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2026.04.24
印刷するあるべき被災者支援戦略の策定研究会:第4回を開催しました
中央労福協は4月24日、くらし×福祉みらいプロジェクトの「あるべき被災者支援戦略の策定研究会」第4回研究会を開催しました。この記事では議事要録を公開します。
- 日時 2026年4月24日(金)10:00~12:00
- 場所 ZoomMeeting
- 方式 Web会議方式
議事要録
1.開会
事務局より、配布資料(前回議事録/HP掲載要録等)および本日の進行について説明した。
2.研究会
(1)辛嶋委員からテーマにもとづき提起された後、研究会主査・委員と討論を行った。
テーマ「災害対応の現場課題」(辛嶋委員)
提起要旨はつぎのとおり。
- 被災地では全体像を把握している人が存在しないことが支援の最大の課題。組織内部に入るほど専門性が優先され、面的な把握になりきれない。現場と本部をつなぐ「翻訳機能」の仕組み化が必要で、コーディネーター不足は深刻。OJTだけでは育成が難しく教育制度の構築も課題。
- 被災者支援を専門とするNPOの公式な位置づけがない。ボランティアでもプロボノでもない存在の名称・位置づけが必要。
- 行政間の横連携の課題:災害対策本部や部長会において課長クラスが出席できず、情報が「報告」で終わり課題解決のマッチングまで至らない。能登では副知事と現場メンバーが毎朝3ヶ月以上ミーティングを継続したが、本来は対策本部がそうあるべき。各課のアンケート乱立も被災者の大きな負担になっている。
- 避難所(行政管轄)とボラセン(社協管轄)の二分構造により被災者中心の連携が成立しない。TKBに加えバス(入浴)を含めたTKBBL(トイレ・キッチン・ベッド・バス・リビング)の整備が必要。
- 仮設住宅の平米数・収容人数基準が古いまま。みなし仮設の延長困難、婚姻者が法律上住めない問題(少子化の観点からも深刻)、避難所から仮設への退所支援と仮設住宅課の情報連携不足など制度的課題が多い。
- 罹災判定は隣接市から寄せ集めた職員が数時間のレクチャーで行く体制が続いており専門性がない。判定機能と免税窓口機能の分離、専門家関与の仕組み化が必要。終了時期も自治体の疲弊度に左右されやすく被災者支援の観点からの基準明記が必要。
- みなし仮設の実務は被災自治体が担わされている問題(石川の前例踏襲)、災害公営住宅の財政破綻リスクなど、県・広域主体が担うべき課題がある。
- 被災者台帳の住基との連動不足、個人情報の同意取得の書式未整備など、情報管理の構造的問題が繰り返されている。
- 対口支援の知識格差、中長期派遣の質の確保、省庁担当者の短期交替による知の蓄積困難など、人材・制度面での根本的見直しが必要。
上記、テーマに関しての討論要旨
- 全体として反対する点はない。全部賛成。
- コーディネーター育成を自治体ごとに担うことは現実的に難しく、経験者が繰り返し被災地支援に入ることを標準化する方が近道。本研究会委員である辛嶋委員のような被災者支援の専門の方に公式な名称と予算を与え、実質的なコーディネーターとして配置する方向が現状の解として現実的ではないか。
- 調整本部改善に取り組んでいるが、課題解決まで通知に落としきれておらず情報収集で完結してしまっている状態への反省点を提起。また、知の蓄積・標準化が国としての課題で、防災庁への期待はあるが内閣府防災の延長では変わらないと感じており、専門部署を設けてでも取り組む必要があるのではないか。
- 仙台市議会でも「15年経ったが知は蓄積されているのか」が最初の問いになった。仙台市が常に被災地に派遣し続けることで最新の知見を維持するという提言をした。
- 決めておくべきことを事前に確定させておけば一定程度機能するはずで、受援内容や情報提供の方法の事前確定が重要。関連死については、ドクターは「減らす」・弁護士は「認定を増やす」と視点が違うため、「関連死」と「認定死」など言葉を分けて整理する必要がある。
- 内閣府防災の都道府県総括マネージャー育成はこの内容でコーディネーターが育成されるか疑問。DWATへの期待が過大である点も、その通りだと感じている。
- DWATなどの福祉支援については、地元社協に力が無いことを知りながら全社協、ひいては地域の社協で担おうとする構造が、いつも無理を生んでいるのではないか。様々なセクターと連携して実施することへの働きかけを続けているが難しさも感じている。
- 全体把握とコーディネーションを誰が担うかという点については、「NPOなどで培われた専門的知見や経験を持ち司令塔として機能し得る人材」、「平時からその役割に専念できる仕組みを整備していくことも一案である」と考える。あわせて、その取り組みは、平時における専門職や危機管理部門の学びと並行して進めていく必要がある。
- 社福法改正案で包括的支援体制の配慮事項に「防災」が追加されていた。防災庁の定義によれば、防災は事前防災から復旧、復興までを含む広い概念として位置づけられている。今後、これを実行あるものとなるためには具体的な仕組みの検討が必要。
- 全体像を見てコーディネートできる人間がいないことが本質的課題で、前回提起したスーパーバイザー論と重なる。内閣府のアプローチについて、研修を受けただけでコーディネーターが務まるとは思えない。
- 制度がある以上、亡くなった方にきちんとお金が通るようにすることも考えなければならない。一方で関連死を絶対に減らすことが、全ての災害支援の根底にある目標だと思っている。
- 仮設移動時の書類に「移動情報を地域支援者に提供する」の1文を入れるだけで個人情報問題は解決できるのに、東日本以降も整備されてこなかった。国主導で全国統一書式を作ればそれだけで解決できる話で、積極的に働きかけたい。
- 現場に行くたびに毎回同じ問題が出てくる。災害直後に1年後に生じるであろう課題の解決策を伝えたとしても説得力を持って伝えることが難しく、理解されないまま繰り返される構図がある。事前に制度を見直すのが理想だが、「自治だから」と国で規格化していくことなどの対応が難しい限界がある。個人情報や被災者台帳こそ国統一規格でやることが必要。
- 防災庁大臣官房などに官民連携の災害対応総括コーディネーター室のようなチームを設け、現場経験を重ねた人材が知を蓄積・継承していく仕組みが必要。個別の機能は民間に専門チームを設けて実施していくほうが知の蓄積が効率的で、例えば、DMATが20年でチームとして機能するようになったのもそういうことだと感じている。しかし、行政が実施すべき総合調整機能だけはジェネラリストの入れ替えでは継承されないため専門チームが必要。
- リエゾン機能について、1947年GHQが災害救助法制定時に日本政府に示した図にも既にリエゾンの重要性が描かれていた。日本は指揮命令の文化が根強く調整機能が馴染みにくい。知の継承にはこの機能が不可欠で、防災庁の本質的な役割は審議・検証機能とともに知の継承の機能にあると感じている。
(2)評価委員会の設置および評価委員の選定について
菅野主査
- 研究会にご示唆をいただく評価委員会を設置したい。評価委員の候補者は資料のとおりであり、今後打診をすすめていきたい。
- 委員には自治体の視点を持つ人材が1人いた方がよいと感じている。
- 建築士会関係で能登の罹災証明支援に関わった専門家も候補では。
- 自治体の視点は必須。社協の視点も必要、機能・分野別の視点を持つ人材を。
(3)招聘講師(ゲストスピーカー)について
菅野主査
- 中間骨子をまとめた段階でゲストスピーカーを迎えたい。残り3回程度の枠を活用。候補者は資料のとおり。①新たな視点を学ぶ(前半回)と②我々の中間まとめへの意見をもらう(後半回)で役割を分ける。
- スピーカーによっては、こちらの考え方への意見をもらう方が効果的。災害についての知見が深くない場合、その形の方が実りある議論になると感じている。
- 首長の視点は必ず必要。また、災害関連死の審査に実際に関わる医師へのヒアリングができれば現場の実態を直接聞けて価値が高い。
- 関連死審査については委員のルートで石川県の担当に接触を試みる。基本的には本案で順次スケジューリングをすすめたい。
(4)仮まとめに向けた検討および当面のスケジュール
菅野主査
- これまでの議論を受けて骨子・叩き台ペーパーを作成し、第5回の前に委員へ事前送付する。次回は叩き台をベースに大きな方向性の確認を行い、第6回(仙台・対面)でさらにブラッシュアップして中間骨子としての取りまとめを目指す。
今後のスケジュール
第5回:5月8日(金)10:00~12:00 オンライン開催
第6回:6月1日(月)15:00~18:00 仙台(集合時間別途)
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