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第53回Web学習会「共同売店における地域福祉の機能とこれからの課題」

 中央労福協は9月24日に第53回Web学習会を開催し、78名が参加しました。今回は、琉球大学人文社会学部人間社会学科 准教授の波名城翔さんから、「共同売店における地域福祉の機能とこれからの課題」をテーマにお話いただきました。

 波名城さんは、離島における福祉・介護・自殺などの研究をする中で、共同売店の存在を知り、その意義や役割について研究をすすめられています。

 最初に、共同売店は「集落の全ての人が出資して設立、共同で運営、購買事業を中心に行う相互扶助組織」であることが示され、広く組合員を募っているなどの協同組合との相違点について説明がされました。また、沖縄県内では1906年に最初の共同売店が誕生し、1960年代には180店がありましたが、人口減少と超高齢化、家族形態の極小化、生産の場としての衰退、道路の整備・拡張などによって2023年には55店まで減少しているとの報告がされました。説明の中では、沖縄県内や鹿児島奄美大島など離島各地における共同売店の店舗内外の写真や働く方々の写真なども多数紹介されイメージの共有をしていただきました。

 波名城さんがおこなった共同売店利用者インタビューでは、77%の方が毎日利用されており、単なる買い物だけではなく、知り合いとの交流などのための利用者が少なくない実態が説明されました。共同売店は住人にとっては見守りの場、交流の場、雇用創出の場であり、移住者にはつながりの場、観光客には交流の場であるなど役割と可能性について説明がされました。災害時のライフライン機能を担う拠点とした役割も紹介がされました。

 今後の課題としては経営の安定化であり、現在共同仕入れや島の特産品やオリジナルグッズ販売の他に、共同売店ツーリズムにおける外部収入確保、労働者協同組合の設立などそれぞれの協同組合で創意工夫がされてきています。福祉事業の活用では、介護保険、障害者総合支援法による各事業の受託による収入確保なども検討が必要なことも説明がされ、「共同売店の再建は日本の未来の新しい形になるかも知れない」との説明がされました。