クレサラ(消費者金融)問題 解説・資料
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多重債務者の相談体制の強化、消費者教育の充実を!
◆相談窓口の拡充と普及

 「暮らしのなんでも相談」を行っている地方労福協では、その相談内容の多くが多重債務の関係です。相談してくる人たちの多くが、「何をどこに相談したらよいのかわからない」といいます。
 債務整理の相談窓口は弁護士会、法律扶助協会、司法書士会、被害者の会などがありますが、相談窓口に関する情報がを知らないために、自転車操業を繰り返したり、夜逃げや自殺に追い込まれています。
 また、これらの相談窓口も、150万〜200万と言われる多重債務者に対処するには決して十分ではありません。今後、国や自治体においても相談窓口の開設や情報提供など、相談体制を拡充していくことが求められています。

◆賢い消費者になるために

 多重債務問題を未然に防ぐためには、一人一人が賢い消費者となって、正しい情報を身につけ、様々なトラブルから身を守り適切に対応していける判断力を養うことが必要です。 
 学生、若者、勤労者、年金生活者・・・・それぞれのライフステージに合わせたキメ細かな消費者教育が必要になってきます。

◆青少年への消費者教育の充実

消費者金融(大手5社)の新規顧客の年代構成 消費者金融の利用者の4割は20代の若者です。洪水のようなテレビCMの影響で、多くの若者が消費者金融に好印象を抱いているのが現状です。
 しかし、金やモノが簡単に手に入るというカード社会の表層だけが宣伝され、支払い不能に陥ったり、多くの犯罪事件を招いている現実はきちんと伝えられていません。悪徳商法、ヤミ金融、そして多重債務問題と消費社会のリアルな構造を、法律や消費者の権利、手続きにまで踏み込んで若者達に教える必要があります。

 特に、これから社会に飛び出す高校生や大学生を対象にした消費者教育は極めて重要です。
 現在のところ学校教育ではほとんど行われていないのが実情ですが、下の広島県などの事例のように、外部の専門家を講師として消費者講座を開設する取り組みも始まっています。
 国、地方において、こうした取り組みを広げていく施策の充実が必要です。

 広島県では、2002 年度から「高校生のための消費者講座」を順次開催。広島県労福協が委託を受け企画し、公募により労金職員が講師として参加しています。悪徳商法の実態や金融商品に関する基礎知識を具体的な事例でわかりやすく説明し、好評を博しています。
 この他にも、福島、新潟、群馬、静岡、石川、大阪、和歌山、広島、愛媛、徳島、高知、熊本などの全国各地で、消費者講座の取り組みが広がっています。
 また、労組組合員を対象としたセミナーに、全国各地の労金が講師派遣等の協力をしています。

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