祉の問題でもある。

 上記、テーマ②に関しての討論要旨

  • 被災後の人口流出を防ぐためにも、空き家などを一定程度把握し、事前に使用許諾等を取っておくなどの検討が必要。
  • 被災者援護協力団体に自治体業務を担ってOKにするのはぜひやるべき。
  • 発災後6か月ぐらいからは福祉の立場の人たちが活躍できるフェーズに入ってくる感じで、時期を分けて、誰が何の役割を担うのかという整理は必要。
  • 力のあるNPOに平時も含めて予算配分し、平時に仕事がない時でも存続できるようにした方がいいのか、あるいは被災者援護協力団体やDWATの枠組みの中で、NPOの役割をきちんと位置づけて予算も付けるべきなのか。
  • 罹災判定に行くであろう自治体職員には、事前研修を何度も受けさせておくべきだし、2次判定の時に士業の先生など外部専門家を組み込む仕組みも、条例レベルで標準化していいのではないか。
  • 居住支援では平時から災害時も貸してくれるオーナー情報を作り込んでいるが、自治体の空き家バンクも災害時の被災貸し出し枠のようなものを仕組み化しておくと、普段の公共サービスももっと生きるのではないかと思う。
  • 救助法による予算支援は、早く終了した方がいいという部分と、財源がなくなると被災者が救えないというところがあるので、期間ではなく状態によって判断する仕組みができたら、もっと被災地寄り・被災者寄りで考えられるのではないか。
  • 役割分担の話が市町村に寄りすぎていて、被災者支援関係は大混乱している。
  • ボランティアセンターも、この間の経緯からするとたまたま社協で実施することが多いだけで、元々の社協のボランティアセンターのイメージはNPO法以前のものなので、分担の見直しは必須なのだろう。
  • 今日の議論では、機能別の分業型でチーム制でやっていくこと、専門研修が必要なこと、避難所閉鎖から仮設住宅段階以降は地域の段階になっていくこと、居住支援や法改正の話、そして見守りではなく生活再建のための伴走支援が必要なことなどが見えてきたと思う。

当面のスケジュール

第4回 4月24日(金)10:00~ オンライン開催

第5回:5月8日(金)実施予定(時間は調整中)

評価委員会の人選と招聘講師については、検討案をたたき台として以降引き続き検討することとし、候補者について各委員から意見を出してもらうこととした。

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