クレサラ(消費者金融)問題 解説・資料
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グレーゾーン金利(みなし弁済規程)を撤廃しよう!
◆払わなくてもよい利息をなぜ払わせるのか?

 貸金業規制法43条は、債務者が利息制限法の制限利息を超える利息を「任意に」支払った場合に、貸金業者が法定の契約書面及び受領書面を適切に交付していた場合に限り、これを有効な利息の支払いと「みなす」と規定しています。いわゆる「みなし弁済」と呼ばれる規定です。しかし、厳格な条件を満たした場合に認められるとはいえ、この利息制限法の例外を認める「みなし弁済」規定の存在こそ貸金業者の利息制限法に違反する金利での貸付けを助長し、多くの多重債務者を生み出しているのです。
 すなわち、利息制限法の制限金利(年15〜20%)を超えた利息は民事上は無効で返済義務がないにも関わらず、大手を含む殆ど全ての貸金業者は年25〜29%の約定金利で貸付けを行っているのです。そもそも民事上無効であるはずの高金利による営業が許されていること自体が問題であり、このことが多重債務問題の最大の要因であるといっても過言ではありません。
 現実には上記の「みなし弁済」を認める条件を満たした営業を行っている貸金業者は皆無に等しく、債務整理や訴訟においては利息制限法に基づいて債務額を確定し、過払金があれば債務者に返還することが実務の常識でさえあります。また、利息制限法は債務者保護をその立法趣旨とする強制法規であり、その例外として暴利を認めるような貸金業規制法43条は、その立法趣旨に反し、また「資金需要者の利益の保護を図る」という貸金業規制法自体の目的規定とも相容れないものといえます。

◆利用者の9割は利息制限法を知らずに無効な利息を払っている。

  利息制限法の金利の制限(15〜20%)を、90.3%が「知らなかった」と回答

 (国民生活センター調査2006年3月)

◆最高裁は、利息制限法を原則として「みなし弁済」を実質否定

 最近の最高裁の判例では、この「みなし弁済」は無効とする判決が相次いで示されています。立法府としても重く受け止め、すみやかに法改正を行うべきです。

(1) 平成16年2月20日第二小法廷判決
「みなし弁済」規定は厳格に解釈適用されなければならない
(2) 平成17年7月19日第三小法廷判決
貸金業者は、信義則に基づき取引履歴開示義務を負う
(3) 平成17年12月15日第一小法廷判決
契約書面に返済期間・返済金額等の記載がないリボルビング取引について「みなし弁済」規定の適用を否定
(4) 平成18年1月13日判決第二小法廷・1月19日第一小法廷判決
制限超過の約定利息の支払をしなければ期限の利益を喪失する旨の特約の下では支払の任意性がなく、「みなし弁済」規定は適用できない
(5) 平成18年1月24日第三小法廷判決
日賦貸金業者において、期間途中での貸し増しにより返済期間が100日未満になっている場合は、「みなし弁済」規定は適用できない。

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