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【大槌町・吉里吉里国へ支援金寄贈】林野火災を乗り越えて、未来へ

【被災された皆様へ】
 7月28日に発生した「令和8年熊本地震」、8月13日からの「令和8年8月千葉豪雨」、8月下旬に石川県、富山県、福井県などで発生した線状降水帯等による大雨被害につきまして、犠牲となられた方々に対し、謹んで哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、各災害現場において救命救助活動、被災者支援活動にご尽力されている全ての皆様へ深く敬意を表しますとともに、被災された皆様の安心・安全と被災地のいち早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
 自然災害が立て続けに発生し、また激甚化している中、中央労福協として何ができるのか、今後も検討を進めてまいります。

吉里吉里国 松永いづみ 理事長(写真左)と中央労福協 佐保昌一 事務局長(右)

 7月14日、中央労福協は第97回メーデー中央大会で販売した福島県産ブランド米「天のつぶ/里山のつぶ」の売上金を寄付するため、大槌町林野火災が発生した岩手県上閉伊郡大槌町を訪問しました。寄付先は、同町で活動している特定非営利活動法人 吉里吉里国です。同団体・松永 いづみ 理事長(2代目)にお話を伺いました。

吉里吉里国の活動について

 吉里吉里国は、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた大槌町において、2011年5月に設立されました。大槌町は元々漁業が盛んな漁師の町でしたが、津波によって漁船や漁港が使えなくなってしまったことから、がれきを薪にすることで被災者の方々に「やること」を作り、そこから「収入」へつなげることを目的に活動を始めました。
 津波によるがれきを整理した後には、津波に浸かってしまった森の整備を進めながら薪を作り、その魅力を発信する活動を行ってきました。また、森の整備と並行して木々を育てる活動も進めており、それらをイベント化することで参加者とボランティアの方々など、様々な価値観を持つ人たちとの交流を通じて、関わる人々の人材育成につなげています。
 初代理事長は、震災直後に避難所で目にした焚き火で燃える薪に「薪は人の心を温かくすることができるのではないか」と感じ、「この温もりを地域の復興に活かそう」と、吉里吉里国を立ち上げる決心をしたそうです。
 今回の林野火災が発生する前には、地元の小学校や地域の教育支援団体と連携して、火起こしや薪割り、手作りの窯を活用したピザづくりなどの体験プログラムを開催したり、林業の大事な活動でもある下草狩り(苗木の成長を促すために、周囲の雑草・雑木を刈り払う作業)の技術を活かして、「熊と人の共存」に向けた緩衝地帯づくりなど、地域の安心・安全な生活につながる活動も行っていました。

林野火災とその影響について

 2026年4月22日、大槌林野火災が発生しました。火災は5月29日の鎮火宣言まで続き、地域復興の足掛かりとしてきた吉里吉里地区の森の多くが焼失してしまいました。吉里吉里国は火災の前日までに新たな苗木の植え付けに向けた植林の準備(地拵え)を終えていましたが、この火災によって昨年に植えた苗木も含め、すべてが焼失してしまいました。
 火災の影響は森が燃えてしまったことに留まりません。植林による将来の収入がなくなったことに加え活動場所が森に近いこともあり、避難指示が発令されている間は活動ができない状況に陥りました。鎮火後もしばらくは火起こしやテントサウナなど、木が燃えることを想起させる体験活動は自粛せざるをえない期間が続き、火災は子どもたちからこうした貴重な体験の機会を奪いました。
 今回の火災では、幸いにも人命の被害は無く、住宅への被害もほぼ発生しなかったそうです。
 しかし焼失した森の木々は、上部の枝葉は無事であるものの下部が焼け焦げてしまっているものが多く、このような木々はすでに死んでしまっており再生はできません。木々が死んでしまった土壌は降った雨水を蓄えることができなくなるため、豪雨などによる地滑りや土砂崩れが発生するリスクが高くなり、二次被害の発生も懸念されます。森の下部エリアには津波から避難した人々が暮らしており、将来的には不安があるとのことでした。

活動のやりがい・モチベーションについて

 松永さんは、計り知れない大きなエネルギーを持つ自然に密接した吉里吉里国の活動にやりがいを感じているそうです。吉里吉里国で触れる自然そのものがこの地域の魅力であるとともに、体験した子どもたちがいつか思い返してくれた時にも新たな魅力を感じてもらえる、未来につながる森を作っていることがモチベーションになっているとのことでした。

今後の抱負と労福協へのメッセージ

 ふだんは「海」が注目され、存在をあまり意識されてこなかった吉里吉里の森ですが、実はこの地を陰で支えてくれているのは「森」であり、今後もここにあり続けるものだと思っています。この地域で起きている課題は、自然との共生にまつわることが多く、他の地域でも起こっていることだと感じるので、「私たちはこんな活動をしているよ」と経験を交えたアドバイスができる活動を続けていきたいと思っています。
 労福協の皆さまには、この地域のありのままを発信してもらい、この地域が今後どうなっていくのか、ぜひ関心を持って見続けていただきたい。昨年の大船渡や今回の大槌町の災害は、他の地域で同様のケースが発生した場合にも参考になると思うので、良くも悪くも現状を伝え続けてもらいたい。吉里吉里国の活動も今回の火災によって変わっていくかもしれませんが、いただいた支援金を活用し活動を続けていきます。大槌町は森も海もある自然豊かな地域です。何かの折に思い返していただき、全国の皆さんに訪問してもらいたいと思っています。