インフォメーション トピックス

印刷する

全国研究集会2026 in MIYAGIを開催しました

 中央労福協は6月2日、宮城県仙台市にある東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)にて、全国研究集会2026 in MIYAGI を開催し、443名の方にご参加いただきました。今年は「自然災害からの復興・再生」をテーマに、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県・宮城県・福島県にて復興活動や伝承活動に取り組まれてきた方々をゲストにお招きし、トークセッションを行いました。本研究集会を通して、災害に向き合う社会の「これから」について、ともに学び、考える機会となりました。
 当日はYouTubeLiveでの生配信も行いました。アーカイブ配信は下記よりご覧いただけます。

アーカイブ配信はこちら

オープニングセッション

 冒頭のオープニングセッションでは、宮城県仙台市の郡 和子市長と宮城県労福協の大黒 雅弘会長が登壇しました。
 郡市長は、仙台市では「減災を基本とする防災の再構築」「自助・自立と協働・支え合いによる復興」を軸に、防災・減災および復興に向けた取り組みを進めていることを説明しました。また、仙台の魅力あふれる歴史や文化についても紹介しました。
 大黒会長は、東日本大震災発生当時、被災者が限りある物資を分かち合い、助け合いながら命をつないだことを振り返りました。また、震災の記憶が風化の一途をたどる中、宮城労福協では、県内外に当時の被災状況や復興の状況、震災の「今」を伝えていく運動を展開していることを紹介し、今回の全国研究集会を通じて、ぜひ多くの学びを得てほしいとの思いを示しました。

紙芝居「忘れないよ 小さな命とあの日のこと」

 オープニングセッションのあと、宮城学院女子大学 教育学部3年生「サークルK」の佐藤 心さんと舩岡 菜摘さんが、紙芝居「忘れないよ 小さな命とあの日のこと」を上演しました。この紙芝居は、東日本大震災で発生した津波の教訓を後世に伝えるため、当時、石巻市で発生した津波で亡くなった園児の遺族有志と宮城学院女子大学の学生が協力して制作した作品です。
 上演後、佐藤さんは「東日本大震災から15年経過しましたが、震災の恐ろしさや、遺された家族の想いを忘れてはいけない。そして多くの人に知ってもらいたいと思いながら、紙芝居を読みました」と、上演に込めた想いを語りました。舩岡さんは「この紙芝居を通して、命の尊さや、変わりなく続く毎日は当たり前ではない、と考えるきっかけになるよう想いを込めて紙芝居を読みました」と語りました。

トークセッション

明日が来るのは奇跡、今できることをしよう!

 トークセッションではまず、それぞれのゲストが被災当時の思いを語りました。ゲストのみなさんは、現在、被災した妊産婦を支える活動や、子ども食堂の運営、震災遺構での東日本大震災の記憶の伝承、NPOや市民と連携した復興・創生に向けた支援など、それぞれの立場から復興支援や伝承活動に取り組んでいます。しかし、震災当時は「あのように大きな災害が起きるとは誰も思っていなかったので、どうしたらいいかわからなかった」「明日、また津波がくるのではないか。明日からどう生きればいいのだろう」といった不安を抱えていたといいます。それでも、「今できることは何か」と視点を変え、さまざまな情報を得ながら被災地の課題を捉える中で、復興支援や伝承活動に取り組み始めたといいます。
 また、発災後は誰もが被災した家族や自分を守るために精一杯で、誰かに優しくすることができず、「頼れない・頼ってはいけない空気感」が漂っていたと、当時の記憶を振り返りました。しかし、そうした状況の中でもあたたかい支援を受けたからこそ、自分も何か復興へ向けた支援を行いたいと思うようになったといいます。

震災のことを「自分ごと」として捉える

 では、これまでにない大きな震災による混乱の中で、どのような支援があればよりよかったのか。震災から15年が経過した今、改めて考える中で、さまざまな意見が出されました。
 まず、抱える課題や復興のフェーズは地域によって異なる中で、自治体をはじめとする様々な団体とつながりを持ち、多様なネットワークを活用した支援体制を構築した事例が紹介されました。また、「震災当時、孤立を感じることが多かった」との経験から、被災した人が安心できる場所や、人と人とのつながりが大切だったのではないかとの意見も出されました。
 また、性別や年齢の違いに限らず、病気や障がいの有無などによっても、必要なケアや物資、情報は異なります。しかし混乱する被災現場では、こうした一人ひとりのニーズが十分に共有されていません。ゲストは自身の活動にも触れながら、「妊産婦など特殊な状況にある人の防災や減災に関する知恵を伝承していきたい」と述べました。

 続いて、震災を経験していない世代が増えていく中で、風化を防ぐにはどうすればよいかという課題については、災害を「自分ごと」として捉えることが重要であるとの意見が出されました。「今の子どもたちは震災を知らないため、例えば授業の一環で震災伝承施設へ見学に行くなど、自分の目で被災地を見て、肌で感じてほしい」「語り継いでいくこと、若い世代に防災教育をすることによって、自ら考えて学んでいこうとする意識が芽生えると思います」といった意見が出され、未来の命を守るためにも、災害の記憶を語り継ぐ伝承活動こそが重要だと訴えました。

“いつも”と“もしも”はクロスしている!

 ゲストによるトークセッションを経て、コメンテーターの佐保 昌一さん(中央労福協事務局長)は、「まだまだ知らないことが多いと感じる一方で、皆さんのお話を聞く中で、新たに気付いたことや共通するキーワードを見つけました」と述べました。そして、中央労福協が2026年から新たにスタートした「くらし×福祉みらいプロジェクト」(こくみん共済 coopからの受託事業)の第1弾として実施している「あるべき被災者支援戦略の策定研究会」について紹介しました。

 同研究会の主査であり、本集会のコメンテーターを務めた菅野 拓さん(大阪公立大学大学院文学研究科准教授)は、「皆さんは人を支援し、人と人とのつながりをつくり出す活動に取り組まれており、その活動のベースにあるのは『人』です。しかしながら、被災者支援の制度は、家やインフラ整備がベースとなってしまっている状況です」と現行の被災者支援制度の課題点を指摘しました。また、「“いつも”と“もしも”はクロスしており、有事の際は備えだけでは対処しきれません。日常と非日常を組み合わせて人と人とのつながりをつくり、被災の経験を風化させないよう次世代へ伝えていくことが、次の議論のポイントになると考えます」とコメントしました。

有事だけではなく平時からつながりを

 最後に、災害時だけではなく、平時から人と人とのつながりを育むことの重要性についても議論が交わされました。菅野さんは「人を中心にすると自然と連携ができ、みんなが手を組んで協力し合うことができる。それが、災害時の備えにもつながっていきます」と述べ、平時から人を中心としたつながりをつくることの重要性を語りました。
 ゲストからも、「人と人とが連携することが必要です。有事だけではなく平時からつながりを持ち、様々な人が地域のコミュニティに参加していくといいでしょう」「日頃からより豊かな社会にしていく取り組みをしていれば、自然と解決する震災時の困りごとも少なくはないと思います。震災抜きに、助け合う基盤をつくることが望ましいです」といった意見が出されました。
 有事の際だけではなく、平時からさまざまなつながりを育むことの大切さを共有し、トークセッションは幕を閉じました。

エンディングセッション

 エンディングセッションでは、本集会を通して繰り返し語られた「人と人とのつながり」の重要性について振り返りました。佐保さん(中央労福協事務局長)は「“Re:BUILD”には、“再建・再構築”といった意味があります。災害からの復興には、ハード面のインフラを整備するだけではなく、人と人とのつながりを再構築することが非常に重要だと感じました」と述べました。また、「中央労福協としても、加盟団体をはじめ、様々な人とつながるための結節点としての役目を果たしていきたいです」と、今後に向けた決意を語りました。

来年の開催地は長野県!

 最後に、全国研究集会の開催地のバトンが、宮城労福協会長・大黒 雅弘さんから2027年の開催地である長野県へと引き継がれました。長野県労福協理事長・根橋 美津人さんは、自県における災害時支援ネットワークの取り組みに触れた上で、「今回の全国研究集会で得た学びを、それぞれが地域で実践し、その成果を確認し合える場となるような集会にしたい」と来年の開催に向けた抱負を述べ、「全国研究集会2026 in MIYAGI」は幕を閉じました。

 災害はいつ、どこで起こるか分からず、誰もが無関係ではありません。今回得た学びをもとに、それぞれの地域で「人と人とをつなげる」場や「伝承」の場をつくり、防災・減災への備えを広げる活動に取り組んでいくことが求められています。
 全国研究集会2027 in NAGANOでは、引き続き「自然災害からの復興・再生」をテーマに研究集会を開催する予定です。今年の学びが来年へ、そしてそれぞれの地域での実践へとつながっていくことを期待するとともに、ぜひ来年の研究集会にもご注目ください。