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第54回Web学習会「生活困窮者支援の現場から」

  10月31日、中央労福協は第54回Web学習会を開催し、84名が参加しました。今回は「生活困窮者支援の現場から」をテーマに、一般社団法人つくろい東京ファンドの小林美穂子さんからお話をいただきました。

 つくろい東京ファンドは、2014年に設立された団体で、シェルター運営や生活・就労支援、アウトリーチ活動、政策提言、メディア発信など、多面的な活動を展開しています。「生活困窮者の『生きる』を支える」ことを掲げ、複合的・長期的な支援に取り組んできましたが、近年は人員や資金の不足が大きな課題となっています。他にも、精神疾患を抱える人や外国籍の仮放免者など、住まいの確保が難しい人が増え、慢性的なシェルター不足が続いている現状について報告されました。また、スキマバイトや派遣を転々とする若者など、表面化しにくい新たな形の生活困窮が広がっていることも指摘しました。

 さらに、生活保護に対する誤解や偏見についても触れられました。「働けるのに働かない怠け者」といったデマについて、実際の受給者の多くは高齢者や傷病世帯であり、「働きたくても働けない」人々であると説明されました。また、「不正受給が多い」という誤解については、実際には全体のごく一部にとどまること、子どものアルバイト収入の申告漏れなど、やむを得ない事情もあることが紹介されました。

 このほか、群馬県桐生市で水際作戦や金銭管理の強要により、市民の権利が侵害されていた事例も報告されました。小林さんは、市民や議会による監視の重要性を訴えるとともに、「誰もが安心して生きられる社会を実現するため、生活保護を利用しやすい制度へ改善していく必要がある」と結びました。