インフォメーション トピックス

印刷する

あるべき被災者支援戦略の策定研究会:第2回を開催しました

 中央労福協は2月27日、くらし×福祉みらいプロジェクトの「あるべき被災者支援戦略の策定研究会」第2回研究会を開催しました。この記事では議事要録を公開します。

  • 日時 2026年2月27日(金)15:00~17:00
  • 場所 ZoomMeeting
  • 方式 Web会議方式

議事要録

1.開会

 事務局より、配布資料(前回議事録/HP掲載要録等)および本日の進行について説明した。

2.研究会

 土岐委員、吉江委員からそれぞれのテーマにもとづき提起された後、研究会主査・委員と討論を行った。

テーマ①「あるべき被災者支援に向けて考えるべき点」(土岐委員)

 提起要旨はつぎのとおり。

  • 罹災証明書に紐づく支援制度が多岐にわたり、判定が生活再建支援金、応急修理、義援金、保険等に波及している。
  • 罹災証明制度の非合理として、①住家被害のみで評価(家財等が反映されにくい)、②自治体間格差、③再調査申請による迅速性低下・判定ダウンリスク、④証拠収集や申請責任が被災者側に偏る、⑤持ち家(所有者)中心の制度設計等。
  • 改善案として、家財等の被害も補助情報として扱うこと、再調査に伴う「暫定証明」の運用等の検討も必要ではないか。
  • 仮設住宅の全国統一規格について、能登半島地震での居住実態(狭さ、生活空間の断絶、心身機能への影響等)を踏まえつつ、迅速性・コスト・短期利用前提等の制約も含めて難しさもあるが整理すべき。
  • 関連死について、国として明確な基準が乏しく、自治体ごとの運用差(例:期限の捉え方の扱い)や審査負担の増大、立証困難化等が課題。
  • 被災者支援の基盤として、クラウド型被災者支援システム等、平時データの活用を含む情報基盤整備が必要。

 上記、テーマ①に関しての討論要旨

  • 罹災証明の運用は、支援の線引きが不可避である一方、自治体間・応援体制等によって判定が揺れ、被災者側の不公平感にもつながり得る。
  • 個別住宅の判定だけでは地域・コミュニティ(街づくり)の観点が反映されにくい。
  • 弁護士・建築士等によるアウトリーチ(プッシュ型相談)で、被災者が判断材料を得られる仕組みが重要。
  • 給付や支援は線引きが不可避で、どこまで「グレー」を許容するかが重要になる。
  • 一方、グレーを担保しようとすると自治体負担が増す側面もあり、制度設計・ガバナンスの整理が必要。
  • 罹災証明の点数・区分は「救う方向」に寄せる運用が行われている実態がある一方、市町村が査定者と伴走者を同時に担うことで矛盾が生じ、責任集中や対立構造を招きやすい。
  • 国としての目安・枠組みのあり方や、市町村が住民側に立ち続けやすい制度設計が必要。
  • 暫定的に進めつつ、再調査で「アップのみ」設計とするなど、市町村負担を減らす方向性も一案として検討すべき。
  • 罹災証明のように裁量が入り得る領域は、被災者救済の観点から「救う」方向での運用が重要である。
  • 一方で、国が「柔軟に」と公式に言いにくい構造の中で、最終責任が市町村に集中しやすい点が問題である。
  • 災害種別によって基準・運用が実態に合わない場面があり、支援と判定の連動が不合理を増幅させている点もある。
  • 支援金の額・運用の不均衡(自治体による上乗せ等)や、みなし仮設の活用等についても論点として整理すべきである。

テーマ②「被災者支援制度の再構築~災害ケースマネジメントを前提として」(吉江委員)

 提起要旨はつぎのとおり。

  • 災害法制は数が多い一方、被災者に直接届く制度が限られ、かつ複雑・不合理が積み重なっている。
  • 災害対策基本法について、生命・身体・財産保護に加え、尊厳・人権等の観点を明示する必要がある。
  • 被災者援護協力団体の登録制度について、官民連携の位置づけは前進してはいるが、現場(市町村)での活用方法・調整に関する課題は残されている。
  • 災害救助法について、実施主体(国/都道府県/市町村)のねじれ、適用要件による同一災害内の不均衡、一般基準と特別基準の常態化、現物給付原則等の運用上の不合理がある。
  • 応急修理制度について、仮設入居との関係、指定業者要件、制度理解不足による不利益等の課題もあり運用改善が必要である。
  • 被災者生活再建支援金について、額の妥当性や世帯区分の前提、さらに公費解体との関係で「解体が誘発されやすい」制度構造を提起したい。
  • 弔慰金制度について、生活支援色が強い高額給付が関連死認定の対立・事務負担を増幅させる点があり、弔慰の位置づけと生活支援の切り分けが必要。
  • 支援制度を再整理し、被災者の状況(住まい・健康・収入・就労等)を包括的に捉える「災害ケースマネジメント」を前提とした支援体系(被災者生活再建支援法の実質化、相談支援体制・ケースマネージャー配置等)を提案したい。

 上記、テーマ②に関しての討論要旨

  • 2020年の制度改正により「応急修理」と「仮設住宅(供与)」の併用が可能となった。しかし、実態としては自治体から業者へ応急修理代金の入金が完了した(修理完了とみなされた)時点で、まだ実際には住める状態ではないにもかかわらず、仮設住宅からの退去を求められ、困惑している被災者が発生している。
  • 応急修理を使っている時に、基礎支援金や加算支援金が入っても、本来は仮設住宅運用とは別のはずだと思う。ただし、加算支援金で修理方法が決まった段階で「直ったでしょ」と見なされている可能性もある。 
  • 恐らく、応急修理の工事中に仮設に入れるが、応急修理の工事が終わると、その応急修理費として自治体から業者にお金が出る段階で、「仮設を出ろ」と言われてしまうのだろう。その後も加算支援金を使って次の工事・修理をしていかなければいけないが、その間は仮設に入れない。そのため、中途半端に直った状態で元の家に帰れ、仮設を退去と言われてしまう問題だと思う。
  • 業者にお金が渡った瞬間に出ろと言っているということであれば、趣旨からして変だし、制度としても運用がおかしいのではないか。
  • 基本的には、退去届を出さない限り出ないはず。役所としては「もう終わったんだから、直ったんだから出てね」とは言うだろうが、本人からすると退去届を出さない限り、出る必要もない。
  • 能登の運用では、こういう場合でも「直りましたよね」とは言うが、そんなに急かしていないはずだと思う。輪島では急かしているのかもしれない。
  • 運用で決めていることが相当にある可能性。現場のプロたちでも「なんでこうなるんだっけ」となるくらい複雑な制度だが、分かりやすく解説してもらった。
  • 災害救助法の「ねじれ(実施主体の構造)」について問題意識を共有できた。
  • 債務整理ガイドラインにおける登録支援専門家の「中立」位置づけと、被災者の支援実務の関係についてあらためて確認したい。
  • 救助法の主体は実務上、市町村中心が妥当であり、都道府県・国は連携と財政的バックアップを担う整理が望ましい。
  • 登録支援専門家の「中立」位置づけは、債権者の同意形成を前提とした制度設計上の要請であり、実務としては被災者の資料整備や交渉支援が行われている。
  • 要配慮者名簿・個別避難計画等(福祉領域)と、被災者台帳等(防災領域)の連携不足が課題であり、縦割り構造の中での調整体制が問われる。
  • 情報基盤の整備は、ケースマネジメントを含む被災者支援の前提となり得る。
  • 同一災害であっても災害規模や自治体単位で支援が分かれる実態があり、「人で見る」支援が必要。
  • 公費解体が半壊の解体を誘発し、地域の喪失感や人口流出にもつながり得る、能登での経験である。
  • 弔慰金の高額化が関連死認定を紛争化させ、審査負担を増幅させている。
  • 制度は時代や災害類型の変化に合わせて定期的に見直す仕組みが必要。
  • 災害ケースマネジメントは、既存の困窮支援等との連動・専門性の整理が重要であり、住まい支援の比重は大きい。
  • 平時からの空き家把握等、初動の住まい確保につながる備えが重要である。

当面のスケジュール

第3回 3月24日(火)14:00~16:00 オンライン 研究会委員からの提起による討論他

第4回 4月24日(金)10:00~12:00 オンライン

第5回:5月 8日(金) 時間要調整  オンライン

資料ダウンロード